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資本ストック の質問!意味を教えてください!!
経済学を学んでいる者ですが、以下の文章についてどういった意味なのか噛み砕いて教えて頂けないでしょうか。 「資本ストック については、恒久棚卸法 を中心とする標準的な手法に より、フロー(投資額)と整合的な統計を体系的に整備し、資産別及 び産業別の推計を実施する。また、設備投資構造のより詳細な把握が 可能となるよう既存の一次統計を見直すとともに、除却・償却分布の 資産別把握について行政記録情報等や民間データの活用を含め調査研 究を実施する。さらに、恒久棚卸法を補完する方法として、物的接近 法などによる推計を活用し、その精度を相互に比較する。」 公的統計の整備に関する基本的な計画 - 総務省統計局より
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- moguraduka
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自国経済の成長に重大な影響を及ぼす資本ストック量をいかに国家統計局が補足するか、その問題について論じる文章と推察いたします。文章全体は、所有者別・資本の種類別の資本のストック量を推計可能なように一次統計を発展させること、及び各種資本ストックの償却分布について調査する宣言と私は解釈します。 >資本ストック については、恒久棚卸法 を中心とする標準的な手法により、フロー(投資額)と整合的な統計を体系的に整備し、資産別及び産業別の推計を実施する。 PIM(恒久棚卸法)はベンチマークイヤー法(BY法)と並んで、資本ストック量把握の標準的手法ですが、資本ストック量を投資額と償却率より測定します。資本ストック量=S、投資額フロー=I、減価償却率=δとし、t期における資本ストック量の変動を dS(t)/dt = I(t) + (1-δ) * S(t) として捉える手法である、というのがPIMのエッセンスです。第一項は投資額のフロー、第二項は償却フローですね。 Sを資本ストック量と一語に述べていますが、実際には資本には様々な種類があり、SNAにおいて明確に識別・定義されています。その様々な種類のある資本について、所有者(各産業)ごとのストック保有量を、PIMなどの手法でとらえようというのがこの文面ではないでしょうか。例を挙げると、上記の式でいえば、S,Iといった変数にはi,jという添え字がつくイメージです。iは産業を表しjが資産分類を表すとすれば、i産業がt時点において所有するj種資本財のストック量を測定する式と解釈できることがお分かりいただけると思います。資産別及び産業別推計とはそのような意味合いではないでしょうか。 >また、設備投資構造のより詳細な把握が可能となるよう既存の一次統計を見直すとともに、 上に述べたようにi産業のj種資本財についてストック量を把握しようと思えば、最低でもi×jのマトリックス構造のデータべースを作成することになりますが、それに対応するだけのデータを収集可能なように一次統計制度が整備されていなければなりません、という問題提起と思われます。 >除却・償却分布の資産別把握について行政記録情報等や民間データの活用を含め調査研究を実施する。 資本ストックには生産要素として生産活動に貢献するproductive aspectが、もう一面で耐久財として、その価値を内包するvalue aspectが共存し、二面は密接に関わり合っています(適切な和訳が分からないので英語のまま載せています・・・)。上に書いた式でも資本の償却の項がありますが、各種資本財ごとにこれを把握する必要があるので、そのために調査研究を実地する宣言です。 なお会計学で使われる償却と経済学における償却は内容を異にするもので、前者は法廷償却率に基づく資産の償却過程ですが、後者は物理的減耗や技術的な陳腐化なども考慮した、経済理論(例えば限界生産力命題)により整合的な概念です。つまり単に法律で定められた一定の償却率ではなく、経済理論に整合的な償却の分布を知りたいな!という問題提起ではないでしょうか。上のPIMの式ですと、償却率δが定数ではなく、時間や設備年齢(τとする)にの関数δ(t,τ)として捉えたほうがいい!という認識を表すものと私は推測します。 >さらに、恒久棚卸法を補完する方法として、物的接近法などによる推計を活用し、その精度を相互に比較する。 物的接近法とは、PIMが各産業の投資額という主体ベースで資本ストックの補足を試みるのに対し、財やサービスの流れからそれを補足する試みです。物的接近法といえばコモディティ・フロー法を指すことが多いようです・・・。 私も大して理解できているわけではないので、回答内容は私の解釈や推測に基づいていることにご注意ください。無責任で申し訳ないですが、丸呑みにはされませんよう・・・。 より洗練された知見をお求めでしたら、以下に参考となるページを載せておきます! BY法について簡潔に述べられています。 http://www5.cao.go.jp/statistics/sna/sna_11/siryou_1.pdf 固定資産分類と、それらの償却率について載っていますが最新のものかは解りません、ご了承ください・・・。 http://www5.cao.go.jp/statistics/sna/sna_11/siryou_1.pdf コモディティ・フロー法について載っています。 http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/reference1/h12/pdf/chap_2.pdf 野村浩二氏(慶應義塾大学産業研究所准教授)のHP。 http://www.kojin.org/index_j.html 氏は資本測定の包括的な理論フレームワークの設計を研究課題とし、実際の統計整備にも携わっています。 ↑同氏の内閣府カンファレンスにおける発表資料。 http://www5.cao.go.jp/keizai2/keizai-syakai/k-s-kouzou/shiryou/senzaiseichouritsu-5kai/pdf/1.pdf 深尾京司氏(一橋大学経済研究所教授)のHP。 http://www.ier.hit-u.ac.jp/~fukao/index.html 氏はJIPデータベースの構築の責任的立場にあります。 OECD library。Measuring Capitalの第2版の紹介ページです。 http://www.oecd-ilibrary.org/economics/measuring-capital-oecd-manual-2009_9789264068476-en SNAのglossary、depreciation及びconsumption of fixed capitalの項目。 http://unstats.un.org/unsd/nationalaccount/glossresults.asp?gID=616 http://unstats.un.org/unsd/nationalaccount/glossresults.asp?gID=70