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学校教育でCAIが廃れたのはなぜ?
学校教育で、昔CAIって流行りましたよね。 それが廃れたのはなぜでしょうか。 出来れば現場の教員の方々、CAIをどのように評価しているか、どのような問題点があったか教えてください。
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いくつか理由があります。 1.間違いの多様性に対応しきれない 例えば、単純な計算問題(例:かけ算の筆算)をとっても、正解は1通りしかありませんが、間違いは極端な話子どもの数だけ種類があります。 ・九九が習熟していない ・繰り上がりの足し算ができない ・かけ算の筆算のやり方を勘違いしている ・単純な計算ミス ・上記の2つ以上の複合 ・PCの操作ミス(数字の押し間違いなど) これらの多様な間違いにCAIは対応しきれないということです。 現在、これらの間違いの構造をあらかじめプログラミングしてPCに判断させて、分岐した設問を出すことができるソフトも作成されていますが、 ・それでも結局、教師の想定していない(=プログラミングされていない)間違いを子どもはする ・複合的なミスに対応しきれない ・あらゆる間違いを想定してプログラミングをするとなると、ハンドメイドしか無くなり、それだったら教師が自分で教えた方がはるかに効率的(要するにコスパが悪すぎる) 2.学習観の変化 CAIというのは、理論的には「新行動主義」という学習心理の理論に基づきます。この理論自体が既に「古い」理論として教育の場からはほぼ消えています。 簡単に言えば、人はどのようにして「分かる」「学習する」のか、という理論が学習心理です。詳細は、ここで書くと長くなるのですが、現在「新行動主義」を支持する教育心理学者はほぼいません。授業の有り様が変わってきています。 3.学力観の変化 学力とは何か、という考え方が変化しています。PISA調査という言葉を目にしたことがあるかと思いますが、現在の学力観の主流は、「考える・判断する・表現する」「人との交流を通して、考えを深める」です。つまり、こうしたことができる人が、学力の ある人、ということになるわけです。 算数・数学でも答えが多様にある(正解は一つではない)課題について、自分なりの考え方をきちんと説明できる力(社会に出て遭遇するのはそういう課題ですよね)が求められています。このような学力は、PCを前にしていくら勉強しても育つものではありません。 そうすると、CAIで反復練習をして、計算問題に習熟させること自体が「古い」発想だということになります。もちろん、基礎的な学力としてそれを否定するものではありませんが、それはあくまでも基礎に過ぎないという考え方です。 4.技術的な進歩 CAIの頃というのは、インターネットも無く、個別のPCにあらかじめソフトを組み込んで使うしかありませんでした。けれども、現在では、インターネットを通してリアルタイムで優れた授業も受けられますし、オンデマンド・DVD等で繰り返し学習をすることも可能です(予備校なんてこれをやっていますよね)。 比喩的にに言えば、生鮮食料が食べられるのに、どうしてわざわざ缶詰にするの? という話です。 以上のような理由で、CAIはあまり顧みられなくなっているというわけです。
お礼
ありがとうございます。とても参考になりました