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804164の便乗質問

http://www.okweb.ne.jp/kotaeru.php3?q=804164 の中のgotzemannさんのコメント: >自然が場の量子論で記述され、かつ、 >重力場がスピン2で記述されることを認めれば >重力は引力しか許されません。 に関連して、場の量子論で記述されるようなスピンn(整数)粒子は、 一般に引力になるか斥力になるかは、どのように決まるのでしょうか? 2の時だけが、特殊なんでしょうか?

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noname#9538
noname#9538
回答No.1

えーと、やっぱりこれは私が責任をもって説明するべきでしょかね(笑) まず、 引力、斥力の「どちらなのか」を場の量子論の原理だけで決めることは 恐らく出来ないのではと思います。 この点、誤解をまねく書き方をしていました。申し訳けありません。 わたしのあそこでの主張は、より正確には、 「粒子、反粒子で力の向きが逆になるか否かは場の量子論にもとづいて議論でき、 スピン2をもつ粒子の相互作用はcharge conjugationで符合が変わる形にはならない。」 ということです。 言いたかったのは、斥力なのか引力なのかが決定できるということではなく、 どちらか一方にきまると言う点でありました。 で、この点を簡単な議論で説明します。 まず、電磁場と電子の相互作用の場合。 電磁場はA^{μ}の形でベクトルの脚μを1つもち、スピン1、 電子はψ^{a}の形で、スピノールの脚aを1つもち、スピン1/2です。 電磁場と電子の相互作用項を書けといわれたら、 これらの量からスカラー量を作らねばならず、 さあつくってみろと言われてまず思いつくのは A^{μ}Ψ_{a}γ^{μ}^{a}_{b}ψ^{b} (Ψ=ψ^{†}γ^{0}) です。これはcharge conjugationで符合を変えます。 (charge conjugation でγ行列がどう振舞うか等 細かい点は割愛いたします。適当な場の理論の本をご参照下さい。) 相互作用項の前の係数がcoupling constantですから、 これは反粒子の電荷が逆転するということです。 それゆえ、粒子と反粒子に働く力は逆向きになります。 他の組み合わせで脚を潰そうとしても、 charge conjugation で符合を変えないようなものは ちょっとつくれないと思います。 これは、A^{μ}がvectorの脚を1こしか持たない (つまりスピン1である)ことに由来します。 もちろん、電磁場と電子の相互作用項はgauge原理できめますが、 上のようなナイーブな議論でだいたい理解できます。 次に重力の場合。 これも超対称ゲージ原理などで相互作用項を原理的に 決めることもできるとは思いますが、ここではナイーブに考えます。 重力場はスピンが2で、h_{μν}の形の traceless symmetric tensorです。 (いま、重力場は弱いとしてg_{μν}=η_{μν}+h_{μν} 正確にはtrace partの分だけ違いますがまあいいでしょう。) これとスピン1/2の粒子の相互作用項を考えますと、 これらの脚を潰してスカラー量をつくってみろと言われてまず思いつくものとして h_{μν}∂_{μ}Ψ^{a}∂_{ν}ψ^{a} です。 これは charge conjugation で符合を変えません。 いまはナイーブな議論ですが、他の組み合わせの可能性を考えても、 charge conjugationの下で符合を変えるようなものはちょと作れないでしょう。 これはh_{μν}が対称なtensorの脚μνをもつことに由来すると考えてよいと思います。 このような議論で、粒子と反粒子で力の向きは変わらないことが結論されます。 あとは、古典場で引力になることがわかっているので、引力になるようにとるわけです。 他のスピンの場合は考えたことがありませんが、 基本的には同じように脚の潰し方の可能性と、 それがcharge conjugation の下でどう振舞うかを見ればよいと思います。 おそらく、奇数なら引力、斥力が許され、 偶数ならいずれか一方、ということになるのではと思います。 この点は定かではありませんので話半分に聞いて下さい。 もちろん、上の議論はもっと精密化する必要ががありますが、 だいたいこんな感じの議論で決まると考えて良いでしょう。

noname#108554
質問者

お礼

なるほど、そういう議論でしたか。 分かりやすい説明をありがとうございました。

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