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ウナギの生態が不思議なのですが

なぜウナギは、あれほど遠い道のりを移動するのでしょうか。種族保存だけなら同じ場所にとどまっているほうが有利ではないかと思います。人工孵化や人工飼育が可能だとすれば、ますます移動する意味が分からなくなるように思います。鳥の渡りにも似ているように思います。

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  • joshua01
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回答No.3

こんにちは。 他の方の回答にもあるように、ニホンウナギの生態については長年の謎であった産卵地がわかっただけでまだまだ研究中ですから正解がないのが当然でしょうし、また、自然の動植物の活動・機能について、誰かが設計したものではない以上「何のために」という質問への答えは難しいのですが、推定されている要素を少し組み立て直した次のような進化の物語はいかがでしょうか。 (1) 昔、ウナギの祖先は、「普通の魚」で、あえて言えば、海水で産卵し淡水で成長することが特徴だった。(この移動の利点は略) (2) そのうち、一部の川に住んでいた群れの産卵地の近くには海底火山があり、これにより海水の温度やプランクトンの組成が稚魚に有利だったので、ここで産卵する群れは少し有利だった。 (3) このため、産卵に当たり、この火山から出る特殊な成分を検出して火山近くで産卵する機能変異を持った個体は大変に有利となった。 (4) やがて、大陸移動により、この火山との距離が長い時間をかけて離れてしまった。産卵には特殊な成分が必要であったため、ウナギの祖先はどうしてもこの火山の方向に泳ぐ性質ができてしまい長距離を泳ぐのに有利な個体が勝ち残った。しかし、長距離向けとはいえカツオのように堅い体だと水深の浅い河川では不利であり、「どちらにもほどほど有利な」長細い体となった。 (5) ラッキーだったのは稚魚のルート。稚魚はほとんど泳げないが、火山から成長する河川の方向への海流(黒潮)があった。 (6) 逆に、その海流のルート以外への生息域の拡大はできなかった上、小さい体に複雑な消化システムはかえってエネルギーを浪費したのでその海流上にある特定の餌に特化した摂取・消化システムが進化してしまった。 (7) また、海流任せで他の物にぶつからないので、ある大きさまでの稚魚の時期においてはは大きくなることを優先して表皮は極めて脆弱な個体が残るようになった。 さて、いかがでしょうか。 このような進化の物語は、「有利な変異を持つ個体は生存率が高い」という考え方に基づくのですが、その逆には「このような変異を持たなかった個体は子孫を残せずに絶滅した」との考え方のほか、「このような変異を持たなかった個体も偶然別の利点に巡り会ったので、今では別の種になっている」という考え方がありますね。 なお、現在では、実験レベルで完全養殖は成功していますが、まだ問題が多く、商業的効率にはなっていません。記憶があいまいですが、ポイントの一部としては ・「何がきっかけで産卵(性成熟)が可能になるか」はまだわかっていない。(上記(3)の成分。現在の実験ではある種のホルモンを強制的に与えると成熟することだけはわかったが・・・) ・「何が最も良い餌か」もまだわかっていない。(上記(6)の問題。現在の実験では、あるサメの卵の粉なら食べてくれることまではわかったが、不自然な上、生存率は高くなく、最適な餌だとは思われていない) ・「表皮の脆弱性」は何とも難しく「無限の海」にはかなわない。(上記(7)の問題。現在の実験では水槽や浄化の仕組みを精一杯工夫しているがこの点でも生存率は低い) さてさてご質問の趣旨に合っていたでしょうか お役に立てば幸です。

noname#194289
質問者

お礼

日ごろ深くお考えになっておられて得られた結論であろうと想像いたしました。ウナギに対しても畏敬の念が深まりました。ご教示ありがとうございました。

その他の回答 (2)

noname#175206
noname#175206
回答No.2

 最近分かってきたことですが、もともとは(といっても、大変な大昔)産卵場所が遠いとはいえ、現在のような非常に大きく長距離を回る回遊ではなかった可能性が示唆されています。  それが何故、非常な大回りの回遊になったかというと、海流の変化だと推測されています。ウナギは泳ぐ力が弱いため、ある水温の海流(黒潮等)に乗って回遊します。  そのウナギが好む、あるいは生育・棲息可能な水温の海流の流路が変化したため、非常に大回りの回遊をするようになった可能性があります。  こうしたことは、あくまでも推測ですので、まだまだ定説ではありません。餌と海流がウナギの回遊ルートを決めていることから、そういう可能性があるといった程度に受け止めておくべきかと思います。まだ、ウナギの稚魚が何を餌としているかも分かっていませんので(それが養殖を難しくしている)。  さらに、近年は海流が乱れたり、短期間で変化したりしたため、途中で周回ルートを外れた多くのニホンウナギが日本に向かって回遊できずに、餌となるものがほとんど無い領域に逸れてしまっているようです。  その結果として、日本に向かうニホンウナギが減少していることは、かなり確からしいようです。これがニホンウナギの漁獲高が急減してきた理由ではないかと考えられています。

noname#194289
質問者

お礼

人間の理解が及ばない自然の理がウナギの回遊にもあるのだろうと思います。私は、ウナギは強い生命力をもっていると思っていたのですが、それも自然に逆らわないでいればこそ尚だろうと納得できました。ご教示感謝いたします。

  • fujic-1990
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回答No.1

> なぜウナギは、あれほど遠い道のりを移動  ごく最近産卵場所と思われる場所が見つかったばかりなので、その疑問についての学説的な話はまだ見かけません。  まあ、鮭などと同じように、「自分が生まれた所に戻れば産卵に適した場所がある」「異性がいる」のは(ほかの海域に行くよりは)確実だからではないでしょうか。  ではウナギの産卵に適した場所、産卵に適した条件とはなんぞや、という疑問が出て来るでしょうが、それはまだ分かっていません。  素人考えで言えば、海盆等から海嶺・海膨などの斜面に沿って湧昇流があり、卵が下へ沈まず、逆に孵化したばかりのウナギの餌になるようなものがわき上がっているのではなかろうか、などと妄想に近いことを考えていますが。 > 人工孵化や人工飼育が可能だとすれば、ますます移動する意味が分からなくなる  たしかにそうですが、ウナギには、「ああ、人工孵化や人工飼育が可能なんだ」なんて、自覚はありませんから、相変わらず遠路はるばるの大旅行をし続けることになります。  人工孵化や人工飼育はあくまでも、人間側の、それも、ウナギ(ジャポニカ種)という種族が生まれたのが仮に1日前だとすると、コンマ0001秒くらい前にやっと可能になった技術(正確にはまだ未完成)ですから、そういう技術が生まれつつある現実に、なかなかウナギは気がつかないと思いますねぇ。 (^o^;  

noname#194289
質問者

お礼

諧謔をまじえた興味深いご教示ありがとうございました。長く参考にさせていただきます。

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