手形行為の無因性とは?説明と批判について解説

このQ&Aのポイント
  • 手形行為の無因性とは、手形の権利移転面と権利発生面を分け、前者のみが原因関係との無因性を認める見解です。
  • この見解では、手形での債務負担の意思は手形であることを認識し、手形に署名する意思で足りるとされています。
  • しかし、この見解に従うと金額の記載に誤りがあっても、振出人は手形の記載通りの債務を負担することになります。これは常識に反し、妥当でないとされています。
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手形行為の無因性

手形法の本に 「手形行為に対して権利移転面と権利発生面を分け、前者のみ原因関係との無因性を認める見解がある。この見解では債務負担の意思は手形であることを認識し、認識うべくとして手形に署名する意思で足りるとし、債務負担行為を書面行為のみで完成するとしている。 しかし、この見解に従うと金額でゼロを一つ多く書いても、振出人は手形の記載通りの債務を負担することになるので常識に反し、妥当でない。よって、手形行為は原因関係と無因との結論を貫くべきである。」 という説明があるのですが、この記載の意味がわかりません。 (1)まず、この記載の説を説明した部分がよくわからないので解説がほしいです。 (2)この説に対する批判である「金額でゼロを一つ多く書いても、…」という以降の批判部分は完全な無因性を要求する通説にとってもあてはまる理由なのではないでしょうか。という疑問です。

質問者が選んだベストアンサー

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  • hekiyu
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回答No.1

”手形行為に対して権利移転面と権利発生面を分け、前者のみ原因関係との無因性を認める見解がある”     ↑ これは前田先生の創造説です。 ”この見解では債務負担の意思は手形であることを認識し、認識うべくとして 手形に署名する意思で足りるとし、債務負担行為を書面行為のみで完成するとしている。”     ↑ つまり手形に署名すれば、その時点で、手形債務は発生し その債務は証券にくっついている、ということです。 これに対して契約説では、署名し交付して、始めて手形債務が発生する とします。 だから、創造説では、手形を交付する前に盗まれても、署名者は当然に責任を負うことに なり、契約説のように外観理論を使わなくてもよい、ということになります。 ”この見解に従うと金額でゼロを一つ多く書いても、振出人は手形の記載通りの債務を負担する ことになるので常識に反し、妥当でない。 よって、手形行為は原因関係と無因との結論を貫くべきである”     ↑ 甲と乙が10万円の取引をして、甲が間違えて100万円と書いた手形を発行した場合で考えます。 この手形が第三者丙に渡った場合は、創造説では当然に甲は丙に手形債務支払い義務を負います。 通説である契約説でも外観法理を適用して、同じ結論になります。 しかし、創造説では契約の当事者である乙は、100万円の手形債権を持っていることになります。 契約説はこれが常識に反して不当だ、と言うのです。 しかし、創造説では、交付行為は有因ですから、甲は乙に100万支払う必要は ないことになるので、不当ではない、とするのです。

horobekorea
質問者

お礼

ありがとうございます。大変わかりやすい説明でした。

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