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「宴のあと」事件

この事件は単なる民事事件のように思うのですが、なぜ憲法判例なのですか。

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回答No.2

 おっしゃるとおり,この事件(東京地裁昭和39年9月28日判決)は,『宴のあと』作者の三島由紀夫や新潮社に対して不法行為に基づく損害賠償や謝罪広告を請求した民事事件です。  しかし,一方でこの事件が憲法判例とされるのは,原告が被告によるプライバシー侵害を請求の原因とし,「日本国憲法第13条は、すべて国民が個人として尊重されるとともに、個人の幸福追求に関する権利は、国政上最大の尊重を必要とする旨を明かにしている。プライバシーの尊重は、個人の尊厳の確立と、個人の幸福追求権の実現にほかならないから、国家は国民の一人が現にプライバシーを侵害され幸福追求の権利を妨げられている場合には、その侵害を排除し損害の填補を受けられるように一切の便宜を提供することを要するものと解すべきであり、民法第709条の解釈適用はこの立場においてなされなければならない。」と主張したためです。「プライバシー権」が憲法13条に基づく新しい人権に含まれるか,含まれるとすればどのような内容か等が問題となりました。  判決は, 1 「近代法の根本理念の一つであり、また日本国憲法のよつて立つところでもある個人の尊厳という思想は、相互の人格が尊重され、不当な干渉から自我が保護されることによつてはじめて確実なものとなるのであつて、そのためには、正当な理由がなく他人の私事を公開することが許されてはならないことは言うまでもない」とし, 2 さらに,「私事をみだりに公開されないという保障が、今日のマスコミユニケーシヨンの発達した社会では個人の尊厳を保ち幸福の追求を保障するうえにおいて必要不可欠なものであるとみられるに至つていることとを合わせ考えるならば、その尊重はもはや単に倫理的に要請されるにとどまらず、不法な侵害に対しては法的救済が与えられるまでに高められた人格的な利益であると考えるのが正当であり、それはいわゆる人格権に包摂されるものではあるけれども、なおこれを一つの権利と呼ぶことを妨げるものではない」として憲法上の権利にもなることを示唆し, 3 その上で,「いわゆるプライバシー権は私生活をみだりに公開されないという法的保障ないし権利として理解されるから、その侵害に対しては侵害行為の差し止めや精神的苦痛に因る損害賠償請求権が認められるべきものであり、民法709条はこのような侵害行為もなお不法行為として評価されるべきことを規定しているものと解釈するのが正当」として,プライバシー権の法的権利性を認め, 4 「プライバシーの侵害に対し法的な救済が与えられるためには、公開された内容が(イ)私生活上の事実または私生活上の事実らしく受け取られるおそれのあることがらであること、(ロ)一般人の感受性を基準にして当該私人の立場に立つた場合公開を欲しないであろうと認められることがらであること、換言すれば一般人の感覚を基準として公開されることによつて心理的な負担、不安を覚えるであろうと認められることがらであること、(ハ)一般の人々に未だ知られていないことがらであることを必要とし、このような公開によつて当該私人が実際に不快、不安の念を覚えたことを必要とする」としました。  そもそも,日本においては特別裁判所たる憲法裁判所はなく,憲法問題は,通常裁判所における行政事件訴訟,刑事訴訟,(少ないが)本件のような民事訴訟等においてその請求を基礎付けるものとして主張される中で検討されるものです。  よって,民事事件でありながら憲法判例となる事件が出てくるのです。

horobekorea
質問者

お礼

つまり、プライバシー権がはじめて世に出てきたから憲法判例となっていただけだったということですね。ということは、憲法の判例としての重要性はあまりなさそうですね。ご回答ありがとうございます。またよろしくお願いします。

その他の回答 (2)

  • hekiyu
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回答No.3

言われてなるほど、と思いました。 これはプライバシー権が「始めて」問題になった 事件です。 そして、プライバシー権の法的根拠 が憲法なので、憲法判例の分野に入れたのでしょう。 つまり、プライバシー権というものは、我が国で認め られるべきか、認められるとして、その根拠は 何処にあるのか、ということが最重要の争点になったので 憲法判例として扱われるようになったのだと思われます。

回答No.1

なぜか憲法訴訟事例のように指摘されることがありますねぇ 民事裁判ですねぇ・・確かにw しかし、知られない権利(プライバシー権)を判例上において憲法条文で指摘していることから、憲法訴訟ではないにしても、憲法判例にはなりえる・・・という理解で良いと思いますよ 地裁判例を引用すれば、解り易いでしょう >日本国憲法第13条は、すべて国民が個人として尊重されるとともに、個人の幸福追求に関する権利は、国政上最大の尊重を必要とする旨を明かにしている。 プライバシーの尊重は、個人の尊厳の確立と、個人の幸福追求権の実現にほかならないから、国家は国民の一人が現にプライバシーを侵害され幸福追求の権利を妨げられている場合には、その侵害を排除し損害の填補を受けられるように一切の便宜を提供することを要するものと解すべきであり、 民法第709条の解釈適用はこの立場においてなされなければならない。 以上

horobekorea
質問者

お礼

ですよねー。 プライバシーと表現の自由のぶつかり合いと入っても、私人間紛争にすぎない問題を憲法の論文としてどうかけば良いのかという感じです。709条の適用を憲法の論文でというのもみたことがないです。参考になる答案とかあると嬉しいですよ

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