- ベストアンサー
核実験から福島事故までの放射性物質の影響と食物連鎖における蓄積量について
- 世界各地による核実験は2040回に及び、その影響は現在に至っています。
- 福島事故によって放射性物質が空中に散布され、海に落ちたものも多くあります。
- 食物連鎖を通じて大型の魚やクジラの体内に放射性物質が蓄積される可能性があります。しかし、その蓄積量については明確な情報はまだありません。
- みんなの回答 (1)
- 専門家の回答
質問者が選んだベストアンサー
>食物連鎖により大型の魚やクジラの中には放射性物質がどれ位蓄積されているのでしょうか? 過去の推移は以下のURLから検索できます。 http://search.kankyo-hoshano.go.jp/servlet/search.top 上のURLから入っていただき、画面中央の「詳細検索はこちら」→「詳細検索(データの検索タブ)」と進んでいただきます。 すると詳細条件の設定画面が開きますから、そこで詳細な条件を設定します。 >もしそれ程でもないならその理由は何でしょうか? それほどであるかないか?は、どの価値観を採るかによって変わるので回答しづらいのですが。 濃縮のメカニズムの基礎はご存知と拝察しますので、補足を少々。 濃縮による最大濃度については、当該物質が何か、当該物質が特定部位への蓄積性があるかどうか、蓄積される形態がどうかによって決まります。 例えばカルシウム。 魚類の大半はカルシウムの骨格を持ち、かつ骨が形勢段階である状態で放射性カルシウム(例えば47Ca)を取り込めば骨への集中蓄積が起き、かつ骨は代謝の少ない部位ですので、継続して濃縮が起きます。 ただし、当該物質が放射性物質の場合には半減期が存在しますので、物質濃度(放射能としても宜しいですが)はある一定値で頭打ちとなりますし、代謝が存在する部位では、代謝によって魚類体外への排出が発生しますから、やはりある一定値で頭打ちとなります。 これらを総合したデータとしてWeb上でも閲覧しやすいのは以下の資料ですかね? http://www.jfa.maff.go.jp/j/kakou/Q_A/pdf/110331_2suisan.pdf 魚の濃縮係数 セシウム 5~100 ヨウ素 10 ウラン 10 プルトニウム 3.5 水銀 360~600 DDT 12000 PCB 1200~1000000 上の係数、セシウムと水銀の差を具体的に説明するなら。 セシウムは特定部位への集中はなく、殆どが消化器を経由して血液に移行して尿として「排出」されます。 このために(半減期とも相まって)濃縮係数が比較的低くなっていると考えて宜しいでしょう。 それに対して水銀は、脊椎動物においては肝臓に多少多めに蓄積されるだけでなく、筋肉組織にも蓄積される性質があり(特にメチルい水銀は筋肉により多く蓄積される性質があります。)、代謝によって体外に排出されにくいという性質があります。 (加えて放射性同位元素ではないので、崩壊による減少=半減期も持ちません。) 過去の例で言うと、海洋生物の濃度(外部付着物を除く)は比較的低く抑えられているようですね。 というのも、過去の海洋核実験(加えるなら軍用原子炉の海洋投棄、核爆弾の海洋損失)を実施した地域は幸いなことに、大半が解放水域で行われたため、大量の海水(及び海流)による希釈効果が高かったのではないかという説を聞いたことはあります。 ただし、核実験直後に周辺で取った海産物の一部は高濃度で汚染されている可能性は高いでしょう。 第五福竜丸の場合は、水揚げした海産物に”死の灰”が付着したために相当濃度が上がりましたし、未分裂のウランを取り込んだ場合があれば、一時的に(代謝が起こるまでは)高濃度になることは考えられます。 蛇足ですが。 4月頭頃に広瀬隆さんが、この生体濃縮について間違った文章を週刊誌(週刊朝日)に掲載されていたんですが、他の方が引用されるかもしれないですし、氏と当該誌は訂正記事を出していないので、ここで訂正しておきます。 件の記事は「米国のコロンビア川で、ある科学者が調べた結果によると、川上に存在するハンフォード再処理工場の河川排水が原因で、工場から流れ出す放射性物質濃度を1とすると、河川プランクトンで2千倍、プランクトンを食べる魚で1万5千倍、魚を食べるアヒルの体内では4万倍に濃縮。そして川辺の水鳥の卵の黄身では100万倍もの濃縮が起きていた。」という物ですが、これは相当怪しい記事と考えてよろしいかと思います。 ○引用元が明らかでない。 この段階でおかしすぎます。 私が色々調べたんですが、学会誌や新聞では、そう言う物が発表された形跡がありません。 「圧力を掛けられてもみ潰されたんだよ。」という事ですが、これが正しいとなると市民団体も放っておけないので.....。 ○食物連鎖がおかしい。 アヒルは魚を食べません。(主として家禽ですし草食ですし。) また、河川の魚がプランクトンを主食としているとは思えない。 まずもって魚の消費カロリーを支えるだけのプランクトン量を河川が抱える事は困難で、当然ながら餌のかなりの部分を藻類が占めることになります。 これは河川調査の基本であって、だからこそ河川のアセスでは藻類に対する調査が欠かせないというのは、こういう調査を多なうイロハなんですが、氏が引用するデータにはそれが記載されていない。(つまり調査自体も疑われるし、少なくとも調査者が科学者であることは相当怪しい。) 記事中には「川の虫を与えられる燕の子云々」とありましたが、ここの段(水生昆虫をツバメがとる?等々)もオカシイ。 最後に私見と蛇足ですが。 今回の東電福島の事例でいうと、確かに海産物への影響は読み切れない部分もあるかと思います。 というのも、核実験のように海水表面への降下でなく、排水状態で直接に海域に放出された物がありますから、浸透厚の関係で瞬間的に上の数値を超える濃縮が起きる可能性は否定できなかったし、放流水に含まれる共存物質によっては、海域に放流された直後に沈殿が発生して放射性物質を取り込みながら枕積する可能性が否定できませんでしたから。 そして今の段階(事故後5か月が経過した段階)となると、現状以上に酷くなることは余り考慮しなくてよいのではないか?と考えます。 ただし、魚介類を陸揚げした後の取り扱いによっては、陸上で汚染が発生する可能性もアリ、その点についての取り扱いの注意が各漁港に徹底されているかどうか、汚染されたガレキの一部を今後海域に不法投棄する人間が出ないか等々の不安要素はありますので、少なくとも統計論に基づいたロット検査は1年程度続けた方が(理想を言うなら2~3年)良いだろうとは考えます。
お礼
大変有難うございました。 ご提示されたURLを印刷してもう一度詳しく読み返してみます。