部品の入手性はそのクルマを何年前に買ったか?ではなく、そのクルマがいつ生産終了となったか?によります。
※走行の安全性維持にどうしても必要な保安部品(制動装置とか操舵装置とか)は、生産終了後10年間製造者(=自動車メーカ)に部品を供給する義務があります。これは法規なので、どの自動車メーカでも一緒です。(この期間を『8年』とする話がネット上などで時々見られますが、それは家電の部品供給義務期間であり、クルマは10年です。)
勿論、10年以上製造が継続されているクルマでは、初年度の年式が10年以上経過していても部品は供給されます。10年間という部品供給期間は、あくまでも『その車型の生産終了後』の話です。
※自動車メーカでは部品の管理コストの削減を目的として、生産終了後10年以上経過した車型の部品を定期的に廃棄しています。故に生産終了後10年経過したクルマで、急に部品供給がストップするのはよくある話です。
ただ、10年経過したら即廃棄ではなく、10年以上古い車型の部品を定期的に見直し、一括して廃棄しています。また保安部品は新しい車型にも流用されることが多く、当然そういう部品は廃棄されません。故に生産終了後十数年経過したクルマの部品でも、注文するとアッサリ出てくることもあるワケです。
※一方、走行に直接関係ない部品には、10年間の供給義務はありません。具体的には内外装部品など(ボディパネルやメーカ設定のエアロパーツ、ダッシュボード、シート、ドア内張り、カーペットなど)ですが、これらはその車型の生産終了までにある程度まとまった数をリペア用として生産し、在庫部品として保管します。
リペアパーツの極端な例は各種オプションパーツで、これはロクに作りだめもせず、クルマの生産終了に合わせ即生産を停止するのが普通です。
これら内外装やオプション部品は、当然生産終了後10年を待たずに欠品となります。
※在庫部品が無くなっても、注文がまとまれば部品だけ製造するメーカもありますが、この追加製造は不定期であり、今すぐ部品が欲しい場合にはあまりアテには出来ません。
・・・さてエンジンマウントですが、これは普通は保安部品には入りません。また他車型への流用部品にもなり難いので(エンジンマウントは車体の振動モードに応じて防振性能をチューニングされており、車体が変わるとエンジンマウントも変わるのが普通です)、生産終了後10年以上経過していなくても、生産終了車型であれば入手は困難になると予想されます。
もし10年を超えてそのクルマを維持し続けようとお考えならば、早めに部品だけ確保しておく必要があるでしょう。
ところで余談ながら。
>先日、多走行車のエンジンマウントを交換すると
乗り心地が劇的によくなるとききました
効果は車型によってマチマチですが、総じて古いエンジンマウントを新品に交換すると、乗心地が改善されます。
ただ、ここでいう『乗心地』とは路面の凹凸に応じた直接的な振動によるものではなく、フロアやコラムシャフト経由で室内に伝達される、比較的高周波数帯の振動に由来するものです。誤解される可能性があることを承知で官能面での効果を書きますと、『乗り味がマイルドになる』『高級感が出る』といった感じです。実際欧州車では、この種の性能維持の為に、エンジンや変速機のマウントを『定期交換部品』としているクルマもあります。
但し・・・10年10万km程度では、あまり効果が体感できないかもしれません(日本製防振ゴムの耐久性をナメてはいけません)。また上述した様に、エンジンマウントの交換による乗心地改善は官能面での効果が大きいので、ユーザ様の評価能力によっては費用対効果で納得出来ない結果となる可能性も十分あります。(エンジンマウント交換ではエンジンを車体から一旦『浮かせる』必要がある為、工賃が¥1000~2000で終わる様な軽作業ではありません。)