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計画停電 東京23区なぜ対象外?

 「4月上旬に東京電力の計画停電は打ち切られましたが、同じ地域でも停電するところと、しないところがあったのはなぜですか。また、電気を一番使う東京23区では一部を除いて対象にならなかったのはなぜですか。23区のために周りが停電させられているようで不公平に感じます」=千葉県市川市の主婦(51)

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  • SANKEI1
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回答No.1

 ■1日2万件の問い合わせ  日常生活で何気なく使っている電気だが、電力需要が供給能力を上回った場合、予期せぬ大規模停電が想定され、首都圏の交通網や病院機能がまひし、生命に関わる甚大な被害を引き起こす可能性がある。  東京電力管内では、東日本大震災の影響で、福島第1原子力発電所だけでなく、福島、茨城両県にある火力発電所などが運転停止に追い込まれ、震災前に5200万キロワットあった最大供給能力が、3100万キロワットにまで減少した。3月の電力需要のピークは4700万キロワット。大規模停電を避けるため、東電が震災の3日後(3月14日)から実施に踏み切ったのが、地域ごとに交代で電気を止めて需要を抑える「計画停電」だった。  東電では、管内の地域を自治体別に5つのグループに分けて計画停電を実施。ところが、同じグループや自治体であっても、停電する地区としない地区が出るという〝格差〟が生じ、東電には多いときで1日2万件以上もの問い合わせが殺到する事態となった。  なぜ、こうした格差が生まれたのか。  東電によると、電気は発電所から超高圧変電所を経て、各地区の配電用変電所で電圧が下げられ、各世帯へ送られる。計画停電では変電所ごとに下流の送電を止めるが、送電ルートは各自治体単位とはなっていないのだという。  一方、東電では、停電によって社会的に大きな影響を与える施設や地域について、計画停電の対象から除外した。例えば、鉄道や大規模病院、被災地などだ。東京23区も地下鉄や私鉄などの交通網が複雑に入り組んでいるため、荒川、足立両区の一部を除いて計画停電の対象から外した。  この結果、除外された施設や地域に連なる送電ルートにある地区では停電することなく、同じグループや自治体であっても、〝明暗〟が分かれることになったというわけだ。  ■引き続き節電心がけを  また、電力の需給状況によっては、グループ全体ではなく、一部だけ停電させるケースもあった。  東電総務部は「設備形成上、格差を解消するのは難しく、ご理解いただくほかなかった」と説明する。  ちなみに、荒川、足立両区の一部が、停電対象に入っていたのは、埼玉県内からの送電だったためだ。  こうした格差のほかに、不満が多かったのが、「計画停電」のはずなのに、計画通り実施しないことがあったり、実施の有無の発表が遅かったりしたことだ。  計画停電を実施するかどうかは、電力需要で判断される。つまり気温が高いと暖房用の電力需要が減り、計画停電を行わなくても済む。あくまで天候と気温次第のため、実施されなかったり、発表が遅くなったりしたわけだが、この不確定さは結果として、グループ間での格差も生じさせた。  延べ停電軒数が最も多かったのは、グループ2の1874万軒で、最も少なかったのはグループ4の893万軒∥別表参照。両グループには対象世帯数に100万軒以上の差があるとはいえ、2倍もの差がついており、不公平感は否めない。  東電は、対象地域の分かりにくさを解消するため、3月28日から5つのグループをさらに25に細分化したが、結局、新グループで実施されたのは3月28日の1日だけだった。  社会インフラに詳しい一橋大学大学院の山内弘隆教授(公共経済学)は「停電格差は、インフラなど社会的影響の大きさを考慮すればやむを得ない」としつつも、「東電はこれまで計画停電を緻密にシミュレーションしておらず、泥縄で説明不足のまま実施に踏み切ったため、市民の不満が高まった」と分析する。  東電は今月8日、気温上昇で電力需要が減る一方、火力発電所の再稼働で供給力が回復したため、計画停電を打ち切った。電力需要がピークとなる7月末には約1千万キロワットの供給不足が見込まれるが、ガスタービン発電設備の新設などで供給力の強化を急ぎ、計画停電を原則回避する方針だ。  山内教授は「計画停電打ち切りで節電意識が薄れると、再び計画停電を実施せざるをえなくなる可能性もあり、引き続き一人一人が節電を心がけることが重要だ」と指摘している。(河合龍一)      ◇  社会部オンデマンドでは当分の間、「大震災編」として、地震や被災地での生活、原発事故など東日本大震災に絡んで新聞の読者やネットユーザーが抱くさまざまな疑問点について、社会部記者が徹底取材して報告します。取材結果は紙面のほか、連携しているマイクロソフト(MS)のポータルサイト「MSN」内に設けられている『相談箱』にも掲載します。投稿は従来と同様、「社会部オンデマンド」の窓口で受け付けています。「社会部オンデマンド」の窓口は、MSN相談箱(http://questionbox.jp.msn.com/)内に設けられた「産経新聞『社会部オンデマンド』」▽社会部Eメール news@sankei.co.jp

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