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「絵がうまい」科学的に解明すると?
- 「絵が上手い」というのは、科学的に説明できますか?先天的な脳の特質として、学術的に説明されるものでしょうか?
- 「上手い絵」は、写実性と基本のデッサン力の安定性を指します。絵を描く能力や見たものを写し取る能力の分野は脳内にあり、遺伝や発達とも関連があるのか疑問に思います。
- 音楽の分野には「絶対音感」という脳機能があるように、絵の才能をつかさどる先天的な脳機能が存在するのでしょうか?芸術の評価は別にして、科学的な見解を教えてください。
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質問者が選んだベストアンサー
こんにちは。 質問者さんの絵の才能は幼年期の環境から身に付けたものであり、遺伝でもらえるような代物ではありません。素晴らしいことだと思います。 私の友人は子供の頃からずば抜けて絵が上手く、美大へ進み、とうとう本物の画家になってしまいました。斯く言う私は絵を描くことが大の苦手なのですが、何故か楽器の演奏がけっこう得意です。 この友人との決定的な違いは、友人の家には漫画の本が山ほどあったということです。片や、私は子供の頃に漫画本を買ってもらったことはほとんどなかったのですが、母親が音楽好きで家にはたくさんのレコードがりました(ステレオセットがまだ珍しい時代です)。友人は自分の才能に磨きを掛けてプロになったわけですが、私には私に与えられた環境があったのだと思っています。 絵の才能が視覚機能に関係するものであることは言うまでもありません。ここでは視覚情報を処理し、運動機能によってそれを的確に再現する能力が要求されます。従いまして、絵が上手いというのは以下の三つの脳機能に裏付けられます。 「視覚処理能力:視覚連合野」 「空間認知機能:頭頂連合野」 「描画技能:大脳基底核、小脳」 このような機能には遺伝的な体質による能力の個人差はあると考えられます。ですが、脳といいますのは学習する臓器であるため、それが先天的な能力として才能に反映されるのは極めて僅かでしかありません。 脳といえども遺伝的な個人差があります。ですが、そこは産まれたときにはほとんどが白紙状態であり、先天的な能力を発揮するどころか、逆に生後学習が行われなければ何もできる状態ではないのです。 因みに「絶対音感」といいますのは先天的な能力ではなく、これは生後学習によって獲得されるものです。「学習臨界期」といい、ある程度の年齢を過ぎ、脳の聴覚神経が完成してしまうと幾ら訓練をしても習得することができなくなります。 視覚にも学習臨界期があり、視覚形成期にある程度の視覚学習を行いませんと、物の形が認識できなくなるという「視覚音痴」になります。もちろん、通常の成長ではこのようなことはまず起こりませんが、少なくとも視覚の発達においては遺伝的な体質よりも幼年期の学習環境の方が遥かに重要であることは間違いないです。 「視覚処理」といいますのは見たものを分類する作業であり、形の識別や色彩感覚などが含まれます。この機能の個人差は比較的大きいと思いますが、最終的な優劣は環境や訓練によって幾らでも変わってしまいます。 「空間認知」では視覚処理された色や形に位置関係の把握が行われるわけですが、果たして脳内でこれができなければ絵は描けません。これにも個人差というのはあると思いますが、絵を描くひとが物の大きさや角度を正確に把握するためには当然それなりの訓練が必要となります。 では、このような視覚情報を基に筆を動かしているのは実は大脳皮質の運動野ではなく、小脳や大脳基底核に学習された「熟練運動記憶」というものです。我々の腕の関節は七軸が自由に動きます。逆に言いますと、線引きやコンパスを使わずに直線や円を描くのはほぼ不可能ということです。視覚情報を基にこの七軸の関節を上手くコントロールしているのが小脳の熟練運動記憶です。ですから、大脳皮質で幾ら考えても絵は上手くなりません。読んで字の如く、この能力は繰り返し使われることによって精度が向上します。当たり前ですよね。 ひとそれぞれに才能の異なるのは、それが幼年期の学習環境にあるからです。これにより、親の才能は子供に譲り渡されます。質問者さんは与えられた環境から才能を身に付け、鍛錬を続けてきたのだと思います。 もちろん、親からもらった遺伝子が与えられた環境に適していたために才能が開花したという考えを否定することはできないです。ですが、昔たいへん偉いひとが「1%の才能と99%の努力」と言いました。ならば、それがどのような生後環境であったとしましても、残りは99%の可能性ということになります。
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- 6750-sa
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遺伝ですかァ、才能とか言われることと親の職業が結び付けられる事って案外多いと思います。 例えば自分も手先が器用だとか物作りがうまいとか言われたりしますが、父親が大工だからやっぱりそうか、なんて言われてきました。 しかし、兄はそういった作業に興味を持ちません、むしろ不器用です、しかし他人は大工の息子なのにおかしいとは言いませんでした。 人の才能も種があって、興味を示して楽しみ出すと発芽するのでしょう。無関心だと種はそのままで最終的に素質がないのでは?と思われるのかもしれません。 芸能の世界にはたくさんあります、二世がちょっと能力を見せると周囲の人間は「さすがサラブレッド!」と騒いでいます、政治家二世にまでもそんな事言いますね。 普通に考えれば「好き」か「嫌い」のどちらかで、「好き」あるいは「必然」で関わることで能力が磨かれると言うだけなのだと思います。
- meg68k
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おはようございます、素人です。 まるでカメラで取った写真みたいだ、という評価は出来ると思います(写実 性あり)。ただ写実性しかない絵は凄いとは思いますが、芸術とはいえない んじゃないかと思います。ぶっちゃけカメラで十分じゃないですか。 写実性+αがあって初めて、うまい芸術という評価になると思います。 写実性として脳機能が絡んでるのは間違いないと思いますが、それをどう活 用するかが重要じゃないでしょうか(これも脳機能でしょうね。そしてその どう使うかが優れてる人は、イメージという脳機能を活用して、写実性は低 いけど芸術性ありの作品を作ってるんだと思います) ちなみに絶対音感も持ってるだけではあまり意味ありません。それを活用し て初めて有用になります。 遺伝についてはわかりません。ただ環境がそういう環境に偏ってはいるとい うのは間違いないと思います(親の名誉な職業に、子供の勉強に力を入れる とか)
私見ですが、絵がうまいといわれるのは、A)まず目前の風景、物体、現象全体の正確な把握力と分析力がすぐれていることがあると思います。B)ついでそのものを紙の上に正確に描くための器用さ(まっすぐな線はあくまでまっすぐに、思ったままの曲線を自在に書く技能に優れていること)があるということがあげられます。これらは習熟によって高められますが、やはり先天的なものがあるのではないでしょうか。ことに「A」については科学的論理的な頭脳力とパターン認識に近い直観力(立体感覚など)、見えないところを補完して推定する想像力がからみあっており、単純なものではないようです。音楽家における絶対音感などのような特殊な感覚(聴覚?)とは異なっているかもしれませんが、たとえば遠近法なども小さい頃から直感的に心得ている人間が居ますので、やはり先天的なものなのでしょう。
お礼
ご回答ありがとうございます。大変、刺激になりました。 Aについてはなんとなく察していましたが、Bについては盲点でした。絵画と造形は異なりますが、確かに芸術系には器用な方が多いようです。ある程度思い通りになるから面白い、というのもあるのでしょうが。また、一般的に子供の絵は、地上を表す一本の線上に、対象が正面・横並びに描かれるなど平面的なものから出発するようですね。(空間認識力は男性の方が優れている場合が多いことから、平面性という特徴は女性の描いたものに多いという見解も聞いたことがあります)しかし、これはと思うような作画ですと、幼い子供のものでも遠近法とはいかないまでも、立体的な構図で描かれています。 手先の器用さや、運動神経の良さ、頭の回転などもそうですが、それぞれ持って生まれたものなので、決してひけらかすわけではないけども、お互いに自分と状態を異にする感覚が理解できないでしょう。そのような他人の感覚といいますか、未知の感覚に興味があり、説明を求めた次第です。そして、大変参考になるご意見をいただきありがたく思っております。
お礼
ご回答ありがとうございます。 芸術性については固定された基準がないので、少なくともここでは論じることが出来ないと思います。私も、写実性イコール芸術性とはとらえていません。絶対音感と、音楽性・表現性とは別、こちらも然りです。 イメージを表現する脳機能が必要、この部分はとても興味深かったです。これはおっしゃるように、親の教育や環境作りなど、後天的な資質とまざりあって発展するものなのでしょうね。 ただ、私事ですが、どうしてもこのような質問を直接いたしますと、アカデミックな分野ととらえる方が多いことから、手前味噌といいますか、自慢のようになってしまって、純粋に「脳科学」としての疑問が解決されないので、質問させていただきました。ありがとうございました。