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民法909条但書の第三者について教えてください。
(1)「民法九〇九条但書にいう第三者は、相続開始後遺産分割前に生じた第三者を指し、”遺産分割後”に生じた第三者については同法一七七条が適用される」(最高裁、昭和46年1月26日)と教わりました。 (2)更に、”遺産分割前”に,共同相続人の一人から特定不動産の共有持分を譲り受けた第三者が,その共有持分の取得を他の共同相続人に対抗するためには,登記を必要とする(大審院、大正5年12月27日)。とも教えられました。 (1)と(2)の関係が理解できません。 ”分割後”については、177条の対抗関係として処理するとして、登記が必要なのは理解できるとして。 (2)の場合でも、”分割前”の共有持分を取得した第三者は、どうして登記を備える必要があるのでしょうか? 他の共有者も、この第三者に対して登記が必要になってくるのでしょうか? 「909条但書の第三者」について、ご教授をしてくださるとありがたいです。どなたかお願いします。 -------------------------------------------------- (遺産の分割の効力) 民法909条 遺産の分割は、相続開始の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない。
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民法545条1項ただし書の第三者についての判例(大判大正10.5.17)も保護要件としての登記を必要としています。これは対抗要件としての登記とはまた違います。 『対抗要件としての登記』とは対抗関係(典型例は二重譲渡関係など)にある者が自己の権利を対抗(主張)するために具備するものです。対抗関係にある者は当事者である譲渡人には自己の権利を主張できますがそれを第三者に主張するためには登記が必要だということですね。 一方で909条ただし書の第三者は対抗関係にありません。 例えば共同相続人甲乙および第三者丙がいたとしましょう。 乙が遺産分割前に相続した土地の自己の持分(以下a持分とします)を丙に譲渡し、次いで遺産分割によってa持分を共同相続人甲に譲渡した場合、甲と丙は対抗関係にはありません。なぜならば、遺産分割によって甲が取得したとされるa持分は909条ただし書によって制限され丙がa持分を有効に取得するからです。つまり二重譲渡の関係ではない。 でも一方で裁判所は無条件で丙を勝たせるとバランスが悪い。しかし正面から対抗要件としての登記が必要とはいえない。だから仕方がないので保護要件としての登記が必要と勝手に要件を付け加えてしまったのです。 ざっくり言ってしまえば裁判所が勝手に付け加えた要件としての登記は権利保護要件としての登記だと考えておけば良いと思います。
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- uzaki
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たしかに、この遺産分割前の第三者に登記が必要なのは民法909条からすれば論理必然ではありませんね。要件に登記など書かれていないのですから。 ではなぜ裁判所は第三者が他の共有者に土地を取得したことを主張するためには登記を必要としたのか? それは何ら帰責性の無い他の共有者との利益調整のためなのです。 相続が開始しても遺産分割前であるならば自己の持分を超えた部分を登記することはできません。よって土地を譲り受けた他の共有者には登記が無くとも何ら帰責性はありません。 また、遺産分割時に見知らぬ第三者がやって来て「あなたがご兄弟から譲り受けた土地は実は私が取得した土地です」と突然言われる事態も発生してしまうでしょう。909条だけなら他の共有者は自動的に負けです。 しかし登記も何もない第三者がいきなりやってきて何ら帰責性の無い他の共有者にそう主張するのはあまりにもバランスを欠いています。 そこで裁判所は第三者と他の共有者との利益調整のために登記という要件を増やしてバランスを保とうとしたのです。 この場合の登記は民法545条1項ただし書きの第三者を保護するための権利保護要件としての登記とまったく同じです。
お礼
回答ありがとうございます。 私は、民法545条(解除権)の第三者についても理解出来てません・・・ 権利保護要件(判例は対抗要件として登記でしたか?)としての登記というのは、uzakiさんの説明で何となくは分かりました。 判例の理屈を完全に理解できたわけではありませんが、uzakiさんの説明は、具体例まで示してくださって、とても分かり易かったです。説得力があって納得してしまいました。
- maxasayu
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(1)は、対抗要件としての登記が必要という趣旨であり、 (2)は、権利保護要件としての登記が必要という趣旨なのです。
お礼
回答ありがとうございました。 権利保護要件というのは、私には難しい用語です(苦笑)
- v008
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別にそのままのことだと思います。 分割前に登記が必要という事は その後対抗関係が起きるということであって 譲り渡し人が譲渡していないという表示をしているということです。 その場合 登記することは可能であったのですから 他の相続人に対抗してその土地なり建物の持分を取り返すことは難しいという事になるでしょう。 譲り渡し人には当然債務不履行として履行請求権を行使できるし 賠償請求も可能かと思います。 特定不動産とかかれているのでどうかと思いますが 場合によっては取り戻し権もあるわけですから 譲り渡し人に他の不動産財産など支払能力があれば それ程大きな損害になるとも思えません。
お礼
回答ありがとうございました。 んー 法律的な難しい話をしてくださってるのでしょうが、私には、v008さんの仰ってる事が理解できませんでした・・・ 私の理解力不足で申し訳ありません。
お礼
再び回答してくださって、ありがとうございます。 >つまり二重譲渡の関係ではない。・・・・・しかし正面から対抗要件としての登記が必要とはいえない。だから仕方がないので保護要件としての登記が必要と勝手に要件を付け加えてしまったのです。 そうだったのですか! 正直なところ驚きました。どうりで私ごときが判例の理屈を理解できなかったわけです。 それにしても、私が勝手に要件を付け加えてしまうわけにもいかないようなことを、判例はそうしてたとは・・・と言っても大審院時代から判例として続いてるわけですし。 法改正でもされて、きちんと明文で規定されると良いですね。 二重譲渡の関係ではないから、対抗関係ではなく、権利保護要件。 ネットで調べても、何を言ってるのか分かり難く、理解できなかったところを、とても分かり易く説明してくださって感謝いたします。 大変勉強にもなりました。ありがとうございました。