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この概念を「複合罪」と表現することは可能でしょうか?

現在、ある国の刑法の和訳を行っている者です。 前回、刑法上の表現についていくつか質問をさせていただいたのですが、今回も、日本の刑法上の概念に照らした場合、概念上の相違があるのかないのかを確認したく質問させていただきます。 よろしくご教示のほどお願いいたします。 「一つの行為が、他の犯罪の構成要素または量刑を重くする理由を形成していることで単一の行為と考えられる犯罪を、複合罪という。」 訳文はこのようになり、「複合」はそのまま語義通りに訳しています。が、もともと日本の「複合罪」の定義がよく分かっていません。 「一つの犯罪が・・・単一の行為と考えられる」というところで併合罪とも観念的競合とも違うように思いますし。 少なくとも「複合罪」と訳した場合に、日本の法律上の概念からみて誤解が生まれないようにしたいと思います。「併合罪」「複合罪」「観念的競合」の違いも含めて教えていただければ助かります。

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回答No.1

わが国刑法を専門に研究しているわけでもないのですが、私が過去通読した刑法総論の教科書は3冊ありますが、そのどれにも「複合犯」という概念は記載されていませんでした。 「一つの行為が、他の犯罪の構成要素または量刑を重くする理由を形成していることで単一の行為と考えられる犯罪を、複合罪という。」 そもそもこの日本語が、わが国刑法の論理構造とは違うように思います。 もともと「一つの行為」なのに「単一の行為と考えられる」などという別途の判断をするべき事情は何なのか、「一つの行為」と「単一の行為」とは同じなのか別なのか、理解に苦しみます。 「単一の行為と考えられる犯罪」という言葉も理解に苦しみます。行為の概念は、刑法の考察対象を議論する際などに使われる概念であり、犯罪の前の概念です。なのに、この使い方は犯罪の内側の概念として用いられているように思います。 「犯罪の構成要素」というものが犯罪構成要件を意味しているのなら、わが国の罪数論では、ある行為が複数の犯罪を構成しうる場合に、それをどのように扱うのかという具合に議論します。そして、その判断はなぜそう扱うのかという犯罪間の関係性などに基づきます。つまり、「他の犯罪の構成要素」を含むのに「単一の犯罪」(行為ではない)と扱う場合がありうるし、そうでない場合もありうる、それの扱い方を考えるのが罪数論です。扱い方にはそうする理由があるわけです。その理由を示さないまま(ましてや)「単一の行為」といわれると、少なくともわが国の刑法の考え方からは「?」となってしまいます。 また、「量刑を重くする理由」というのは、様々なものを含みすぎですね。違法性の大きさ、責任の軽減・過重、斟酌すべき情状など、犯罪構成要件とは異なるものが多く含まれます。これらのものを犯罪の数などの考察に用いることはわが国刑法では一般にありません。 その国の刑法概念や刑法を支える哲学のようなものが、根本的にわが国のそれと異なっている可能性もあります。 ところで、他の国の刑法の和訳を行うということですから、失礼ながら、わが国刑法についてもっと理解を深められることをお勧めします。「併合罪」などの概念の相違などを確認なさっているようでは、他国の刑法の和訳など到底おぼつかないのではないかと懸念します。 私のような門外漢でも、やや無謀な取組ではないかと、(まことに失礼ながら)思ってしまいます。

tercumanya
質問者

補足

丁寧なご回答ありがとうございます。 確かに刑法上の知識がないと辛いものがありますが、私のようなマイナー言語の実務翻訳者は何でも屋で、いったん受けた仕事にその都度、納期に間に合うよう全力投球するしかない状況です。一から勉強する時間があればそれに越したことはないのですが・・・。 (海外在住なので、必要な資料を探すことも困難です) ところで「一つの行為が、他の犯罪の・・・」の一つの行為は「一つの犯罪」の間違いです。この箇所を訂正したとしても、日本の刑法的概念からすれば相変わらず意味不明なのかもしれませんが・・・。 それ以外の訳語については、これ以外に訳しようがありません。「犯罪の構成要素」の「要素」に当たる言葉はあくまで「要素」であって、「要件」的な意味は含まれていませんし・・。 論理構造が違うということで、字義通りの訳で進めるしかなさそうですが、気づいたことがございましたら、さらなるご教示をお願いいたします。

その他の回答 (4)

  • kanpyou
  • ベストアンサー率25% (662/2590)
回答No.5

日本の教科書では「複合罪」というものはありませんが、多くの教科書では以下のような分類(論点)をしていますよ。 I 罪数論  1. 犯罪の競合   a 単純1罪   b 法条競合   c 包括1罪   d 吸収1罪   e 科刑上1罪     観念的競合     牽連関係   f 併合罪   

tercumanya
質問者

お礼

二度にわたるご回答ありがとうございます。 書いてくださった罪数論には目を通しておりましたが、それらのいずれか一つに当てはまるのかどうかという点で何の確信ももてず質問させていただきました。 結局、無理に日本の概念に当てはめたりせず、字義通りといたしました。 どうもありがとうございました。

回答No.4

>それ以外の訳語については、これ以外に訳しようがありません。「犯罪の構成要素」の「要素」に当たる言葉はあくまで「要素」であって、「要件」的な意味は含まれていませんし・・。 当然これくらいのことはご存知だと思いますが、ごく一般的なわが国の犯罪論を以下に書いておきます。 わが国では、犯罪の対象となるのは「行為」であって、行為でないものは犯罪として検討する対象にも入りません。よって、構成要素も何もなく、最初からうち捨てられます。今は昔ほど行為論の議論がありませんが。 次に、犯罪として処置するためにはいくつかの検証過程を経ます。この部分が、「構成要素」といえばいえるかもしれません。これが、一般には、犯罪構成要件該当性、違法性、有責性と言われるものです。 犯罪とはこういうものをいうと事前に法に記述されているべきものでして、その記述に当該行為が当てはまるかどうかを判断するのが、構成要件該当性の部分です。 その上で、違法性の議論があります。犯罪構成要件はもともとこれが犯罪だという記述ですから、違法な行為の類型です。よって、一般には、構成要件に該当すれば違法であり、特別に違法ではない事態があるかどうかを検討します。よくあるのは、正当防衛などの議論ですね。 その上で、責任の有無を検討します。精神疾患のある方の責任能力の有無などというようなことですね。 これらの段階的考察には様々な学説の積み上げがあり、また、これらの要素の相互関係についても多くの考え方があります。よって、極めて簡略に図式的に書いているだけとお考えください。 もともとこれらの考え方は、ヨーロッパから輸入されたものですから、ヨーロッパの法律の影響を受けている国の法律では、何がしか類似のところがあるはずです。 あなたがどこの国の言語を専門にされているかは存じませんが、和訳を読むのは日本人で、外国刑法の和訳などを読むのは興味のある人=研究者でしょうから、わが国刑法のドグマに慣れ親しんだ人、ドグマが染み付いた人なわけです。よって、単に言語を置き換えても、批判ばかりではないでしょうか。 その国の刑法の理念や刑事制度などとの関連を踏まえて、また、わが国のそれらとの比較に留意しないと、訳したはいいけど受け入れられないということにもなりかねませんよ。

tercumanya
質問者

お礼

二度にわたり丁寧なご回答をお寄せくださり、ありがとうございました。調べられるものは調べ、どうすべきか悩んだ挙句、無理に日本の概念に当てはめることは諦め、結局字義通りに訳して納品いたしました。 こちらの弁護士の知人にも相談しましたところ、その人自身ヨーロッパ諸国の法律の訳を読む機会があるそうですが、「無理にその国の法律にあてはめたりせず、書いてある通りに訳してあるのが一番。法学者などは各国の法律の論理構造に違いがあることくらい分かっているはずだから」と言われ、なるほどその通りだと気が楽になりました。 次回、法律文関係の仕事がありましたら、今度はもっと勉強してから取り組むようにいたします。 どうもありがとうございました。

  • kanpyou
  • ベストアンサー率25% (662/2590)
回答No.3

>「一つの行為が、他の犯罪の構成要素または量刑を重くする理由を形成していることで単一の行為と考えられる犯罪を、複合罪という。」 「複合罪?」とされる行為は、日本の刑法教科書では、「包括1罪」「吸収1罪」「科刑上1罪」など、それぞれに応じて呼ばれています。 ・包括1罪…複数回にわたる賭博(麻雀やレースなど連続した賭博行為) ・吸収1罪…殺人行為における衣服などの損壊→殺人罪 ・科刑上1罪(54条1)   観念的競合…1回のピストル発射による、複数死傷や損壊→殺人罪   牽連関係…住居侵入と強盗など→強盗罪 「併合罪」については、未だ判決が為されていない犯罪行為がある場合、併合して判決をするというもので、「近接した行為」という関係になければならないというわけではありません。 「法条競合」は、ある『罪』についての派生関係についての体系的分類であると私は認識しています。例えば、(殺人未遂―『殺人』―同意殺人)のような関係について...

noname#110938
noname#110938
回答No.2

複合罪って概念はおそらく日本国刑法にはないね。 その「前回」の質問ってのでどんな回答が付いたのか知らないけど、このQ&Aサイトは結構でたらめな用語を使う回答がまま見られるから注意した方が良いよ(先日もちょっと書いたけど、刑訴の「拘留」「保釈」なんてその代表格)。一番良いのはある程度の大きさの法律学用語辞典できちんと調べること。そこに載ってないような用語はインチキである可能性が高い。もちろん、他国の法概念を和訳した概念で日本にはないというものもありうるので、それを考えると和訳の場合には原語、例えば英語なら英和の法律用語辞典を参照すべきだね。 >「一つの行為が、他の犯罪の構成要素または量刑を重くする理由を形成していることで単一の行為と考えられる犯罪を、複合罪という。」 はっきり言って、この文章は全然意味が解らない。一つの行為は一つなんだから単一の行為なのは当たり前でしょ?ここだけ切り出しても理解できないよ。前後文脈がないと。前後があっても解らない可能性はあるけどね。できれば原文も載せるべきだけど、英語じゃないと自分は解らないけどね。 加えて言うと、そもそも罪数論かどうかすら怪しい気がするね。例えば強盗罪は窃盗罪と暴行罪の結合犯であるという場合の「結合犯」のことかもしれない(案外これが正解じゃん?って気はするな)。 ということで、1番の回答と同じく、「理解に苦しみます」とならざるを得ない。

tercumanya
質問者

補足

ご回答ありがとうございます。 1番目の回答補足の方にも書いたのですが、「一つの行為・・・」の箇所は「一つの犯罪」の間違いでした。 なお、この文は単独の条項として独立したもので、この一文のみです。 「結合犯」とおっしゃってくださいましたが、確かにそれが一番近い気がします。この場合、「結合罪」としても間違いはないでしょうか?

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