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DNAのエチブロ染色とは?
- エチブロ染色は、二本鎖DNAの内部にインターカレートしたエチブロ分子を検出するための方法です。
- エチブロ分子はUV光のエネルギーを吸収し、590 nmの蛍光を放射します。
- 二本鎖DNAは260 nmの波長で励起され、300 nmの波長のエネルギーを放射します。
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>二本鎖DNAは260 nmの波長で励起されると300 nmの波長を放射するのでしょうか? 違います。DNAがエネルギーを吸収しやすい260 nmで励起すると、その励起エネルギーがインターカレートしているEtBrに直接転移されてEtBrが蛍光を発します。励起エネルギー転移(excitation energy transfer)という現象です。DNAとEtBrが複合体を作っていてあたかもひとつの分子のなかの励起エネルギー吸収団と蛍光団のようにはたらきます。 >ゲル中で300 nmの波長を放射すると、別にインターカレートしていなくても遊離状態のエチブロにも届いて励起することができてしまう気がします。 核酸のEtBr染色の検出方法としては、核酸の吸収波長ピークの260 nm付近の短波長UVで励起する方法と、300付近あるいは350付近だったかのEtBrの吸収波長ピークの長波長UVで励起する方法が両立して使われます。 短波長の方がフリーのEtBrが光らず、蛍光強度自体も強いので観察には向いていますが、核酸が吸収しやすい波長であるために核酸が傷みます(チミンダイマー形成や切断)。そのため、切り出して精製するような場合はEtBr自体の吸収波長ピークの長波長UVで励起するのが好まれます。 長波長で励起するとフリーのEtBrもインターカレーとしたEtBrも光って、核酸が検出できないのではないかというと、そうではありません。 フリーのEtBrは周囲の水分子にクエンチされて蛍光が減弱します。ところが核酸にインターカレーとしていると周囲の水分子が締め出されるために減弱が起こらず、フリーのEtBrより一桁以上強い蛍光を発します。そのほかにも核酸にインタカレートすることで核酸があるところだけにEtBrが蓄積するということもあります。 そういうことを調べた論文もありますので(また、まっとうな実験書では参考文献としてちゃんとあげていますので)正確なところは自分で読んでみてください。
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- Mr_Spock
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>この転移されたエネルギーの波長はエチブロがもつ励起光の波長(300nm)と等しいのですよね? 波長を持った光が転移するのではなく、エネルギーそのものが転移すると理解してください。 励起光がもつ光エネルギーは、物質に吸収されると励起エネルギーに変換されます。励起エネルギーはすでに光とは形のことなるエネルギーのなので波長がどうとかいうのは問題外です。物質によって吸収しやすい波長がことなり、光エネルギーが励起エネルギーになりやすい波長がEtBrとDNAでは違うというだけで、異なる波長の光エネルギーでも励起エネルギーに変換されれば区別はないです。また、励起エネルギーになるのは光エネルギーだけではないです。たまたまこの系では光で励起しているというだけで、ある波長の光でなければ蛍光を発生できないということでもないです。 化学の教科書に励起や蛍光の話も載っているはずですので、この際、そのへんから勉強し直してはどうでしょう。
お礼
本当にすばやいお返事ありがとうございました。とても分かりやすいです。励起や蛍光の基本から学んでみようと思いました。どうもありがとうございました。
補足
ご丁寧に分かりやすく、すばやいお返事ありがとうございます。論文なども検索していと思います。しかし、一つほど確認させてください。エチブロは、260nmの波長自身は、励起されませんが、260nm付近に励起光をもち、励起されたDNAにより転移されたエネルギーによりエチブロが蛍光を発することができるということは、この転移されたエネルギーの波長はエチブロがもつ励起光の波長(300nm)と等しいのですよね?つまり、励起された二重鎖DNAの放射光の波長が、エチブロの励起光の波長とほぼ同じだから起こりうることなのでしょうか?励起エネルギー転移は、転移されるものの吸収波長の範囲になければ起こりえないのですよね?すみませんが、もう少しここのへんをお願いしたいのです。