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片山前鳥取県知事の図書館政策について
鳥取県の前知事・片山善博さんは在任中、県庁内に図書室を設置したり県立高校に学校司書をおいたりと図書館政策に力を入れたことで有名なようですが、その具体的な成果は現れているのでしょうか。 貸出冊数が増えた、というだけなら、どこの図書館でも内容の柔らかい新刊(小説や漫画等)を大量購入すれば大幅に入館者数・貸出冊数は増えると思います。 現在、図書館運営が多様化している中で(公共図書館も学校図書館も民間やボランティアが運営して不都合はないように思える)、わざわざ税金をかけて取り組んだ意義がわかりません。 『「知る権利」を保障することで表現の自由を守る』、『生涯学習の場』などの社会教育施設としての図書館の役割も、インターネット時代ではあまり重要ではなく、貸出統計を見たことはありませんがほとんどの人が余暇を楽しむために娯楽小説や料理本を借りる無料貸本屋に成り下がっている気がします。 前知事が取り組んだことで、どのような具体的な『良いこと』があったのか御存知の方、教えて下さい。 以下のサイトは閲覧済なので、別の角度からのご意見を頂けると嬉しいです。 http://wwwsoc.nii.ac.jp/nal/events/reikai/2008/sp-report.html
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- tyr134
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まず、図書館の常識である「ランガナタンの図書館学の五法則」を 1.図書は利用するためのものである 2.いずれの読者にもすべて、その人の図書を 3.いずれの図書にもすべて、その読者を 4.図書館利用者の時間を節約せよ 5.図書館は成長する有機体である しごく、当然の事なのですが余り理解されていないモノだったりしますね。 特に、1~3が図書館の役割としてもっとも重要な事柄です。 本というのは、書かれて発刊されるだけでは意味をなさず、読者が居て初めて意味をなします。 そして、読者も本から多くの事を学ぶことが出来ます。(たとえそれが娯楽であっても) 図書館というのは、そうした本と読者を結びつけるのが重要な役割です。 また、後世に残していくのもその重要な役割です。 >『「知る権利」を保障することで表現の自由を守る』、『生涯学習の場』などの社会教育施設としての図書館の役割も、インターネット時代ではあまり重要ではなく、 ネットにはネットの、図書館(本)には図書館(本)の、それぞれメリット・デメリットが存在します。 少し簡単に纏めてみます。 ○インターネット ・メリット ・情報量がおおい ・端末と接続環境があれば、いつでもどこでも利用できる ・情報発信及び利用が容易になった ・匿名性が高い ・デメリット ・端末や接続環境が無いと利用できない ・情報保存が不安定(今まで利用してたホムペがいきなり閉鎖したりする) ・匿名性故に悪意のある情報が増える ○本 メリット ・紙媒体なので保存性が高い ・本以外に道具が必要ない ・(そこにあれば)いつでもどこでも読める ・著作者や発行機関など情報発信源がしっかり分かる デメリット ・量がかさばると重い ・水やカビに弱い ・絶版などになると手に入りにくい ○図書館 メリット ・必要な情報を無料で手に入れられる ・司書などの専門化のアドバイスがもらえる ・絶版の本でも手に入れやすい(相互貸借制度とか利用すれば) ・比較的質の高い情報が多い デメリット ・開館していないと利用できない ・貸し出し中だと利用できない ・利用時間が限られる場合がある と、まぁこんな感じでしょうか。 それぞれ、メリット・デメリットがありますし、そうした特徴を知って「デメリットを抑制し、メリットを最大限に享受」するように努力すれば、どちらも有用な情報源となり得ます。 優劣は付け難いですね。 >貸出冊数が増えた、というだけなら、どこの図書館でも内容の柔らかい新刊(小説や漫画等)を大量購入すれば大幅に入館者数・貸出冊数は増えると思います。 その通りで、じつは図書館業界の頭の痛いところもココなんですよ。 ランガナタンが言うよに、「いずれの読者にもすべて、その人の図書を」や「いずれの図書にもすべて、その読者を」というのが理想ではあります。 しかし、現実問題として資金(お金)とスペースの問題があります。 特に、お金の問題は、こと税金なだけに利用者が少ないと「税金の無駄」といわれ予算を減らされます。 「財政立て直し~」とか銘打って、まっさきに予算を減らされる筆頭が図書館や博物館、美術館などの公共教育機関です。 そこで、図書館側は予算確保の為に「利用者」を増やす努力をしなければなりません。 で、その「利用者を増やす」手っ取り早い方法が「漫画や新刊本」など流行りの本を入荷することなのです。 しかし、そうした流行りの本ばかり入荷していると、今度は図書館の質が落ちるという問題があります。 また、流行りなんて一過性のモノですので、結局は無駄な買い物になる可能性も高いです。 例えば、『ハリー・ポッター』がブームになった時、ウチの近くの公共図書館が大量に入荷しました。 すると、利用率が上がり、『ハリー・ポッター』の予約は数ヶ月待ち、その間にどうせ来たのだからと他の本を借りる人も増えました。 しかし、ブームが過ぎ去ると利用率が極端に下がり、大量に仕入れた『ハリー・ポッター』のほとんどが無駄になりました。(まぁ、古本屋に売却したんですけど、当然仕入れ値の半額以下で買いたたかれます) というように、流行りの本の入荷は一時的に利用者を増やすことになりますが、中長期的な視点に立つとデメリットのほうが大きくなります。 本来は、もっと社会教育の場であることを認識してもらい、利用者自らが学習意欲をもって積極的に利用してもらえるようにならなければならないのですが、昨今の活字離れやネットを過大評価する人が増えたので、なかなか利用者が増えてこないのが現状ですね。 >(公共図書館も学校図書館も民間やボランティアが運営して不都合はないように思える)、 図書館を民間に任せるのは、色々と議論が分かれるところです。 確かに、民間に任せればコストカットなどは出来るかもしれません。 しかし、民間に任せれば、必ずデメリットも噴出してきます。 特に大きいのは、偏向収集に走りがちになることでしょうか。(まぁ、一部の公共図書館も利用者が欲しいので流行りに飛びつくという偏向収集してるとこがありますけど。) 民間に任せて一番怖いのは、思想的な偏向に走られることです。 図書館は、「公正中立」でなければならず、宗教的・政治的・思想的な偏向があってはならないのです。 これは、「公共図書館」の大原則です。 そういった意味では、「税金」を使う分、偏向に走らないように監視の目が向かいやすいともいえます。 鳥取県知事の取り組みについては、ちょっと分かりません。 ただ、図書館の利用者数を増やすことで、学力の向上等につながっている例はちらほら聞きます。
補足
ご回答ありがとうございます。 ランガナタンの法則、利用者はもちろん知らないでしょうが図書館職員の間ではどの程度浸透しているのでしょうか(特に4!) >司書などの専門化のアドバイスがもらえる 何のアドバイスがもらえるのでしょう。 今までの経験では、明らかにアルバイトではない職員の方に尋ねても児童書ならいざ知らず、一般書~専門書についてはお手上げのようでした。 司書の資格も簡単に取得できるみたいですし、司書が専門家とはとても思えません。 >民間に任せて一番怖いのは、思想的な偏向に走られることです 公共でも数年前、千葉で「新しく歴史教科書をつくる会」の本が廃棄されたり、最近では大阪の図書館がボーイズラブ本の所蔵で話題になりましたね。 後者が思想的な偏向にあたるかはわかりませんが。 元厚生次官宅襲撃事件があったときも、事件後慌てて人事録を閉架にする所もあれば開架のままのところもあり。 一言で「公共」と言っても足並みがばらばらな状況では、民間、公共のしばりはあまり関係ない気がします。 完全な民間運営は図書館無料の原則に照らしありえませんが、 委託でコストカットすれば良いように思えます。 ただ個人的に片山前知事に好感を持っているため(笑) 彼が力を入れた政策がどのような効果を生み出しているのか知りたいのです。 >ただ、図書館の利用者数を増やすことで、学力の向上等につながっている例はちらほら聞きます 相関関係のデータ、どこかにないですかね~。 鳥取県民の方の声が聞ければ良いのですが…。