• ベストアンサー

オペアンプ回路のバランスを取るための抵抗について

電子回路の教科書に出ているオペアンプの増幅回路について質問があります。 反転増幅回路では、オペアンプの-入力端子に信号、+入力端子にGNDを接続しますが、本によっては「バランスを取るために」+入力端子とGNDの間に抵抗を接続しているものがあります。この抵抗の値はゲインをR2/R1として、R1と同じ抵抗値の物を入れるようになっています。 ゲインには関係しませんが、「バランスを取る」とは一体どういう意味なのでしょうか? 詳しく教えてください。 よろしくお願いします。

  • 科学
  • 回答数2
  • ありがとう数8

質問者が選んだベストアンサー

  • ベストアンサー
  • inara1
  • ベストアンサー率78% (652/834)
回答No.1

R を入れるのは、OPアンプの入力バイアス電流によって生じる誤差を打ち消すためです。入力端子とGNDの間に入れる抵抗の値は R1 ではなく、正確には R1*R2/( R1 + R2) にしなければなりませんが、R1 << R2 なら R1*R2/( R1 + R2) は R1 に近くなるので R1 と同じでも構いません。以下に R の値の計算方法を示します。 理想OPアンプでは入力端子に電流は流れませんが、実際のOPアンプではわずかな電流が流れます(fA~μA)。下図のように、入力端子に流れる電流(入力バイアス電流)を ib としたとき、利得を決める抵抗(R1 と R2 )に流れる電流は ib の分だけ違ってきます。                   i - ib →            ┌───── R2 ──┐       i →  │ ib →  V1┏━┓  │   Vin ─ R1 ─┴─────┨- ┃ │                  V2 ┃  ┠─┴─ Vout                 ┌─┨+ ┃               ib↑ R  ┗━┛   GND ───────┴─────── R1 を流れる電流が i のとき、R2 を流れる電流は i - ib になりますので、入力信号を Vin、出力信号を Vout 、反転入力端子(-)の電圧を V1、非反転入力端子(+)の電圧を V2 とすれば次式が成り立ちます(抵抗を流れる電流 = 両端の電圧/抵抗)。   i = ( Vin - V1 )/R1 --- (1)   i - ib = ( V1 - Vout )/R2 --- (2) 式(1)を式(2)に代入して i を消し、Vout について解くと    Vout = -( R2/R1 )*Vin + ( 1 + R2/R1 )*V1 + ib*R2 --- (3) となります。この式の右辺の ( 1 + R2/R1 )*V1 + ib*R2 の部分が誤差です(理想OPアンプでは Vout = -( R2/R1 )*Vin )。この誤差をゼロにするために、非反転入力端子に抵抗 R をつけるわけです。以下に R の計算方法を示します。 非反転入力端子に R がついているとき、非反転入力端子にも同じバイアス電流 ib が流れているとすれば    V2 = -ib*R となります。OPアンプの入力オフセット電圧(V1 と V2 の差)をゼロと仮定すれば、V1 = V2 (仮想ショート)が成り立つので    V1 = V2 = -ib*R --- (4) です。式(4)を式(3)に代入すれば    Vout = -( R2/R1 )*Vin - ( 1 + R2/R1 )*ib*R + ib*R2 --- (5) となります。この誤差の項 - ( 1 + R2/R1 )*ib*R + ib*R2 をゼロにするには    - ( 1 + R2/R1 )*ib*R + ib*R2 = 0 つまり    R = R2/( 1 + R2/R1 )     = R1*R2/( R1 + R2 ) とすればいいわけです。R1*R2/( R1 + R2 ) というのは、R1 と R2 の並列抵抗です。もし、R1 << R2 なら(利得が大きい場合)    R1*R2/( R1 + R2 ) = R1/( 1 + R1/R2 ) ≒ R1 なので R ≒ R1 としてもいいわけです。 最近のOPアンプはバイアス電流 ib が非常に小さいので、R をつけなくてもいい場合が多いです。R をつけないというのは、式(5)で R = 0 とした場合で    Vout = -( R2/R1 )*Vin + ib*R2 となって ib*R2 が誤差になります。 ib = 10nA、R1 = 1kΩ、R2 = 10kΩ の場合    ib*R2 = 10^(-8)*10^4 = 10^(-4) ですから 10^(-4) V 、つまり 0.1mV の誤差が発生します。この 0.1mV というのは入力換算(入力信号の大きさに換算したときの誤差)では 1/利得 の 0.01mV = 10μV に相当しますが、Vin がこの10μV より充分大きい場合には無視していい大きさです。

piano_lily
質問者

お礼

非常に分かりやすい丁寧な解説をありがとうございます。 問題の抵抗は、入力バイアス電流による誤差を補正するものだったんですね。 とても頭の中がスッキリしました。 本当にありがとうございます。

その他の回答 (1)

回答No.2

No.1の方が詳しく説明されていますが,若干補足すると, > 「バランスを取る」とは一体どういう意味なのでしょうか? オペアンプの反転・非反転入力に接続される直流抵抗を等しくすることです. ANo.1に習って計算した,バイアス電流による入力換算オフセット電圧が, オペアンプのデータシートに載っているオフセット電圧の概略1/3以下なら, 非反転入力に抵抗を入れても無意味です. 抵抗を入れたときの欠点は,抵抗から熱雑音が発生し雑音が増加する, 部品が増えて故障率も増加する,コストも増加することです. ここに,ベテランエンジニアの方も書かれていますが, 「R3のある図の反転増幅器は,このような理由から 初学者に提示すべき回路ではないと私は考えている。」 と言うことです. http://analog-engineer.cocolog-nifty.com/blog/2008/03/1_3150.html

piano_lily
質問者

お礼

ご回答、ありがとうございます。 バランスを取る抵抗を入れるか入れないかは使用する回路に依存するのですね。 教科書にはR3の入った回路は出てきませんでしたが、工作の本を見るといきなりR3が入っていて、それが理解できずとまどっていました。 ありがとうございます。

関連するQ&A

  • オペアンプ 加算回路での周波数帯域幅の最大化

    オペアンプを使って、 ひとつの入力をゲイン5倍に増幅 もうひとつの入力をゲイン8倍に増幅して足し合わせたい かつ、信号は反転させないときに 帯域幅を最大にするために、どのような設計を行えばよいのでしょうか? GB積一定からゲインを最小にすることで帯域幅を最大にできると思うのですが、 加算回路と反転回路を組み合わせて、 5倍、8倍のゲインの加算回路(R1=8k ohm, R2=5k ohm, Rf=40k ohm) とゲイン1の反転回路(抵抗の決め方はたくさんあると思います) であっているのでしょうか。

  • オペアンプ回路を組んでみました。非常に基本的な非反転増幅回路で帰還抵抗

    オペアンプ回路を組んでみました。非常に基本的な非反転増幅回路で帰還抵抗には250kΩ、 マイナス端子からGNDに1kΩがつながっています。電源は9Vの単電源で入力は1/2Vccのバイアスを乗せています。 ここで質問なのですが入力をGNDに短絡するとサーというヒスノイズが非常に目立ちます。 (エレキギターのブースターとして使うのですがギターのボリウムを絞ると入力がGNDに短絡状態になります) このノイズは消すことは不可能なのでしょうか?

  • オペアンプ反転増幅回路で+入力に繋がれた抵抗は何?

    独学でアナログ回路の勉強をしている素人です。 オペアンプの反転増幅回路の基本回路だと、+入力はGNDに落としていますよね。 しかしネットで検索すると、抵抗を介してGNDへ落とす回路を見かけました。 この抵抗の役割がわからず、困っています。 実際の回路の画像を添付しました。 添付画像の赤い矢印のところの抵抗のことですが、これはどのような役割をしているのでしょうか。 一段目のオペアンプのように抵抗を介さずGNDに落としてはいけないのでしょうか。 自分が購入したアナログ回路の設計入門書にも(入門だからか)載っていませんし、自分なりに調べましたが、この抵抗の役割だけどうしても分かりません。 どうかご教授お願い出来ませんでしょうか。 宜しくお願いします。

  • オペアンプの積分回路についてお尋ねします。

    オペアンプの積分回路についてお尋ねします。 入力電圧がVs、入力から-端子の間にある抵抗がR1、出力から-端子にフィードバックする間にあるコンデンサがC1、C1と並列に抵抗R2、+端子からR3を通してGND、となっている回路です。 Vs=Vsin(ωt+φ)としたとき、定常状態における出力信号の理論式を導きたいのですが、まず抵抗・コンデンサを考えて、R1+1/(R2+(1/jωC1)) とする方向性で正しいのでしょうか? またφの求め方がどうしても分かりません。 ご教授お願いします。

  • オペアンプによる信号増幅について

    入力信号の電圧が50mV程度であるとき、 教科書やHPでよくみる反転増幅回路でR1:R2=1:100にし、オシロで入出力を観測すると、理想としては入力に対して100倍近くの増幅ができるはずですが、 この時の抵抗値の選び方に制限はあるのでしょうか? R1=100Ω,R2=10kΩの場合と R1=1kΩ,R2=100kΩの場合は同じ意味をもつのでしょうか? オペアンプをつないだ場合入力も小さくなってしまい、増幅率もトランジスタでできるような5倍程度になったり、抵抗の値によっては増幅率がマイナスになったり。 R1の抵抗が大きいせいかと思い、色々抵抗を変えているのですが、なかなかうまくいきません。 R1と増幅回路周辺の抵抗値との比率などでうまくいかないこともあるのでしょうか? オペアンプに与える餌は乾電池による+6V,-6Vです。 よろしくお願いします。

  • 電子回路のオペアンプに関する質問です。

    直流オープンループゲイン100、カットオフ周波数100Hz、入力インピーダンス∞(Ω)、出力インピーダンス0(Ω)でただ1つポールを持つオペアンプについての問題。 このオペアンプのIN+端子を接地しIN-端子を入力端子とした場合について以下の問いに答えよ。 (1)伝達関数Gを周波数f(Hz)の関数として表せ。 (2)カットオフ周波数でのオペアンプのオープンループゲインは何dBか。 (3)入力信号んお周波数を∞(Hz)とすると位相変位はいくらになるか。 (4)このアンプのユニティゲイン周波数を求めよ。  問題文を見ると、回路の中に抵抗などを入れずにオペアンプと電源だけで回路を組み立てているように思ったのですが。参考書等を見ても反転回路などについてのことばかりで困っています。  解答いただけたら嬉しいです。よろしくお願いします。

  • 反転増幅回路の雑音

    オペアンプによる非反転増幅回路の雑音について勉強していましたが質問があります。 ここで非反転増幅回路は、オペアンプの+端子を入力とし、-端子側は抵抗R1を介してアースされ、かつ抵抗R2を介して、オペアンプの出力端子に接続したものとします。 さて、参考書によると入力換算雑音電流密度(δI)からの出力電圧ノイズへの影響δVを考えるとき、δIの電流が-端子から出力されてその全てが、フィードバック抵抗R2を通るとして計算し、δV=(δI*R2)とするということが書かれています。しかし、本来ならδIはR1、R2で分岐されているので、これは正しくないように思えるのです。これはどのように理解すればよいでしょうか?

  • オペアンプ ミキサー回路

    オペアンプを使用した2入力ミキサー回路を作りたいのですが、 入力と出力の振幅を合わせたいと思っています。 プリアンプとして1段目でオペアンプの利得を1/2で使用して、 その後反転増幅回路(利得1)で加算して位相を戻すという回路 で実現できないかと思っているのですが、オペアンプの利得を1/2 で使用することは可能なのでしょうか。 反転増幅回路で抵抗値を入力側22k、フィードバック側11kとすると実現 できそうな気がしますが、何か不都合は起こらないでしょうか。 宜しくお願い致します。

  • オペアンプの反転増幅回路について

    オペアンプの反転増幅回路について 画像にある抵抗RLって増幅度とどのような関係があるんでしょうか??R1、R2は増幅度をあらわす式で用いられているので関係あるのはわかるんですが・・・

  • オペアンプの反転増幅回路について

    オペアンプの反転増幅回路について 画像にある抵抗RLって増幅度とどのような関係があるんでしょうか??R1、R2は増幅度をあらわす式で用いられているので関係あるのはわかるんですが・・・