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ハミルトニアンとラグラジアン
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ハミルトン形式およびラグランジュ形式が含まれる解析力学には2つの 意義があります。 1)古典力学の座標系の一般化 2)古典力学から量子力学、場の量子論に物理学を構築した際の重要なつなぎ 近代物理学はニュートンの運動方程式から始まりました。これは質量を 持ち、大きさを持たない”質点”に対する理論です。ニュートンの運動 方程式は、aとFをベクトルとして、 m*a = F というベクトルの式になっています。 実際の計算には”座標系”を持ち込んでスカラー化してやる必要があり ます。 この時、座標系としてデカルト座標を利用した時には、 m*a_x = F_x, m*a_y = F_y, m*a_z = F_z という各成分に対して対称で、変数分離された式になります。所が、 曲座標のような非デカルト座標を用いると、一般に変数分離できて いない式になってしまいます。 ラグランジュ形式は、運動方程式を、非デカルト座標系で、 変数分離されていて各成分で同じ形の式にするための方法です。 ただし、任意の座標系が許されるわけではなく、座標変換に 微分等の時間依存項が含まれないという制限があります。 ハミルトン形式は、より一般的な座標変換で形が変わらない ように運動方程式を構成するための方法です。 ラグランジュ形式も、ハミルトン形式も、古典論の範囲では、 ニュートン力学で説明できない何かを付け足した訳ではありません。 物理学上、解析力学が重要なのは2の理由からです。 ニュートン力学が、電子という本当の質点に対して破綻していることが 発見されました。この問題の克服のために、量子力学が構築されたのは ご存知かと思います。電子等の質点に対する量子力学は、ハミルトン形式 の上に体系づけられました。これが、量子力学が力学なのに、”力”が でてこなかったり、”ハミルトニアン”が出てくる理由です。 一方、ラグランジュ形式は、量子力学を、質量を持たない光子も記述 できるように拡張する上で重要な役割を果たしました。 量子力学と場の量子論を学習すれば、解析力学の位置づけ がよく理解できます。しかし、こういった事情を知らなければ、 ポアソン括弧やら、正準変換やら、無味乾燥な記号遊びに見えても しかたないですね。 このあたりは、 高橋康著『量子力学を学ぶための解析力学入門』講談社サイエンティ フィクの(かなり冗長な、でも面白い)助言に詳しく書かれています。 是非ご一読を。
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