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鉄粉は燃焼時になぜはねるのか
炭が燃焼時にはねるのは、含まれる水分が急激に水蒸気に変わるからだと聞いています。 炭は粉にすると燃やしてもはねません。 鉄粉は燃やすと線香花火のようにはねます。 鉄粉に水分が含まれていてはねるとは考えられないので、なぜはねるのでしょうか。 どなたか教えていただけないでしょうか。 よろしくお願いいたします。
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鉄粉が何故爆ぜるかといいますと、 鉄粉に含まれる炭素が燃焼して、一酸化炭素や二酸化炭素のようなガス成分を生成してしまうからです。 鋼材をヤスリで摩り下ろした鉄粉には、鋼に既に炭素が添加されています。(大方の鉄は多かれ少なかれ炭素を含有した鋼か鋳鉄です) また、工業的に生産する鉄粉も、酸化鉄(錆)をコークス等の炭素で還元するか、鋼を溶解し霧状に噴射して製造します。 これらの鉄粉に含まれる炭素は、炭化鉄、ないし黒鉛(グラファイト)の形で存在しています。 では何故、内部から爆ぜるかと言うと、 鉄粉の表面の炭素が急激に燃焼すると言うだけではありません。 鋼(鉄)材は表面から数ミリまでは、組織(結晶)の隙間に分子量が小さい大気の成分が容易に浸透してしまいます。工業的に生産した鉄粉は錆を還元し生成したものなので多孔質です。鋼材を摩り下ろした鉄粉、工業生産された鉄粉、いずれの場合も鉄粉粒子内部の炭素まで酸素が到達し、高温で急激にガス成分を生成してしまうんです。 蛇足ですが、 純粋な鉄(Fe)から成る鉄粉は、酸化してガス化する成分を有しないので、爆ぜずに錆と化すか、反応熱で溶解するかのどちらかです。 また、耐熱性の高い鉄合金(ハイス鋼、耐熱鋼)の鉄粉も容易に爆ぜません。高温でも安定した組織を形成するようにクロムや珪素、モリブデンを添加したり、或いは炭素を抑えた成分となっているからです。
お礼
Ivane様 専門家の方からこのようなていねいで、素人にも分るご説明を頂いて感激しております。 なぜ、鉄粉がはねるのか、心から納得しました。内部に含まれる炭素が燃焼時に空気中の酸素と化合し、二酸化炭素や一酸化炭素の気体となるからなのですね。 鉄粉のビンには炭素を含むという表示がないので純粋な鉄粉のみだと思っていました。むしろ、特殊な場合を除いて、鉄(製品)には炭素が入っていると考えるべきだということが分りました。 本当にありがとうございました。