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仲原中也の 残暑、除夜の鐘について教えてください。
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【1】「残暑」の構成は、4行-4行-4行-2行の4連からなるソネット形式です。彼は、虫や風などの自然音から回想や妄想の世界に入っていく手法を好んだそうです。詩集のタイトル「在りし日の歌」は中也独自の語法で、普通の日本語では「過ぎ去りし日の歌」と言うべきところであり、「子供時代の出来事を回想する詩」ぐらいの意味だそうです。詩の文法的意味は、アンニュイな夏のある日、次々と脳裏に浮かんでは消えていく思い出(たぶん、子供のころの故郷の出来事)の不連続な流れに中也は浸っていた。白昼夢なのか回想なのか、判然としないうちに眠ってしまい、目を覚ますと夕方であった。庭木に水をかけると、夏の夕方の太陽光が、庭木の葉に残った水滴にあたり、美しく光った。太陽光が庭から消えるまで、水滴の光をじっと見ていた。消えていく光に、中也が大切にしている回想がやがては消えていく(いつかは死ぬ?)という宗教的な感情を象徴させているのかもしれませんが、これは、わたしの勝手な深読みでしょう。 【2】「除夜の鐘」の構成は、3行-3行-3行-3行の4連からなるソネット形式です。彼は、子供時代から仏教やキリスト教に接する機会が多く、宗教詩人ともいわれるそうです。この詩でも鐘の音から回想や妄想の世界に入っていく手法を使っています。また、彼は、「遠い」という心理表現を使って時間的・空間的な距離感や疎外感を描くのが得意であり、「遠い」は、「過ぎ去りし日の思い出」に沈潜する詩人、中原中也のキーワードだそうです。「除夜の鐘」では、各連が、1行目と3行目が2行目をはさむサンドイッチ構造になっており、2行目と他の行との距離的な対比が、時間軸と空間軸が歪んでいる夢の中の映像のように、表現されています。第4連の2行目の囚人は、死刑を宣告されているのでしょうか。温かい家庭で育っている子供と囚人の耳に、年末の雑踏音が同じに響くはずがありません。死が固定観念化していた中也にとっては、そばを食べる子供の幸福と刑期が一年分経過した囚人の悲しさとの両方が、遠い除夜の鐘の音のように繰り返し響き続けるのです。 ・・・てな感じで、どうですか? 日韓友好の架け橋になってくださいね。
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