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固定相場制なのに過大評価とは?
高校生ですが最近経済学の勉強をしています。 そこでテキストや学術書で独学しているのですが、どうしても理解できないことがあるので質問させていただきます。 固定相場制の問題点として、為替レートの過大評価というものがあると思います。その理屈は理解できました。しかし、実際のところイメージがわかないのです。とある通貨にペッグしているということは、それを維持している限り、例えば円がドルにペッグしている場合は100円=1ドルで変動しないはずです。しかし、実質為替レートが過大評価され、経常収支の悪化が起こるとテキストには記述されています。つまり輸入増加輸出減少の貿易収支赤字が生じるという様に理解をしています。 なぜ為替レートの額面が変化しないのに、経常収支の悪化が起こるのでしょうか? かなり初歩的な疑問だとは思いますが、お教えいただけると幸いです。 よろしくお願いします。
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- gootttt
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高校生で経済学を勉強とは凄いですね。経済学は社会科学の中で最も社会を見渡す能力が高い学問だと思っています。 キチンと勉強していれば政治家やコメンテーターの話をキチンと分析でき、嘘が見抜けるようになると思うので頑張ってください。 基本的に固定相場の下での適正な為替水準とは経常収支均衡(+ -0)の時の為替水準を指します。 つまり経常赤字が続くようならば過大評価、黒字が続くようならば過小評価なわけです。 その意味ではNo1さんの説明は正しかったわけですが >実質為替レートが過大評価され、経常収支の悪化が起こるとテキストには記述されています。 >つまり輸入増加輸出減少の貿易収支赤字が生じるという様に理解をしています。 ↑の回答に関しては、No1さんの回答は質問者さんの質問は少々違う経路の問題だと思います。 実質為替レートが過大な状況とは、自国通貨が過大な状況だと思います。 つまり、No1さんの例で言うとインフレが起こったのはアメリカではなく日本だということです。 以下ちょっと細かい説明になります。 ・日本でインフレが起こった場合 『日本の』おにぎりの価格が100円→200円になるということで、ドル換算では1ドル→2ドルになります。 輸出の面から見ると、アメリカ人は今まで1ドルだったおにぎりが2ドルになるわけです。この時、アメリカでのおにぎりの売り上げはかなり減少するでしょう。 つまり輸出減です。 逆に、『アメリカの』ハンバーガーは1ドルのままですから、円換算でも100円のままです。 逆に、日本国内ではおにぎりが倍に値上がりしているのにハンバーガーが100円のままならばハンバーガーの売り上げは急増するでしょう。 つまり、輸入増です。 この結果、輸出量は減り、輸入量は増えます。 それを為替換算で計算するわけです。 つまりおにぎり(輸出)の売り上げが70になって、ハンバーガー(輸入)の売り上げが120になっても。 輸出額 70x200=14000 輸入額 120x100=12000 黒字なので為替レートはいまだ過小評価なわけですね。 ただ1ドル=100円で均衡していたところにインフレが起こり円の価値が下がったのに、経常収支が黒字になるというのは考え難い状況です※。 恐らくおにぎり(輸出)の売り上げは半分以下になって、ハンバーガー(輸入)の売り上げは増加するので経常収支は赤字になると思います。 おにぎりの売り上げが40、ハンバーガーの売り上げが150だとすると。 輸出 40x200=8000 輸入 150x100=15000 経常収支 8000-15000=-7000 つまり7000円の赤字になるわけです。 固定相場制の下での経常赤字は、外貨の流出を招くわけですから、7000/100=70ドル外貨準備が減ります。 外貨準備が0になると輸入ができなくなります。この市場経済社会の中で輸入が全面停止すると経済が破綻するので、その前に景気を引き締めて(不況を起こして)消費を抑えるか※2、為替レートを切り下げる(1ドル=200円にすれば貿易関係は元通りです)必要があります。 為替の話をもう少し進めていくと、低為替政策(過小評価)、高為替政策(過大評価)の意味、つまり良く言う円高と円安どちらが得なのか?という話も説明すると為替の話が良く分かると思うのですが、今回はこれくらいにしておきます。 もし、まだ興味があるのでしたら、言ってください説明させてもらいます。 ※ そもそも2ドルでも70個売れるならそっちの方が儲かるわけですから、インフレ前でもその価格で販売していた筈です。 アメリカでおにぎり一個1ドルとは当時の環境下で最も儲かる価格だったわけです。しかしインフレによって生産費が上がってしまったのでやむなく値上げしたという事ですね。恐らくこの場合売り上げは半分以下に下がるでしょう。 ※2 不況にしてハンバーガーを買えなくする、更に国内のおにぎりも売れなくなるので余ったおにぎりが輸出される事になる。どちらも経常赤字解消に役立ちます。
- tackt-i
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高校生で経済学ですか。 勉強熱心で素晴らしいですね。 さて、ご質問について、簡単ですがお答えします。 結論としては、固定相場制では、一国の物価(=貨幣価値)の変動に対応できないからです。 シンプルなモデルで考えてみましょう。 (1)固定相場、1ドル=100円とします。 (2)日本はアメリカへ、毎年1個100円のおにぎりを100個輸出します。 (3)日本はアメリカから、毎年1個1ドルのハンバーガーを100個輸入します。 (4)アメリカのハンバーガー1個と日本のおにぎり1個は同価値とします。 上記の条件においては、 (A)日本の輸出額は 100円×100個=1万円 輸入額は 1ドル×100個=100ドル=100×100円=1万円 となり、貿易収支は0円で均衡しています。 さて、ここで、アメリカの物価が上がり(=ドルの価値が下落し)、ハンバーガーが1個2ドルに値上がりしたと仮定します(日本のおにぎりは変わらず)。 この状態で、同数の輸出入を行うと、 (B)日本の輸出額は 100円×100個=1万円 で、変わらずですが、 輸入額は 2ドル×100個=200ドル=200×100円=2万円 となり、貿易収支は1万円の赤字となります。 仮に、変動相場下であれば、ドルの価値の下落(=ドル安・円高)を反映し、1ドル=50円で、 (C)日本の輸出額は 100円×100個=1万円 輸入額は 2ドル×100個=200ドル=200×50円=1万円 となり、貿易収支の均衡が保たれます。 (B)を(C)と比べた場合、為替相場がアメリカの物価変動を反映せず、50円の価値しかない1ドルを100円と過大に評価しているため、貿易赤字となっているのが分かると思います。 もちろん実際の為替相場は、金利動向や経済情勢などの要因があるので、こんなにキレイには計算できないですけどね。
お礼
とても丁寧なご回答、どうもありがとうございました。 簡略なご説明で、良く理解することが出来ました。