日本の神話について調べた書物が中国にないようなので、古事記は日本人が書いたとして、日本書紀について書きます。
森博達氏の研究によれば、日本書紀の巻十四~二十一、巻二十四~二十七については、正しい漢文で書かれているので、渡来人が書いた部分だろうとのこと。他はヘンテコな漢文もどきなので、日本人が書いたものに間違いなさそうです。いずれにしても、書かせたのは藤原不比等でしょう。
中国の史書を参考にしたのは確実です。壬申の乱の瀬田合戦の記述など、そのまま後漢書光武帝紀から引き写しているくらいです。
また魏志倭人伝については、神宮皇后のところでわざわざ引用し、「魏志倭人伝にある倭の女王卑弥呼は、実は神宮皇后である」とでも主張しているかのような印象を受けます。ひょっとすると、魏志倭人伝に卑弥呼が出てくるのにあわせて、神宮皇后というシャーマンをこしらえたのかもしれません。
結論:日本書紀は中国の史書を参考に書かれてますので、中国のものを間違えて、ということは考えられません。
ただし日本書紀は、史実を記録するために書かれたのではなく、史実として残すべき内容を後世へ伝えるために書かれた書物らしいので、内容をどのくらい信じていいのか、慎重にならないといけない書物です。たとえば、平均年齢三十歳程度と推測される時代に、天皇が百三十歳まで生きてたり、明らかにおかしな記述満載です。