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追加:キシレンの吸光度について
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一般に有機分子はピークの吸光度で光を吸収し易いかどうか見分けますが,その他に振動子強度(光吸収確率)によって議論することもあります。振動子強度はバンド全体のモル吸光係数の和に比例します。振動子強度は遷移双極子モーメントの二乗に比例します。ここで,遷移双極子モーメントは波動関数から求められます。具体的には分子の対称性を用いp-キシレンの場合は多分D2h(群論の本で確かめて下さい)になります。そこで一電子励起状態の対称性からπ-π*遷移が許容遷移であり,またそのエネルギーレベルも計算できます(ヒュッケル法)。定性的には対称性が大きいと許容遷移が増え,遷移双極子モーメントが大きくなり光を吸収し易くなるということです。光を吸収するという事は過渡的にその振動子で振動する双極子を持っていなければならず,つまり(光の)振動電場による摂動で励起状態と同じ基底状態の波動関数をつくることで遷移が起こります。(誘導放出のアインシュタイン係数やフェルミのゴールデンルール,遷移の選択則を調べてみてください) 参考文献はマカッリーサイモンの物理化学や量子化学問題の解き方などですが, 私自身も量子化学の良本を探しています。洋書ではJ.B.BirksのPhotophysics of Aromatic Molecules(1970)がありますが古いです。
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