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マジックリアリズム
うまく理解出来ません。それまでの手法と、どのように異なっていたのでしょうか?
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- aster
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ラテン・アメリカの魔術的リアリズムは、独特の文化的背景で生まれています。作品を読んでいない者がこういうことをいうのはおかしいですが、ラテン・アメリカの歴史的経緯と現状を、自然主義リアリズムのなかに「魔術的」要素を入れて、鮮明に描き出したということなのだと思います。 マルケスの「百年の孤独」は、1967年に書かれています。魔術的リアリズムという言葉が流行したのは、1970年代で、それはラテン・アメリカの作家、特にマルケスを第一に、その他、ラテン・アメリカに独特の「幻想的リアリズム」という訳の分からないように思えるスタイルを呼んだはずです。 それから30年が経っています。魔術的リアリズムの技法は、色々な後続する文学で取り入れられ、おそらく現在では、最初に、ボルヘスとか、マルケスの作品が出た時の新鮮な驚異はなくなっているでしょう。 というのは、そういうスタイルは、一杯あるように思えるからです。しかし、元のスタイルは、ホルヘスやマルケスが造ったのだと思います。 怪奇小説や恐怖小説の分野では、最初に出たゴシック・ノヴェルは、ウォルポールの「オトラント城奇談」ですが、これはリアリズムと関係のない空想の作り物の話でした。しかし、怪奇小説は、自然主義リアリズム描写のなかで、怪奇現象を出した方が効果があるというのは、分かって来ます。 ブラックウッドなどは、そういう作風になっています。 トールキンの「指輪の王」も、あれが最初に出た時は、あのスタイルのファンタシーは、彼の作品でスタイルが完成した最初のものだったのです。その後、ヴァリエーションが一杯出て、現在に至っています。トールキンは、1960年代かそれ以前のはずです。 現代は、日常リアリズムの世界に、怪奇や魔術が出ても、少しも不思議でなくなっており、ブラックウッドだと、まだ、怪奇についての独特の思想や表現スタイルがありましたが、日常生活に魔術が出てくるのが、スタイル的に違和感なく連続している作品が現在多数氾濫しています。 そういう視点から、マルケスの作品を見ても、何が新しかったのか、分かりにくいのかも知れません。「魔術的リアリズム」の手法を取り入れた作品が多数書かれ、またそれを模倣した作品がそれ以上、多数、出ているからです。 >ガルシア=マルケス >http://www.page.sannet.ne.jp/megmeg/viaje96/latino/garcia_marquez.htm
- aster
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「マジックリアリズム」というのは確か、或る南米の作家群の作品に付けられた評価語だったと思います。例えば、ガルシア・マルケスの「百年の孤独」とか、カルペンティエールの作品に付けられた評価表現ではなかったかと思います。 カルペンティエールはある短い作品を読んだと思いますが、何やら、途轍もなく奇妙な感じがしましたが、面白いとは思いませんでした。マルケスの「百年の孤独」は持っていますが、読んでいないと思います(読んだ記憶がありません)。 この場合、「マジック」は、「リアリズム」がその極に達して魔術のようになったのではなく、リアリズムで描いているはずの小説世界に、魔術的構造が出てきて、それがリアリズムと祖語していないというか、妙に調和して、奇妙な印象が出てくることでしょう。 ボルヘスはかなり読みましたが、彼もマジックリアリズムだとすると、確かにそういうことが言えそうです。「エル・アレフ」のような作品は非常に美しく、しかし目眩がするような魔術性があります。追跡する者が追跡される者になったとか、円環構造的魔術作品が多かったと思います。 しかし、「マジックリアリズム」というと、絵画の分野でも言うらしく、また、映画の分野でも言うようです。 映画では、アレクサンドル・ソクーロフの作品をマジック・リアリズムと評価している人がいるようです。ソクーロフは見たことがないのですが、彼はタルコフスキーの作風を継承しているということです。 そこで、タルコフスキーの作品を考えると、「私映画」などと評されていましたが、最初期の「僕の村は戦場だった」が、かなり忠実なリアリズム作品の形式を踏んでいたのに対し、「鏡」になると、南米作家のマジックリアリズムと同じ意味で、マジックリアリズムだと思います。 作品はリアリズムで造っているのですが、魔術が入ってきます。映像の魔術ではなく、構造が魔術的なのです。あるいは、その「思想」が魔術なのかも知れません。 ルネ・マグリットの絵画にも、マジックリアリズムという評価があるようで、シュールレアリスムは、結局、マジックリアリズムとどう違うのかとも思います。エルンストも、ダリも、魔術的だと言えます。 結局、どの分野の誰の作品のマジックリアリズムを念頭されて質問を立てておられるのでしょうか。
補足
回答ありがとうございます。 マルケスの作品に対する解説に頻出していたので、疑問に思い質問をしました。 ここで使われる「魔術」とはどのような意味なのでしょうか?