エール出版「私立文系中退・ひきこもりからの医学部再受験」を読んで(正直、強い憤りを覚えました!)
この本の著者は山田泰夫という人です。
多分、偽名でしょう。何故か?・・・それは本文を読まれれば分かると思います。
プロフィールに(いくら冗談半分としても)猫年生まれ?なんて書いてるし、生年月日や某総合病院勤務というだけで専門の科も明記していません。単なる合格体験記の冊子の類ではありませんし、仮にもれっきとした一冊の単行本(1300円もします!)なのです。一流出版社の本なら絶対に最低限そのくらいは書くはずです。(信用にもかかわりますから)
この様な受験生相手の特殊な本ということでここまでアバウトでも許されるのでしょうか?
医者ともあろう人がそもそも真剣に医学部受験を考えている受験生や保護者、大学中退者、一旦社会に出てからの再受験者、等々に対して失礼極まりないです。
(一体、あなたは何を考えているのか?)
また、受験生応援出版社として結構、ためになる本を数々出していたエール出版社に対して、どうして今回このような不真面目な人間の書いた本を世に出したのか?という疑問も残ります。インパクトある本の題名に飛びつき、購入した人も多いのではないでしょうか?(エール出版を支持していたのに残念です・・・)
内容があまりにも現実的でないばかりか(中退した私立文系とは慶応ですし)、自分の周囲や一般的な人の人生といったものを実に小馬鹿にしています。
普通、私立文系といえばそこそこの中堅どころを思い浮かべます。あえて、そこを辞めて国立大医学部受験だなんて、「よし、自分にも出来るかも!?」なんて殆どの人が飛びつきたくなるような題名がそもそもいけない。ぶっちゃけ、慶応(または早稲田)中退では受かるパーセンテージは高いというもの。およそ一般的、現実的な話ではないでしょう。
この著者はもともと頭がいいかも知れない(厳格な教育者の家庭に長男として生まれたという)、それゆえせっかく現役で入った慶応すらも何だか物足りなくて下に見ているし、学部卒業後の一般的サラリーマンやその人生も自分には向いてなくてつまらないと言う。だから、医学部に入りなおし医者になったと=それが学費を出してくれる親に対してせめてもの申し訳や結果として自分を対等に見てくれる証だとも言う。そして何より自分自身に対しても言い訳が立つと言う。・・・何だかとても、屈折している様な・・・それは本文中の文章からも伝わってきます。
入ったのは東北地方の新設国立大医学部医学科。それでもかなりの難関には違いない。全国各県にある同様の新設国公立大医学部に入りたくてもなかなか入れない人は多い筈。何浪かしてやっと入りそこでも苦学の末、医師として立派に活躍している人も決して少なくないでしょう。
いえ、むしろこのような苦労人こそ、患者にとって本当に有難い存在なのではないでしょうか?臨床や医療現場ではエリート医師なんかよりも、よっぽど弱くて苦しい立場の人を(自身の人生経験上からも)理解できるのではないでしょうか?
この本の著者のように紆余曲折の後、医学部に入り医師になった・・・そこまでは「小説」「日記」として半ば興味本意で読めてもそれから先は一体どうなんでしょう?医者になれば何でも言えるのですか?いえ、言ってもいいものなのでしょうか・・・
喉元過ぎれば何とかで・・すでに医師という職業に胡坐(あぐら)をかいてて、面白おかしく茶化しながら純粋な受験生に書きたい放題を書き、はたしてそのような者の一体何が相手に伝わるというのですか・・??
とにかく、この本は最低です。すでに読まれた方、店頭でパラパラと拾い読みされた方、この本に限らず同種の本や合格体験記を読まれた方、どう思われますか?
お礼
書店で中身を見たことがあります。 本のタイトル通り勉強法や参考書・問題集などの情報がありなかなか凝ったものでした。 この本に書いてあることを鵜呑みにしそのまま実行していいのかと悩んでるんですよねぇ・・・