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金本位制どの弱点、難点

tiuhtiの回答

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  • tiuhti
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回答No.3

既にご存知と思いますが、基本的なところから始めると、「通貨が予め定められた比率で金と交換できる」、「通貨発行量は、中央銀行が保有する金(厳密には金本位制を取っている外国の通貨も)によって決定される」というのが金本位制度です。世界各国が金本位制度を採っていると、為替市場が変動相場制をとっていても、金との交換比率から計算される為替レートから大きくずれる事はありません。ずれると、金での決済の方が有利になるからです。 例えば、1円は0.75グラムの金、1ドルは1.5グラムの金、という交換比率が日米の中央銀行によって決められていたとします。この場合、為替レートは1ドル=2円から大きくずれる事はありません。日本人にとって、2.2円を払って1ドルを買うぐらいなら、2円を日銀に持ち込んで1.5グラムの金に変え、それをアメリカに送って1ドルの代わりにした方が言いからです。(だから、1ドル=2円とのずれは、金の現物の輸送費や保険料から決まります。) さて、何らかの理由で日本が大幅な貿易収支の赤字=輸出<輸入=になったとします。 現在のような変動相場制では、円安になる事で、日本での輸入品の競争力が低下し、日本からの輸出品の競争力が増す事で、貿易収支を均衡に向かわせるような力が働きます。 しかし、金本位制では、為替は事実上固定されているので、そういう力は働きません。どうやって均衡されるかというと、貿易収支の赤字→金(あるいは外国の通貨)の国外流出→日銀の金保有の減少→通貨発行量の減少→デフレ&景気の悪化→輸出競争力の回復&輸入の減少、という経緯をとる事になります。(わりと大雑把な議論ですから、細かい所は無視してます。) 貿易収支の黒字の場合は、逆に国内インフレ&景気の過熱の結果、収支均衡に向かう力が働きます。 つまり、同じように、調整機能はビルトインされていますが、現在の変動相場制&管理通貨制度に比べて、金本位制&事実上の固定相場制では、「インフレ&景気過熱orデフレ&景気の悪化」という痛みを必ず伴う、と言うところが違いであり、最大の難点です。金本位制だと、例えばアメリカで景気が悪くなると、それは、他の国でのアメリカ向け輸出の減少→金保有の減少→通貨供給量の減少→デフレ&景気の化、という形で、他の国に伝わってしまいます。「アメリカが不景気になると、皆が不景気にならざるをえない」のは、金本位制の必然なのです。 他国の影響を、完全には無理だとしても、できるだけ回避して、自律的に回復しようとしたのが、1929年のアメリカ発の大恐慌の後(1931年)の各国の金本位制からの離脱、と理解しています。

noname#2813
質問者

お礼

ありがとうございます。 とても説得的で勉強になります。

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