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鉄の加熱時間と伝熱・伝導について
- 鉄の加熱時間と伝熱・伝導について教えてください。
- 8m³の加熱炉に50cm × 50cm × 1000cmの角鋼材を入れて炉内をバーナーで700℃に加熱したと仮定した場合、角鋼材の中心部が700℃になるまでの時間を算出する計算方法がありますでしょうか?
- 質問は非常に抽象的ですが、鉄の加熱時間と伝熱・伝導について教えてください。
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鋼材の断面が50×50程度で比較的小さく,炉中で空気(燃焼ガス?) を介して加熱される状態なので,表面温度と中心温度の差は小さいと仮定 することができると思います。 前記のように仮定して,炉壁の放射熱で鋼材が加熱されるとすれば, 炉壁と鋼材の温度差,鋼材の表面積(多少詳しく考えれば鋼材の放射率) から鋼材への入熱量が算定できます。鋼材の熱容量は寸法から計算できま すので,温度上昇を簡単な数式で表すことができるようになります。 ただし,炉壁が700℃であって,鋼材の温度が700℃に達する時間を 求めようとすると,無限大時間掛かると言う結果になります。炉壁の温度 を鋼材の加熱目標温度より高い値に考えれば,具体的な答えを得ることが できます。 炉壁が700℃では時間が求まらないので,仮に800℃とします。 鋼材の初期温度を20℃,放射率を0.3(みがき材程度)と仮定したとき 熱伝達係数は29W/m^2・K程度です。 (黒皮材ならば,放射率が1に近づき,もっと熱伝達が良くなりますが 窒素雰囲気を使うのであれば,表面酸化を防ぐ意図があると想定して みがき材程度の放射率を仮定しました) 熱伝達係数の値は,物体の表面積1m2において,周囲温度と温度差が1K のときに29Wの熱伝達が行われると言う意味です。 鋼材の表面積は約0.2m2 温度差は800℃-20℃=780K 従って,鋼材は 29W/m^2・K×0.2m2×780K=4524W=4524J/s の仕事率で加熱されます。 鋼材の質量は約19.5kg,比熱は461J/kg・Kですから, 熱容量は8990J/K 従って,鋼材は以下のような温度変化率で加熱されていきます。 4524J/s ÷ 8990J/K=0.5K/s 20℃の材料が700℃に加熱されるには700℃-20℃=680K 温度上昇させる必要があります。 680K÷0.5K/s=1360sで700℃に達すると求められます。 鋼材の温度が上昇するに従い,炉壁と鋼材の温度差は小さくなっていきま すので,温度変化率は時間とともに減少します。このため,700℃に達 するのには更に時間が掛かり,3100S(約50分)程度になると思い ます。(計算省略) 細かい根拠や式は省略しましたが,だいたい計算の雰囲気を把握して頂けた でしょうか? 放射率,比熱などの出典 http://www.hakko.co.jp/qa/qakit/html/index2.htm 計算省略した部分 温度上昇=初期温度差×(1-exp(-t/τ))のような関係式で表せます。 上記例で温度差は780K tは経過時間(s) τは熱時定数(s)・・・・上記の例では,1550(s)ほどです。 丁度熱時定数に等しい時間加熱したとき温度上昇は初期温度差の63%(=1-1/e) 熱時定数の2倍の時間加熱すると温度上昇は86%(=1-1/e^2) 熱時定数の3倍の時間加熱すると温度上昇は95%(=1-1/e^3) のような関係です。 ここでeは自然対数の底(≒2.718)です。
その他の回答 (1)
回答(1)さんが説明されている内容と同じですので詳細は省略しますが、伝熱 に関し判り易く説明したサイトを紹介しておきます。「伝熱工学」‐「Excelに よる伝熱工学」の項目を選択ください。
- 参考URL:
- http://chemeng.on.coocan.jp/
お礼
ご回答ありがとうございます。紹介サイトに早速アクセスしてみます。
お礼
詳しい解説まで頂き、大変感謝致します。 今まで感覚的に扱ってきた部分なのですが、理論的に導き出す方法 があるのですね。感動しています。 内容を細かく確認させて頂きました。なるほどと思うばかりです。 その中で数点もしよろしければ、追加で教えて頂きたいのですが、 ?熱伝達係数 29w/?・k は放射率等から算出した値なのでしょうか? それとも既知の数値として一般的に公表されているものなのでしょうか? ?>τは熱時定数(s)・・・・上記の例では,1550(s)ほどです。 とありますが、1550(s)はどこから出てきたのでしょうか? ? 3100(s)の算出は 温度上昇=780k×(1-e^(-3100/1550))=780k×0.86=674k で狙い温度700℃近辺になるのでという事なので導き出したのでしょうか ? 詳しい説明 ありがとうございます。 考え方としては (言葉の表現は素人なので、小生なりの表現を使った部分 があります。) ?加熱物への伝熱量=熱伝達係数×表面積×温度差 ?加熱物への必要な熱量=重量×比熱 ?伝熱量÷必要な熱量=温度変化率(K/s) ?温度差÷温度変化率=加熱必要時間 しかし、目標温度に近ずくと温度変化率が小さくなる為、?の加熱必要時間 は実際より短い時間になっているので ?温度上昇=初期温度差×(1-e(-t/τ)) 温度上昇:加熱物到達温度-スタート温度 初期温度差:被加熱物-スタート温度 t:経過時間 τ:熱時定数(温度差÷温度変化率) もしくは(必要な熱量÷入熱量(=熱伝達係数×表面積)) 例 800℃-20℃=(700℃-20℃)×(1-e^a) a=-t/τ 780℃=680℃×(1-e^a) e^a=-(10/68) を求めるという流れで理解しました。 今回は加熱炉を想定しての計算でしたが、炉壁温度、雰囲気温度は 熱電対で700℃と設定しています。だから小生が考えるに加熱バーナー 温度が雰囲気の対流伝熱により被加熱物に伝わり温度が目的の温度に 達すると考えて 加熱物温(バーナー温度)とし被加熱物温(鉄の温度)と想定して考えれば いいのかなと思いました。 同じようなケースなのですが、1000?の鉄を20m^3の容積炉に入れて 加熱した場合、目的温度600℃に到達する為の時間を求める考え方について 小生なりに考えてみました。 鉄比熱 0.14kcal/kg・℃ 空気比熱 0.314kcal/Nm^3・℃ バーナーの熱量 10万kcal/h Q1(バーナーの熱量)=Q2(鉄の必要熱量)+Q3(空気の必要熱量) 10万kcal/h×t=1000?×0.14kcal/?・℃×(600-20℃)+20m^3×0.314kcal/Nm^3・℃×(600-20℃) t=0.85h(≒50分) といった具合の考え方でよかったでしょうか? 単位換算とか似たような用語が出てくるので理解に苦しむ部分とかありますが 非常に興味深い技術分野ですね。非常に勉強になります。