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漱石のロンドン日記?
dayoneの回答
「ロンドン市民が 大泣きしている様子」の場面記述は存じませんが、 夏目漱石の生涯で「イギリス国王の訃報に際して」となりますと、 御質問タイトル「漱石のロンドン日記?」と留学中の事なら「ヴィクトリア女王」、 御質問文中の「イギリス国王」=「男性」の御主旨で留学中以外なら「エドワード七世」、 何れか曖昧な可能性も含むかもと(勝手に)想定して、少し調べてみましたので、 「ヴィクトリア女王」除外が明らかな場合、以下は笑ってスルーして下さいm(_"_)m 留学中(1900<明治33>年10月28日ロンドン着~1902<明治35>年12月5日ロンドン発)の 「ヴィクトリア女王」崩御(1901年1月22日)に関連する日記と書簡の記述を 以下に抽出してみましたが、残念ながら「ロンドン市民が 大泣きしている様子」の 場面記述は登場せず、どちらかと言えばドタバタした様子も伺えます。 〇『漱石全集.第十五卷 日記及斷片/夏目漱石著/漱石全集刊行會/昭和11.7』 「日記(明治三十四年一月一日より十一月十三日まで)」 http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1883350/28 <28/484>(38・39頁) ・一月二十一日 月/女皇危篤ノ由ニテ衆庶皆眉ヲヒソム ・一月二十二日 火/The Queen is sinking. Craig 氏ニ行ク、 ほとゝぎす届く子規尚生きてあり ・一月二十三日 水/昨夜六時半女皇死去ス at Osborne. Flags are hoisted at half-mast. All the town is in mourning. I, a foreign subject, also wear a black-necktie to show my respectful sympathy. "The new century has opened rather inauspiciously," said the shopman of whom I bought a pair of black gloves this morning. ・一月二十四日 木/Edward VII 卽位ノ Proclamation アリ、妻ヨリ無事ノ書狀來ル、 終日散歩セヌト腹工合ガ惡イ散歩スレバ二圓位ノ金ハ必ズ使ツテ歸ル此デ困ルナー …(中略)… ・一月二十六日 土 http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1883350/29 <29/484>(40・41頁) /女皇ノ遺骸市内ヲ通過ス …(中略)… ・一月二十八日 月/昨日ハ女皇死去後第一ノ日曜ニテ諸院皆 Handle ノ Dead March ヲ奏シ muffled tolls of Bells ヲ響カス此夜モ鐘聲頻ナリ …(中略)… ・二月二日 土/Queen ノ葬儀ヲ見ントテ朝九時 Mr.Brett ト共ニ出ヅ Oval ヨリ地下電氣ニテ Bank ニ至リ夫ヨリ Twopence Tube ニ乘リ換フ Marble Arch ニテ 降レバ甚ダ人ゴミアラン故 next station ニテ下ラント宿ノ主人云フ其言ノ如クシテ Hyde Park ニ入ルサスガノ大公園モ人間ニテ波ヲ打チツヽアリ園内ノ樹木皆人ノ實ヲ結ブ 漸クシテ通路ニ至ル http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1883350/30 <30/484>(42頁) ニ到底見ルベカラズ宿ノ主人余ヲ肩車ニ乘セテ呉レタリ漸クシテ行列ノ胸以上ヲ見ル、 柩ハ白ニ赤ヲ以テ掩ハレタリ King German Emperor 等随フ http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1883350/31 <31/484>(45頁) ・二月十四日 木/今日ハ Edward VII ガ始メテ國會ヲ開ク開院式デ大騒ギダ 此間ノ Victoria ノ葬式デ閉口シタカラ行カナイ、… 〇『漱石全集.第十六卷 書簡集/夏目漱石著/漱石全集刊行會/昭和11.12』 「明治三十四年」 http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1883362/77 <77/444>(137頁) ・一〇一/二月九日 土/ …(中略)… http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1883362/78 <78/444>(139頁3~4行目) …(中略)… …夫から倫孰の方はいやな處もあるが社會が大きい女皇が死ねば葬式が倫孰を通る 王が卽位すれば「プロクラメーシヨン」が倫孰である… …(中略)… http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1883362/81 <81/444>(144頁7~10行目) 先達ての女皇の葬式は見た「ハイドパーク」と云ふ處で見たが人浪を打つて到底行列に 接する事が出來ない其公園の樹木に猿の様に上つてた奴が枝が折れて落る然も鐵柵で尻を 突く警護の騎兵の馬で蹴られる大變な雜沓だ僕は仕方がないから下宿屋の御爺の肩車で 見た西洋人の肩車は是が始ての終りだらうと思ふ行列は只金モールから手足を出した 連中が續がつて通つた許りさ …(中略)… http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1883362/82 <82/444>(147頁) ・一〇三/二月二十三日 土/ …(中略)… 〔はがき 四月二十日發行『ホトトギス』より〕 女皇の葬式は「ハイド」公園にて見物致候。立派なものに候。 白金の黄金に柩寒からず 屋根の上などに見物人が澤山居候。妙ですな。 凩の下にゐろとも吹かぬなり 棺の來る時は流石に靜粛なり。 凩や吹き靜まつて喪の車 熊の皮の帽を載くは何といふ兵隊や。 熊の皮の頭巾ゆゝしき警護かな もう英國も厭になり候。 吾妹子を夢みる春の夜となりぬ http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1883362/83 <83/444>(148頁) 當地の芝居は中々立派に候。 滿堂の閣浮檀金や宵の春 或詩人の作を讀で非常に嬉しかりし時。 見付たる菫の花や夕明り なお(前掲)『漱石全集.第十五卷 日記及斷片』では、 「日記(明治四十二年九月一日より十月十七日まで)」の次は 「日記(明治四十三年六月六日より七月三十一日まで)」、 「斷片(明治四十二年一月頃より六七月頃まで)」の次は 「斷片(明治四十三年夏胃腸病院入院中頃)」の構成で 何れも「エドワード七世」崩御(1910<明治43>年5月6日)頃の分の記述は無いようです。 一方(前掲)『漱石全集.第十六卷 書簡集』「明治四十三年」では、 http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1883362/401 <401/444>(784・785頁) ・九七六/五月二十二日 日/… …昨二十日は英國先帝の遙拜式有之大分盛大の模様、 白馬會と太平洋畫會と同時に開會賑やか候。… http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1883362/403 <403/444>(788・789頁) ・九八三/六月四日 土/… …○此間の英國皇帝の遙拜式の記事(築地會堂の)は讀んで面白かつた。 且書き方がうまいと思つた。… などと、「エドワード七世」崩御関連はあるものの、 我が国での遙拜式とその記事に言及する程度。 以上 仮に「ヴィクトリア女王」の可能性を含むとしましても、 前記抽出文では全くピンとこられず御記憶と符号しない場合と、 また「エドワード七世」限定の場合でも上記から、 「日記」「書簡」類などは除外できると言えそうですね^^
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