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古典力学の仕事と熱力学の仕事
古典力学では仕事は経路に寄らないものと習いましたが、 熱力学では経路によって仕事の大きさが変わるので状態量ではないと 言っております。 これは根本的に何が違っているのでしょうか? よろしくお願いいたします。
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#3です。 >エンタルピーのH=U+pVのpVは状態量となっています。 これも仕事だと思うのですが、なぜ状態量なのでしょうか? 確かにpVの単位はN・mで仕事の単位と同じです。しかし前にも言ったように、たとえ単位が同じだったとしても、同じものを表すとは限りません。 まず状態変化による仕事の増分は、 p・dV (1) です。(1)を状態(p0,V0)から状態(p,V)まである経路で積分した時、 ∫p・dV=p・V-p0・V0 (2) のようになる、というイメージだと思うのですが、(2)のようになるならもちろん仕事は状態量です。しかし一般的に(2)のようには、決してなりません。従って、 ・pVは仕事ではありません。 ではエンタルピーのpVの意味は何なのか?というと、正攻法は#5さんです。 そうなんですが、これでは余りに身も蓋もないので強いて言うと、状態方程式を思い出してください。理想気体ではpV=nRTでした。よってpVは、系の温度に相当する項です。なので状態量です。 もう少し数学よりの説明も可能です。 ある量Xが状態量であるとは、Xが(p,V)または(V,T)または(T,p)の一価関数である事を言います。一価関数という言い方は厳密には用語の流用であり、関数なら必ず一価でなけりゃいけないので、2価関数などは本当は関数じゃないのですが、わかりやすいのでこういう言い方をします。 X(p,V)=pVは、もろに(p,V)の一価関数ですよね?。だから状態量です(^^;)。
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- htms42
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>エンタルピーのH=U+pVのpVは状態量となっています。 これも仕事だと思うのですが、なぜ状態量なのでしょうか? 簡単な説明にします。 p、V空間で考えているとします。 p、Vが状態を表している量であるというのはいいのですね。 p、Vが状態量であればpVも状態量です。pとVで表されるすべての量は状態量です。p、V空間の中のどこかの点に対応します。x=f(p,V)で値が決まるということです。状態が決まるというのはこのように値が決まるというのと同じことです。グラフを書いたり、微分をしたりすることができるというのも状態量だからです。 pVはエネルギーの次元を持っていますが仕事ではありません。 仕事はpΔVです。pΔVはp、V空間内の点に対応させることはできません。
お礼
詳しい説明ありがとうございます。
おおきなお世話な#8です。 ・フェルミ熱力学,エンリコ・フェルミ,三省堂. をお奨めします。フェルミ熱力学は、日本では1973年(41年前)に初版が刊行され、内容を変える事無く2011年には33回目の増刷になったという(ほぼ1.5年に1回)、専門書としては超のつくベストセラーかつロングセラーです。 自分の意見では、わずか150ページに薄さに熱力学をまとめた、非常な良書です。状態量の事やエントロピー(熱力学第2法則)、熱力学の本質が現象論で定性論である事など、熱力学の本質と思考過程が非常に明解にコンパクトに語られます。 自分は、状態量やエントロピーなんかのところで、目からうろこが落ちました。物理って、数式が全てじゃないんですよ。 間違っても最初に、キャレンの熱力学なんか読んじゃ駄目です(^^;)。
お礼
詳しい説明ありがとうございます
- uen_sap
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古典力学ではそんなこと言っていません。仕事はルートによって異なるのが普通です。 何かの情報が混線して理解してませんか。 位置エネルギーは高さのみで決まりますからルートによらない。 このことと、熱力学の仕事と同列に論じられますか?
- htms42
- ベストアンサー率47% (1120/2361)
>古典力学では仕事は経路に寄らないものと習いましたが、 熱力学では経路によって仕事の大きさが変わるので状態量ではないと 言っております。 「経路」という同じ言葉を使っていますが意味が違いますね。 力学的な仕事で出てきたのは位置空間の中での経路です。 熱力学で出て来ている経路は状態量空間(たとえばp、V空間)の中での経路です。
- NemurinekoNya
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これは、ルジャンドル変換なんですよ。 L = L(x,y)として、これが全微分可能であるとする。 ルジャンドル変換 L' = L - xX X = ∂L/∂x すると、L'は全微分可能になる。 でですね、熱力学の第一法則(の微分形)は dU = TdS - PdV T = ∂U/dS, -P = ∂U/∂V それで、 L = U, x = V とおくと、 X = ∂L/∂x = ∂U/∂V = -P となって、 L' = U - V(-P) = U + PV = H Hは全微分可能だから、その経路によらない《状態量》となります。 ヘルムホルツの自由エネルギーFも、ルジャンドル変換すると L = U, x = S, X = ∂U/∂S = T L’ = L - xX = U - ST = U - TS = F となって、出てくきます。 ですから、熱力学の第一法則をルジャンドル変換を使って変形したものに過ぎないですよ。 内部エネルギーやエントロピーが状態量ならば、 エンタルピーやヘルムホルツの自由エネルギーも状態量となるんでございます。 ギブスの自由エネルギーは、エンタルピーを全微分し、ルジャンドル変換すれば出てきますよ。 第一法則は d'Q = dU + PdV ですよね。ここで、d’は全微分ではない微小量をあらわします。 でもこれを絶対温度Tで割ると、全微分可能になって、 dS = d'U/T = (dU+PdV)/T となる。 ───このあたりの議論は、数学というよりも物理。カルノー・サイクルなどを仮定に入れると、出てくる─── なので、 数学的には、絶対温度T(または1/T)は、 全微分でないもの(熱量)を全微分にする《積分因子》と考えることができます。
お礼
詳しい回答ありがとうございます
- 中村 拓男(@tknakamuri)
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>古典力学では仕事は経路に寄らないもの 間違い。ものすごい勘違いです。是非復習してください。
古典力学でも熱力学でも、仕事という量の定義そのものは何も変わっていません。 以下は混乱するかも知れないと思い、ちょっと迷いました。なので混乱するなら忘れて下さい。 まず仕事と系のエネルギー(力学なら系の力学的エネルギー)のニュアンスはちょっと違うんです。単位が同じなので同じものと見られがちですが、「用語としての位置づけ」が違うんです。 仕事とは、エネルギーの移動量の事をさします。似たような例として、力積があります。2つの粒子が衝突した時、持っていた運動量の一部を粒子間で伝達し合いますが、この伝達された運動量の事を伝達運動量と呼ばずに、力積と呼ぶのと同じです。なので力積の単位は運動量と同じです。 仕事とはエネルギーの移動量の事で、特に力学的変化(力×距離)に基づくものを、そう呼びます。古典力学においても摩擦がある場合、仕事は状態量でなくなります。古典力学の状態は、質点の(位置,速度)で定義されるからです。 従って奇妙に聞こえるかも知れませんが、摩擦のある力学系では、系のエネルギーも状態量ではなくなります。摩擦によるエネルギー散逸過程までは、質点の(位置,速度)という単純な状態の定義で表すには、無理があるからです。初学者に対してこの事が、明確に述べられる事はほとんどありません。 これを強調したところで、あんまり生産的ではないからです。そこでそのような系は古典力学としては、除外したがる傾向にあります。 除外した結果は、いわゆる保存力しか働かない保存系となり(例:重力しか働かない=最も単純に系の状態は位置のみで決まり)、系のエネルギーも仕事も状態量です。ところが今度は、仕事によるエネルギー移動が系のエネルギー増減に直結するために、系のエネルギーと仕事の位置づけの違いが、逆に不明確になります。 普通はこんな状態で、熱力学に突入する訳です(^^;)。 でも次の一文は見たことあると思います。 ・摩擦があっても、摩擦による熱エネルギーまで考慮すれば、系のエネルギーは保存する. (1) (保存するのだから、当然状態量) 論理的に言うとこれは、力学において力学的エネルギー保存を含む形でエネルギー保存則を、より一般的に述べるために、熱力学の結果を先回りして使った事になります。 しかし力学における観察結果(1)が、熱力学の第1法則の基にもなっています。それで熱力学の第1法則は、 ・熱力学的系のエネルギーは、状態量である. (2) となります。ここで熱力学的系の状態はたいてい、(圧力,体積)で定義されます。ところが熱力学は本来、系の内部機構に踏み込まない現象論です。それで(2)はまさに「天下り」に与えられ、「とにかく信じろ!」と言われます。 まずここで不信感が芽生えます(^^;)。 次にエネルギー移動についてはどうでしょう?。熱力学でエネルギー移動は2種類あります。一つは仕事(圧力×体積変化)、もう一つは熱量の移動です。 熱量移動もエネルギー移動なんですが、ヤカンをコンロで温める事態がとても力学的とは思えないので、しかたなく「熱」と言ってるだけです(^^;)。 でもどっちもエネルギーの移動なんですよね。それで、 ・熱量の移動の事を、熱エネルギーと言っちまう(^^;). 訳です。その結果、さらにもやもやします。 もうおわかりと思いますが、熱力学では、「仕事+熱量」のエネルギー移動を取って初めて、系のエネルギーは状態量になります。 仕事単体,熱量単体では一般的には状態量になるとは限りません。簡単な考察からすぐに、そうでないケースを考えつけます。しかし事態を悪くしてるのは、単体でたまたま状態量になる特殊ケースもある事です(例:断熱系)。だから「一般的には」です。 断熱系ではたまたま熱量=0なので、たまたま、系のエネルギー変化(状態量)=仕事(状態量になっちまった!)、であり、基本はあくまで、 ・系のエネルギー変化(状態量)=仕事(非状態量)+熱量(非状態量) (3) です。(3)の数式を少々いじくると、 ・孤立系のエネルギーは保存する. (4) が出てきます。仕事も熱の出入りもなければ、系の内部エネルギーは一定だ。そんなの当たり前じゃないか・・・、となりますが、エネルギーが状態量である事と状態方程式から、系のエネルギーは温度のみで決まるね(理想気体の場合)・・・という風に議論は進んで行きます(^^;)。 ちょっと長かったですが、こんなところでどうでしょう?。
お礼
非常に分かりやすい回答ありがとうございます。 理解できました。 ところでおう一つ質問があるのですが、 熱力学の第一法則の Q=ΔU+Wという公式の仕事のWは非状態量なのに対して、 エンタルピーのH=U+pVのpVは状態量となっています。 これも仕事だと思うのですが、なぜ状態量なのでしょうか? よろしくお願いいたします。
- NemurinekoNya
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摩擦力のような非保存力が働いている場合、力学においても、仕事は、その道筋によります。 たとえば、 車の燃料(エネルギー)消費量は、出発地点と目的地の位置関係だけでは決まらず、その道筋によって左右されるでしょう。そして、目的地から出発点に帰って来るのにもエネルギーが必要です。つまり、この場合、力学的なエネルギーは保存されていない!! 仕事が、その道筋によらないのは、重力や電磁気力などの保存力の場合です。そして、この場合、重力や電磁気力のような保存力の働いている場では、ポテンシャルが定義でき、保存力はポテンシャルの微分(勾配)で表わすことができます。 そして、摩擦などで失われたエネルギーは、最終的に熱になります。 より広いエネルギー保存則が成立している。 ですから、古典力学と熱力学とは矛盾しません。
お礼
先ほど力学を読み直したら非保存力のことが書いてありました。 回答ありがとうございました。
- doc_somday
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>古典力学では仕事は経路に寄らないもの それはおかしい、成り立つのは真空中だけ。 更に「力学」でのみ正しい。 熱力学は、統計力学に含まれている、だから「ランダム」な分子(じゃなくても何でも良いが)群を扱う、状態量になるはずが無い。
お礼
回答ありがとうございます
お礼
回答ありがとうございます。