イオン化傾向はご存じですね。
ここから5種類の金属を使って説明します。
Al>Fe>Cu>Ag>Au
まず、鉄鉱石とは鉄の酸化物で、Fe2O3、Fe3O4などです。
製鉄所では鉄鉱石に炭素 C を加えて還元して鉄を作ります。
ところが、イオン化傾向の大きいアルミニウムは酸素との結合力が強く、
アルミナ Al2O3 は炭素 Cでは還元することが難しいのです。
ですから、高温で溶かして電気分解(融解塩電解)します。
Auはイオン化傾向が非常に小さく、酸化されずに、自然界では単体で
発見されます。砂金拾いという仕事があるのもこのためです。
ツタンカーメンのマスクが3000年輝いていたのもこのためです。
Cu、Agはイオン化傾向がやや小さい金属です。
放置だけではなかなか酸化されませんが、高温にすると反応性が高まるので、
酸化されます。これは、化学反応がおこるときには活性化エネルギーが必要で、
温度を上げるとそのエネルギーをもつ分子や原子が増えるからです。
温度を上げると原子や分子のもつエネルギーが増えて、より自由な状態、
すなわち気体になろうとする性質があります。(エントロピーの増大)
水を加熱すると水蒸気になるのもこのためです。
温度を非常に高くすると、活性化エネルギーの問題よりもエントロピーの問題の方が
大きくなります。太陽の表面温度である6000℃くらいにすると、ほとんどの物質は
気体になります。
CuとAgではAgの方がイオン化傾向が小さく、Oとの結合が弱いです。
ですから、Agは比較的低温で酸素を離します。
(約200℃) 2Ag2O → 4Ag + O2
しかし、CuはOとの結合力が強いので、酸素を離す温度が高いのです。
(約900℃) 4CuO → 2Cu2O + O2
(約1600℃) 2CuO → 2Cu + O2
最後に、この質問はバカな質問ではありません。
教科書に書いてあることを理由もなく鵜呑みにできる方がおかしいのです。
ただし、教科書も丸暗記をさせるために書かれているのではないのです。
上記の説明が中学生には難しいので割愛しているだけです。
お礼
イオン化傾向はいまいち理解できなくてそのままにしていたのですが、もう一度調べ直しました。化学式まで描いていただいて、ありがとうございます!