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「上弦の獅子を喰べる獅子」
こんにちは。 読書なのか、宗教なのか、それとも哲学なのかカテゴリーに迷いました。 「上弦の月を喰べる獅子」著:夢枕獏 を読みました。この本についてのある(感想)文で 『仏教的世界観ってのは、最先端科学(不確定原理・相対性理論等)に通じる部分がある。』という一文 を読んだのですが、「仏教と最先端科学の通じ方」について、仏教知識ゼロの私にわかるように、簡単にご説明いただきたいのですが、お願いいたします。 この本は、すごいスケールですごい設定ですごい世界観の内容なので圧倒されてしまいました。仏教ベースだと思いますが、知識ゼロの私にもイヤな感じはうけませんでした。 あと、読まれた方の簡単な感想などもお聞かせいただければうれしいです。 よろしくお願いします。
- Hime2001
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- gekkamuka
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Hime2001さんの「すごい…」の繰り返しで、この作品に大きなインパクトを受けられたご様子が窺われます。 もしご質問の主眼が「仏教と最先端科学の通じ方」にあるのだとしたら、ここではレスが付きにくく、やはりそれに向いたジャンルでご相談された方がよろしいのではないでしょうか。 ではなくて、あくまでも小説としてのこの作品に留まったものであるということでしたら、夢枕本人のあとがきにある「数式を使わないで、言葉の表現や文書のレトリックよって宇宙を描けないものか」「文章というやり方で宇宙を表現していくこの旅」という言葉が、何より直截に自身で語ったこの作品の主題ではないでしょうか。 そしてこのような意図は、そもそも詩人としてのデビューを志した若き夢枕獏の短篇集『猫弾きのオルオラネ』『風太郎の絵』で、既にその原型が瑞々しくも甘い軟らかさでなぞられているのではないでしょうか。 キマイラシリーズの風太郎詩人岩村賢治もしかりであり、最近文庫にもなった『月に呼ばれて海より来る』はそのタイトルからしてもそうですし、やがて畢生の大長編へと成長した若きブッダの『幻獣変化』シリーズもまた別のアプローチでの宇宙構築であるでしょうし、近年の一連の山岳小説もまた新たな角度での挑戦なのだと思われます。 つまりは、夢枕獏のデビュー以来のかなりの部分がこの作品とは不即不離な結びつきを成していると思います。 ですから、今受けたインパクトを醒めないよう、いわば牛でいう<反芻胃>にお預けされ、上で上げた彼の幾つかをお読みになられたら、また本作品への新たな明かりも必ずやご自分自身のお力で見出されるのではないでしょうか。 また、解説の野阿梓や巽孝之の文章もとても丁寧で、それぞれどういう関連小説があるのかも含め鑑賞の手引きとして示唆に富んでいるのではないでしょうか。例えば中沢新一への接近としての『ブッダの方舟』とか、『百億の昼と千億の夜』や『妖星伝』『天を越える旅人』など他作家の素晴らしい作品などは本作品を語る上で欠かせないものではないかと思います。
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お礼
gekkamukaさま とてもご丁寧なご回答をいただき、ありがとうございます。 私が欲しかった回答は、やはり 「仏教と最先端科学の通じ方」 ですので、また、別の場所で自分なりに調べてみようと思います。 ありがとうございました。