「純資産合計」に反映される「剰余金の配当」は前期分?それとも当期分?
会社法が施行されて1年以上が経過しました。
会社法の施行により、財務諸表のうち、特に純資産の部(旧資本の部)が変わりましたよね。
客先の財務諸表と株主資本等変動計算書をみると、当期(19/5期)の純資産合計から「剰余金の配当」として300万円が控除されていました。
私の理解では、旧来の「利益処分」があった際の「資本の部」における資本合計には、株主配当金と役員賞与金のいわゆる「社外流出分」は当期には反映されず、反映されるのは翌期であり、現在の会社法における「純資産の部」には当期(この場合であれば19/5期)の期中(何回でも配当ができるようになったので)、あるいは当期末における社外流出分が既に反映済みだと思っていました。
しかし、客先の顧問税理士によると、この300万円は前期(つまり18/5期)の分で、前期の剰余金の配当金額が当期末の純資産合計に反映されているのです。
「個別注記表」をみると、「株主資本等変動計算書に関する注記」として、「当事業年度中の剰余金配当の総額は3,000,000円、配当の原資は利益剰余金、1株当たり配当額は3,000円です。これらの配当の基準日は平成18年5月31日、決議日は平成18年7月18日、効力発生日は平成18年7月18日です。」とあります。いずれも昨年の「平成18年」なのです。
これって、私の理解が間違っているのでしょうか?
新「会社法」における貸借対照表は、旧来は翌期に支出しているがゆえに、その結果は翌期に反映されていた社外流出分を、当期の貸借対照表を見るだけで、実質的な純資産が分かるようになった、と理解していたのです。
客先は建設業を営んでいます。
ご承知のように、建設業では経営事項審査という公的な審査があり、財務諸表の内容もその重要な一部を占めています。
経営事項審査における「自己資本」とは、旧来は資本合計から「利益処分」における「社外流出分」を控除したものでした。
これは、経営事項審査が、公共工事の発注者(役所)が入札参加資格審査における企業格付け(特AランクやAランクなど)を決めるため、言い換えると、元請負人を選ぶための「企業評価」を本旨としている関係で、翌期を待たずに早い段階で企業間に差異を付ける必要があることから、当期の「資本合計」から(支出は翌期であっても)社外流出分を控除して当期の「自己資本」とみなしていました。
しかし、新「会社法」により、自己資本は単純に当期の「純資産合計」そのものに変わりました。
これは、当期の「純資産合計」には既に当期中の社外流出分が(繰越利益剰余金の減少という形で)反映しているから、というのが私の理解です。
これが根本的に間違っているのでしょうか?
それとも税務上は別の考え方なのでしょうか?
税務申告書の別表には前期の配当金額と当期の配当金額を記載する欄が設けられていますよね。
質問の趣旨は、当期の「純資産合計」に反映されている「剰余金の配当」とは、「前期の剰余金の配当金」なのか、それとも「当期の剰余金の配当金」なのか、どちらなのでしょうか?ということです。
ご教示のほど、よろしくお願いします。