帰宅困難経験者ではありませんが、防災指導を行っている防災士です。
預けたお子さんの問題は、災害時に急いで帰宅したくなる最大の理由と言っても良いかもしれません。しかし、単純に交通が麻痺しただけで、そう簡単に徒歩帰宅できるものではありませんし、災害規模が大きくなるほど、大火災、津波、落橋、道路陥没などで通行できなくなるだけでなく、帰宅途中で生命の危険に晒される可能性も大きくなります。
311で目の当たりにしたように、自転車があっても大都市近郊ではまともに走れないような混雑になりますし、キックボードなどは問題外です。あれは歩くよりはるかに疲れますよ。道路が大渋滞して歩行者も溢れることが予想されますから、バイクでもまともに走ることはできないでしょう。第一、震災時車両通行止めとなる幹線道路は走れません。
このように、大震災時に「すぐに帰るな」というのは、思い通りに帰れない上に、あまりにも危険が大きいからなのです。ですから、基本的には道中の安全が確保されるまで仕事場などで待機することが必要で、そのための水や食品の備蓄や、いざ徒歩移動という際に必要となる装備、最低でも歩きやすくて頑丈な靴(防水性能のあるハイカットの登山靴やトレッキングシューズが理想的です)、しっかりした雨具(傘はダメ)と防寒具を用意しておかなければなりません。
お勤め先から保育園まで、どれくらいの距離がありますか?大災害の混乱の中では、平均時速1kmで進めれば御の字くらいに考えなければなりません。長距離ならば、休憩の時間も必要になりますし、水や食料の補給が困難な状態では、さらに思うように進めません。そして、周囲から数多くの危険が襲い掛かって来ます。ゆっくりでも前進できればまだ良い方で、どんなに急ごうとしても急げない、帰ろうとしても帰れない状況になるのです。そして急ごうとすればするほど、ご自分が危険に晒される確率が大きくなります。
311の東京近郊は、所詮交通が止まっただけで、電気や水道などのインフラも生きており、その他の危険はほとんど存在しませんでした。もし首都圏が大地震に見舞われたら、あんなものでは済まないのです。
ではどうするかというと、これは「人にまかせる」しかありません。大地震時には、親が子供を迎えに行けないケースが多発するでしょう。あなただけではありません。その際に、保育園側がどのような対応をする体制になってるかを、まず確認します。いくらなんでも乳幼児を放置して逃げる保育園は無いでしょうが。
そして、大災害時の対応を良く話し合っておいてください。保育園が危険になったらどこへ移動するか、その先はどこで何ヶ所あるか、優先順位はどうか、水や食品の備蓄状況はどうかなど。
そのような際、とにかく保育園と連絡がついて安否が確認できれば、かなり安心できます。どのような連絡手段があるかも確認します。基本的に、電話はしばらくダメでしょう。メールもあまり期待できません。基本的には誰でも使いやすい「災害伝言ダイヤル」や「災害掲示板」が良いでしょう。それがダメなら、インターネット経由のツイッター、ミクシィやフェイスブックなど各種SNSなどで相互連絡できる体制を作っておくべきです。
そして、大災害時にはどのような情報を優先して、どのような形で流すかなどの細かい打ち合わせもしておき、それを実現するためには、誰が担当でどのタイミングで情報を出すかなどの細部も詰めておかないと、いざという時に機能しない可能性もあります。普段簡単にできることが、なかなかできないのが大災害時なのです。
もし保育園側がまだそのような対応をしていないのならば、できれば他の保護者とも相談の上、保育園側と緊急時行動基準や連絡手段などの構築を相談しておかなけばなりません。
自分がどんな状況におかれていても、「○○ちゃんは無事」という情報ひとつで、危険を冒して帰宅行動を始める必要は無くなるのです。何よりまず、保育園との連絡手段をできるだけ多く作っておくことをお勧めします。
お礼
ご回答ありがとうございます、このようなご意見を求めていたので、助かります。 自転車については、311の時は、都内の自転車が完売したというニュースを聞いたので、どんな感じだったのか単純に気になりました。 勤め先から保育園は15kmくらいあります。帰ろうと思えば帰れる距離なので 帰りたい、という気持ちがありますが、危険ですよね。 保育園では防災引き取り訓練もあり、どうするのかは話し合ってありますが、 「保護者が来るまで、こどもは保護して待っております」と言われました。 それが3、4日かかっても保護してくれているのか、、、 保育士にも家庭があると思うと、早く行かないと!という思いになってしまいます。 もう一度保育園に相談してみようと思います。