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指揮権についての理論を知りたいです

法務大臣と検察官の関係についての疑問です。 法務大臣は個々の事件については個々の検察官は指揮できなくて、検事総長のみを指揮できるということになっているらしいです。それは「検察権の行使について政治的影響が及ぶことを防止するため」だからだそうですが、理屈としてはあまり趣旨をまっとうしていないと思います。 なぜかというと検察官には検察官一体の原則があって、検察官は上席検察官の決済を受けるのが普通らしくて、それなら結局下っぱの検察官は法務大臣に指揮された検事総長の意見を聞かざるを得なくなって、結局、法務大臣=行政権の影響をもろに受けることになるからです。 図でいうと、個々の検察官に指揮できないようにして政治的影響を避けよう!→だから検事総長のみ→でも検事総長に指揮できるなら結局検察官全員言うこと聞く。となります。 現実には造船疑獄事件で指揮権発動が批判されて以来使われなくなっていますが、これは与党が次の選挙で負けたら嫌だからあえて使わないだけのことで理論上はばんばん検察に政治は介入できます。 でも僕の考えが正しければこのくらいのことは(おそらく理屈を極めた)立法者は思いつきそうに思います。 そこで、僕の考えは間違ってますか?それなら立法者はなぜ(全く法務大臣に指揮権を与えないというのでもなく、個々の検察官に指揮権を使えるというのでもなく、非常に中途半端な)検事総長にのみ指揮権が使えるという制度にしたのですか?おしえてください。

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  • ベストアンサー
  • Ononomiya
  • ベストアンサー率72% (31/43)
回答No.2

 理論上可能であることと、事実上可能であることは大きく違います。  おっしゃるとおり、法務大臣が検事総長を指揮でき、検事総長が個々の検察官を指揮できる以上、法律上、法務大臣は個々の検察官を指揮できることになり、この規定はあまり意味のあるものではありません。  しかも、仮に法務大臣が個々の検察官を直接指揮できるとしても、検察官には強力な身分保障がありますから、事実上、個々の検察官も、かなりの程度、命令に反して抵抗を行うことが可能なのです。  しかし、事実上の抵抗ということになると、やはり下っ端検察官より、検察組織全体をバックに背負った検事総長の方がやりやすいはずです。そして、官庁トップの抵抗となれば、これは政治問題化しやすい。  つまり、大臣が検事総長のみを指揮できるという立法は、この事実上・政治上の効果をねらったものなのです。  もっとも、他の官庁でも、大臣に対して官僚上層部が事実上の抵抗を行い、これが政治問題化するということは、田中大臣VS外務省しかり、石原大臣VS道路公団しかり、検察庁に限らず可能なことです。  しかも、他の官庁においても、大臣が下っ端官僚を直接指揮することはほとんどありえませんし、下っ端官僚も、事実上、大臣よりも官僚トップの意向に従いやすいのですから、この意味でも検察庁法14条の意義は薄いものといもいえるでしょう。  とは言え、法律がわざわざ14条のような規定をおいていることは全く意味のないものではありません。この規定は「検察権の独立を尊重すべきだ」という事実上・法律上の主張の根拠となりえるのです。  実際、造船疑獄における指揮権行使については、検察権の独立の観点から多くの議論がなされました。これに対し、田中大臣VS外務省の場合、「外務省の独立」などという主張はなかったでしょう。  また、一部の学説には、「検察庁法14条の趣旨から、検察権の独立を害するような指揮権行使は、違法になりえる。」とまでするものがあります。  このように、検察庁法14条は「検察権の独立」の論拠として事実上・法律上の意味を持つのです。  理論上の極論を言えば、「裁判官の独立」も理論上は意味がありません。裁判官の弾劾は、国会議員の互選により国会議員が行いますから、国会の多数党がその意思を通すことができます。  しかし、弾劾制度を理由として政府に遠慮をする裁判官はいないでしょう。弾劾裁判所という間接かつ特殊な制度をとることにより、事実上の効果が低減するのです。それでも、裁判所が政府よりの態度をとっているとしたら、それは理論上の弾劾制度より事実上の圧力によるものでしょう。  このように、理論上可能であることと、事実上可能であることは、実際上大きく違い、立法者もこの点を考えて法律を作るわけです。  古い資料ですがジュリスト32号・58号あたりが参考になるかもしれません。

deketahito1
質問者

お礼

なるほど~。実体験にとぼしく理屈ばかり考えてしまってました。理解が深まりました。ありがとうございました。

その他の回答 (1)

  • been
  • ベストアンサー率39% (490/1243)
回答No.1

検察庁は面白い組織です。 普通の官庁は大臣を頂点としたピラミッド組織であり、大臣以下が一体となって「行政権」を担い、個々の職員はその一部である「行政事務」を分掌しています(なお、法律用語の「事務」とは仕事・職務のことであり、デスクワークという意味ではありません)。 検察庁においても普通の官庁と同質の検察行政事務が行われていますが、これとは別に独特の検察事務(刑事訴訟事務)が行われています。これが検察庁の最も重要な事務ですが、検察庁自体は検察官が職務を行う場所に過ぎず、庁独自の権限はありません。権限を有しているのは個々の検察官であり、検察庁(検事総長)ではありません。つまり、個々の検察官が官庁なのです。 とはいえ、個々の検察官が独自の法解釈を行えば、司法行政は成り立ちません。全国の検察官は全体として一体となり、一つのモノサシで法を運用する必要があります。このため、検事総長以下のピラミッド組織が形成され、上命下服・一体不可分の構造になっています。 一方、検察権が政治的影響に左右されれば刑事裁判が政治の影響を受けるので、検察官には裁判官並みの強い身分保障が与えられています。 ところで、検察官は公訴権を独占する強大な存在ですが、その出自は司法試験合格者であって民主的なコントロールとは無縁です。わが国は主権在民の民主国であり、検察官に対しても民主的な統制を加える必要があるので、検察事務については内閣(法務大臣ではない)が国会に対して責任を負い、法務大臣は検察行政事務・検察事務について指揮監督権を有しているのです。 このように、法務大臣の検事総長に対する指揮権は、司法の独立、検察官の一体、司法行政に対する民主的統制などの諸要請に応える一つの制度として存在しているのです。

deketahito1
質問者

補足

回答ありがとうございます。一通り回答は理解しました。質問は長々と書きすぎて意味がぼやけたんで補足させてください。 実際は「個々の事件の取調または処分については検事総長のみを指揮できる(検察14条)」と規定されてるわけですが、これが「個々の事件・・・・検察官を全員指揮できる」と規定していない理由がわからないのです。立法論として、このように規定したらなんか不都合を生じますか??

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