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遺贈と相続放棄
相続人としてA、B、Cの3人がいたとします。 被相続人が遺言で相続人Aに株券を遺贈すると指定していた場合、相続人Aが相続を放棄すると、この株券は残るB、Cの2人で分けることになるということでよろしいのでしょうか? 参考にしている文書に、相続を放棄しても遺贈分はAに行くようなことが書いてあるもので、悩んでしまっています。 どうぞ宜しく御教示の程御願い致します。
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>相続人Aが相続を放棄すると、この株券は残るB、Cの2人で分けることになるということでよろしいのでしょうか まず「遺贈の放棄」(民法986条本文)と「相続の放棄」(民法939条)は別物で効果もそれぞれ違います。 1.「遺贈の放棄」(効果:受遺者のうけるべきであつたものは相続人に帰属する(民法995条)) Aが「遺贈の放棄」をするとその「株券」は一旦、相続財産に戻ります。その後、遺言者に別段の意志が無ければ(民法986条但書)、Aは法定相続人ですから法定相続分によってA,B,Cが分けることになります。だから結局、Aが法定相続分として「株券」を受け取っちゃうこともあるでしょう(変な話ですが)。 2.「相続の放棄」(効果:初から相続人とならなかつたものとみなす) Aが「相続の放棄」をするともはやAは相続に関してはなんの権利ももっていません。 但し「遺贈を受ける者=受遺者」は相続人とは限りません。例えばもともと相続人でないDが受遺者だった場合、「相続の放棄」は何の意味もありません。なぜならDはもともと相続人ではないからです。Dが遺贈を受け取らないためには「遺贈の放棄」をする必要があると考えられます。 それと同じでAが「相続の放棄」をして相続人の地位を遡及的に失っても、それは「遺贈」にはなんら関係せず、Aは「株券」の所有権を被相続人の死亡と同時に獲得したままになります。 だから「相続を放棄しても遺贈分はAに行くようなこと」が書いてあったのではないでしょうか。 特定の財産の遺贈(=特定遺贈)は以上のような処理になるようです。 <おまけ> 遺産の取り分を決めた遺贈(=包括遺贈:遺産の何分の何を遺贈するという形の遺贈)は包括受遺者が相続人と同一の権利義務を有する(民法990条)ので「相続の放棄」などの規定が準用されます。よって「相続の放棄」によって遺贈も受けとれないと思います。
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- sayo-chan
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>>それにしても何で「相続の放棄」も準用してるんだろうか…。 それは包括遺贈の放棄を相続放棄と同じように規正するためです。特定遺贈の放棄は986条によりますけど、包括遺贈の放棄は990条によって915条以下の規定よります。 >>六法でも相続人の権利義務には民法939条も引かれてるのに。 ?
お礼
sayo-chan様 とても勉強になりました。法律はとても奥が深く、難しいですが、その反面とても楽しいです。これからも疑問が出てきましたら質問させて頂きますので、宜しくお願い致します。
- rakufu
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>包括受遺者は相続放棄をしても、包括受遺者として「相続人と同一の権利義務」を負えばいいだけで、遺贈を受け取れます。 すみませんでした。包括受遺でも「遺贈」は遺贈、「相続」は相続でいいのか…。 それにしても何で「相続の放棄」も準用してるんだろうか…。六法でも相続人の権利義務には民法939条も引かれてるのに。包括受遺者に相続放棄の権利なんか必要ないんですよね。
お礼
rakufu様 とても勉強になりました。感謝しております。これからもどうぞ宜しくお願い致します。
- sayo-chan
- ベストアンサー率34% (70/202)
おまけは余分でしたね。 包括受遺者は相続放棄をしても、包括受遺者として「相続人と同一の権利義務」を負えばいいだけで、遺贈を受け取れます。 包括遺贈の放棄と言うのが別にできます。
お礼
sayo-chan様 そうなんですか!包括遺贈の放棄と相続の放棄とは全く別のものなのですね。とても勉強になりました。ありがとうございました。
お礼
rakufu様 「遺贈の放棄」と「相続の放棄」を同じものだと思っていました!目から鱗です。とても勉強になりました。 ところで、この<おまけ>の部分ですが、おお・・またまた悩ましいです。「包括遺贈の時は、相続放棄によって遺贈も受け取れなくなる」と頭にしまっておけばよろしいのですね! ありがとうございました。