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【鉄道】純電気ブレーキ車の制動距離の変化とは?
- 純電気ブレーキ車では制動距離が長くなるのか、疑問に思い質問します。
- 電制と空制に切り替わる電車では、制輪子の摩擦増大により低速域での減速度が高くなります。
- 最近の車両では最後まで同じ減速度で減速するため、純電気ブレーキでも速度域によって減速度が異なる可能性があると考えられます。
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首都圏の私鉄で電車運転士をしております。 今回の純電気ブレーキの車種も、他の車種も扱います。 >純電気ブレーキ車では制動距離が長くなる? そんな事はないです。むしろブレーキは利く位です。 ただ、制御器の製造会社の製品次第よって違うと思いますが、東洋電機の制御器につきましては、架線電圧が高くなると回生失効は無いものの、さり気なくブレーキが甘くなる挙動があります。(回生力低下現象が掴みにくい) ただ、これは純電気ブレーキだからではなく、回生ブレーキの車両は架線電圧が高くなれば回生力低下なり回生失効が起きるものなので、今時の車両に共通して言えます。 むしろ制御器の問題です。 >同じ減速度で止めたい場合、後者のほうが強めのブレーキ操作をしないと止まりづらいということになるのでしょうか。(同じブレーキノッチ数で、同じブレーキ操作をすると過走する?) いえいえ、実際に乗務していて、むしろブレーキは余るくらい。 不満は、回生力低下現象が掴みにくいのと、停止時にガクガクという純電気ブレーキならではの挙動があるくらいです。 >たとえば、高速では電制が効いて、低速になると空制に切り替わる電車の場合、全制動で減速度が-4.0km/h/sとすると、高速域では-4.0で減速するように発電量が制御されます。 が、空制に切り替わると、制輪子の摩擦が増大するので、ブレーキ位置が同じだと低速になるほど減速度が高くなり、階段払いとしないと乗客は確実に転びます。(停止寸前は-10km/h/sくらいになると書物で読んだ覚えがあります 前提の時点で既に違うように思うのですが(汗) 空制に切り替わっても、制輪子の摩擦はそんなには増大しませんよ。 レジンシューでも温度帯によって幾つかシューの種類があるので、挙動の差はありますが、電制から切り替わって伸びるのが一般的な挙動。 鋳鉄ならば停止時に強くなるものの、低速にならないと利かないモノです。 昔も今も、電制の失効速度はそう変わらないので、その点の電車の制動挙動に違いはありません。 >一方、停止寸前まで電気ブレーキが効く最近の車両の場合、最後まで同じ減速度で減速し、T車も減速度を維持するように圧力が制御されるので、 ・・・といっても、今時のクルマは電制で制動力を賄い、不足分をM車の空制補足、そしてなお足りなくてT車に補足なので、制御するといっても回生失効に備えて衝動防止の為にブレーキシューを当てている位です。 M車は、最終的に主電動機のすべり周波数を維持して磁界を逆回転させてトルクを生じさせて停めます。 (だから、停止時に嫌な挙動があるのだとも言えます。)
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- こげ まぐろ(@koge-magu)
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こんにちは、No.2です。 >例えば停止間際までブレーキ位置を同じにしていた場合、純電気ブレーキの電車も、電制の失効速度が高い電車も、止まるときの単純な衝動はほぼ同じような感じなのでしょうか。少し意外でした。 純電気ブレーキの車両はVVVF制御になります。 同じ感じというより、取扱いの違和感を抱かないように同じように制御するという方が適切に思います。 意外かもしれませんが、そもそも純電気ブレーキのメカニズムそのものが、制御したものではありませんか。 >架線電圧など外的要因を除いては減速度はブレない その前提は、教科書では成り立っても実務では全く意味を成しません。 送電区分の中で自分の列車だけが走っている状態、制動操作をとり回生ブレーキが働くと、架線電圧が上昇し回生力低下、そして制動力低下に遭遇することもあります。 その中で、上記の前提は何の意味を成しましょう? 制動力が変化しようとも停めるのが運転士の仕事であり、技術になります。 そのような記述の文献を見ても、参考にもなりません。 >一度込められた空気ブレーキの制動力は安定しているように思えました。 一番信用に値するのは「空制」になります。 非常制動は空制だけ。電制は切られます。 それで基本的に600Mで停まれる範囲で最高速度が定められます。 ※線路環境によって、この600Mという数値は異なります。
お礼
ありがとうございます。回生は予想していたよりも不測の事態が多いのですね。
- FEX2053
- ベストアンサー率37% (7991/21373)
運転実務的なお話は、先のお二人の回答者さんがなさっておられ、非常に貴重な回答で参考になります。で、その大前提になる「電気制動の原理的な問題」なんですが。 電気制動は、モーターを発電機として利用して速度エネルギーを回収するのですが、発電機は「回転を上げれば上げるほどリニアに電圧が増える」という性格があります。ですので、仮に電気制動=発電制動とした場合で、つないでいるのが固定抵抗だとすると、制動力は消費電力に比例するので、速度が下がると電圧が下がり制動力もどんどん低下する、という問題があります。 実務上は、速度が低下するたびに、つなげる抵抗器の抵抗値を下げることで発電量を一定にし、制動力を一定にしているのですが、それにも限界があるので(流れる電流が大きくなりすぎる)、ある一定速度で電気制動が失効するんですね。 これは回生制動でも同じことで、モーターの発電する電圧は必ずしも一定ではないので、昇圧回路を使って電力を架線に戻しているんですが、これまた限界があるんで、ある一定の速度で失効しているんです。また、回生制動の場合「使ってくれる電車や、変電所での電力吸い上げの施設」がないと、抵抗値が変わって制動力が一定にならない時もあります。 電気制動はこういう理由で、お二人の回答者さんが言われるように、安定した制動力が得られにくいんです。ですので、補助として安定した制動力が得られる空気制動を兼用するんです。 なお、最近はバッテリーなどを併用することで「空気制動なしで停止まで電気制動」という研究もなされていることを申し添えます。
お礼
補足ありがとうございました。 負荷さえ安定すれば電制のほうが安定している、と理解しています。空制に切り替わるとどういう挙動になるのか、もっと勉強してみたいと思います。 ・・・そういえば力行曲線はあっても制動曲線とか無いですね。 発電制動の特性図はたまに見ますが、BC圧とハンドル角、速度と減速度の関係をプロットしたグラフとかあったら面白そうな気がします。
- kuhamohakumoha
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一昔前、某鉄道会社で#手とかいう頭のおかしなおっさんが社長をしていた頃に運転士をしていて随分苦労をさせられた者です。 とにかく無茶な運転が半ば強要されてた頃にも制限速度は絶対に超過しない運転をしていましたので、最後の決め手であるブレーキ扱いには必死になってました、、、 一例として制動初速90km/hの場合標準的なブレーキ時分は47秒ですが私は40秒を切るか切らないかというくらいブレーキを「詰めて」運転してましたね。大袈裟に言うとたかが数秒に命がけでしたw >たとえば、高速では電制が効いて、低速になると空制に切り替わる電車の場合、全制動で減速度がー4.0km/h/sとすると、高速域では-4.0で減速するように発電量が制御されます。 割と高めの速度で回生が失効するのは205系とか221系ですね。 でも両形式とも減速度は4.0km/h/sもありませんが。特に205系は甘いです。 そして両形式とも制輪子はレジン系ですから速度が低くなれば摩擦力が大きくなるとは言ってもそれほど極端ではありません。 また停止直前に極端に摩擦係数が大きくなるのは鋳鉄制輪子ですが、それでも10km/h/sなんかあり得ません、その半分にもいかないでしょう、ただ高速域での「効き」があまりにも悪く停止直前になって急に効くための錯覚と思われます。だいたい「ヲタ」系の人が書いた鉄の書はけっこう嘘っぱちが多く鵜呑みにしない方がいいです、(例えばフランジの角度をもっと大きくすれば曲線通過速度を上げられる筈、などとデタラメを書いてある本も読んだ事があります~実際はフランジ角度が大=直立摩耗は脱線の元です) また階段ユルメをせず停車直前まで大きなブレーキをとっていても停車する一呼吸前(列車の速度が5km/hくらいになった時)にブレーキ弁ハンドルを緩め込め位置にすればザーという排気音と共にショックなく停止させる事ができます(電磁直通ブレーキの場合) >一方、停止寸前まで電気ブレーキが効く最近の車両の場合、 実は103系や113系なども停止直前まで電制が効きます。電制が失効して制輪子が車輪を抱くのはだいたい6km/h~8km/hなのですよ昔の電車でも。 >、T車も減速度を維持するように圧力が制御されるので というより最高速度120km/h以上の車両は高速域で制輪子の摩擦が小さくなるのに対応して増圧をかけています、その後減圧するのは主に滑走を防ぐためです。 で、結論(1) 通常、車両形式を問わず確実に(強調)短い距離で車両を停止させるなら空制が一番。(理由→裏切らない) とにかく電制はオーバーロード等で急に切れてしまう恐れのあるものなのです。 ですから在来線車両は非常ブレーキでは電制をは作用しません。 結論(2) しかし常用ブレーキでは特に高速域では電制は有用。 とにかく電制は実際上は「滑走しない」と見て良い。(滑った時点で自動的にブレーキ力が無くなり再粘着する) また高速域では1秒あたりに進む距離が大であるからこの高速域で大きく減速する電制は低速域で効きが弱くなる弱点を差し引いてあまりある。 よって、やはり電制は効果大。 (3)付録 で、あえて自画自賛的に言って曲芸的運転となれば高速域では電制を思いっきり使います。 103系の場合。 ブレーキ距離を詰めに詰め、ここぞ、という地点でハンドル角度67°を取ります。この場合(転削を何回もして車輪径が小さくなっている編成は過電圧が発生して保護継電器が作動、電制が失効する場合が多々ありますので)リセットスイッチを押さえながらブレーキ弁ハンドルを操作します(指導上許されていませんが) まず空制が作動、一呼吸おいて「締切電磁弁」のパシャッという音と同時に電制がぐぐーっと効いてきます、 しかし103系の場合一時応荷重が「イカレて」この次点でブレーキ力が不十分である事が多々ありました(※) それを感知するや否や直ちにハンドル角度80°(常用最大)を取ります。 始めは電制が効いてなんとか減速しますが速度が落ちてくると電制の効きが次第に甘くなってきます。そこでだいたい35km/hくらいまで落ちたところで「レバーサを立て」ます(これも本当は好ましくない扱いですが背に腹は代えられません)、すると一瞬伸びたかな、というショックの後今度は空制がぐぐーっと効いてきます。 そんな扱いをしてなんとか「停止位置直す」を免れる事ができたのです。 究極的にはやはりこれが制動距離を詰める裏ワザでしたが、最近の電車は回生の効きもバランスが良く制輪子の性能も良いのでそこまでする必要はなさそうですねw (※) 103系の空気ばねによらない応荷重装置は停車中のバネのたわみ具合で荷重を測定するのですが、その測定するタイミングはお客様が乗車し終わった時=車掌スイッチを「閉」とした時点です。 しかしラッシュ時に少しでもドアを早く閉めようと車掌が焦って「小開閉」を繰り返す事がままあります、そんな事をされるとしばしば応荷重装置のポジションが狂ってしまい、実際は満員であるのに空車と同様のブレーキ力しか出せなくなってしまいます、この場合例えばブレーキシリンダ(BC)圧が4kg/cm2くらい要るところでも3.2kg/cm2くらいしか無かったりするのですよホント。。。
お礼
ありがとうございます。実務のお話、大変興味深く聞かせて頂きました。レバーサーを立てるということは、わざと電制を切って空制を最大限に使うんですね。 また、103系なんかは20km/hくらいで電制が切れるものだと思っていました。電制が立ち上がるまで&空制に切り替わってからが勝負という感じがしますね。 同じ感覚で電制無しの車両や、停止寸前まで電制が効く車両に乗ったらどういう挙動になるのか、ちょっと気になります。
お礼
お答えありがとうございます。自分の今までの理解は、 ・適当な初速があるとき、常用最大が-4.0km/h/sだとしたら、-4.0になるように発電量が制御される → 架線電圧など外的要因を除いては減速度はブレない ・電制が失効する速度になると、空制が立ち上がり、引き続き-4.0km/h/sで減速する → ただし、速度帯でぶれがある。停止間際になると、摩擦力が徐々に上がるため制動力が強くなり、緩めて停止する必要がある というものでした。 改めて鉄道工学の本を見ると、レジンシューは中速でも低速でもだいたい同じような摩擦係数のようですね。 私が考えるよりも、一度込められた空気ブレーキの制動力は安定しているように思えました。 (鋳鉄制輪子の電制が無い電車が頭の中にあったようです) ということは、例えば停止間際までブレーキ位置を同じにしていた場合、純電気ブレーキの電車も、電制の失効速度が高い電車も、止まるときの単純な衝動はほぼ同じような感じなのでしょうか。少し意外でした。