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パイ中間子の質量
grothendieckの回答
- grothendieck
- ベストアンサー率62% (328/524)
世界的な権威から精緻で格調高くレベルの高い回答が多数寄せられて心強い限りですね。最先端の難問に自信を持って回答されている方が多数いらっしゃるのですから、こんなよく知られた問題には多数の回答が寄せられてきています。 原子核の質量は陽子と中性子の質量を足し合わせたものより小さい(結合エネルギーは負)ことを考えれば、パイ中間子質量がクォーク質量の和より大きいのはなおさら不思議ですよね。しかもパイ中間子はハドロンの中では質量が非常に小さいのです。 これには南部陽一郎が最初に考えた自発的対称性の破れが関係しています。強い相互作用は近似的にカイラル対称性という右手系と左手系を入れ替えるような変換に不変性を持っています。しかし相互作用は不変でも真空(エネルギー最低の状態)が不変にはなっていないとき、対称性が自発的に破れているとい言い、このとき質量0のボゾンが存在することを南部とGoldstoneは示しました。パイ中間子はこの南部-Goldstoneボゾンであり質量が完全に0ではないのはカイラル対称性が近似的なものだからと考えられています。真空は何もない状態ではなくクォーク-反クォーク対がカイラル凝縮した状態と考えられています。パイ中間子質量はこのように生成されているため単純にクォーク質量の和にはなっていないのです。より詳しくは 橋本省二「質量はどのように生まれるのか」 http://arxiv.org/abs/hep-ph/9401310 を参照。
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