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権利外観法理における外観を作出しものの責任

権利外観法理における外観を作出しものの責任というのは、 故意・過失とは違う話なのでしょうか?

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回答No.1

 故意過失が問題となるのは,基本的に,過失責任の妥当する,不法行為か,債務不履行の責任を問われる場合です。  しかし,権利外観法理における外観を作り出した者の責任は,必ずしも不法行為とは限りません。  もちろん,不法行為責任として,責任を追及する方法もあり,その場合には,当然,故意過失が問題になるでしょうが,権利外観を作り出したことについては,それは意図的になされたことですから,責任原因としては,それだけで「故意」といえるのではないでしょうか。また,外観を作り出したことについて,がいいがなかったという意味で,「故意」の存在が消極的にとらえられるとしても,少なくとも,事実でない外観を作ったことについて,過失を否定する人はいないと思います。  ですから,仮に不法行為責任を追及するとしても,故意過失の存否は,余り問題にならないと考えて良さそうです。  しかし,それを問うまでもなく,真実でない外観を作り出した者に対しては,信義則上とか,公平の観点からとか,といった理由で,責任を及ぼす場合があります。そういう場合には,そもそも理屈上故意過失は問題外といえます。  まあ,考えてみれば,外観作出者に責任を負わせる以上は,その思考のどこかに,故意過失に類する思考が含まれているとは思いますが,多分,それは責任を負わせる理由として,表面に出てくることはなく,背景事情として考慮されつつ,表面上は,信義則とか,公平の原則による,いわば,一種の法定責任(例えば,「信義則上,その責任を否定することは出来ない。」といった表現になる。)のような考え方で,説明されることになると思います。  まあ,そんなところではないでしょうか。

a1b
質問者

お礼

いつも、懇切丁寧かつ論理明快な回答を有難うございます。 既に十分な回答を頂いているのですが、他の方の意見をも、お待ちするということで、締め きらずにおります。 私は、帰責性という言葉に引っ張られて、故意・過失ということをやってしまいがちですが 、信義則上の或いは、公平の観点からの、或いは利益を得ている点からの帰責性というもの について意識が希薄ではなかったかと思います。 無権代理が行われた場合に、無権代理人の責任が一番大きいのは当然であり、ある意味で、 被害者的な立場にある本人と相手方の責任を考えるときには、どちらの方が責任が大きいかと いう、相対的な責任性というのあるのかもしれません。 まず、代理制度を考える時に、私的自治の拡大・補充と言われますように、代理制度を利用 する本人に利益があるということが出来るかと思います。 相手方は、確実性ということを考えますと、代理人を通さずに、本人と直接取引したほうが よく、代理人を使ったのは本人の都合ということが出来るように思います。 つまり、代理制度を選択した本人が代理によるリスクをも負担するという意味で、責任を有 するということが出来るのかも知れません。 109条の場合と110条の場合では、同じ表見代理といっても責任を負う根拠が違うとさ れていますので、110条に限って考えますと、基本代理権の存在が大きく、代理制度を選 択したことに一定の責任を有するということで、代理人の選任にあったての過失等が要件に ならないように思います。 つまり、代理制度を利用して、そこから利益を得るものは、一定の責任を負うということで、 私的自治の補充の面がある法定代理の場合にも、基本代理権となることと整合するように思 えるのです。

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