分子電場の導出と導体表面に現れる静電誘導電荷

このQ&Aのポイント
  • 分子電場(ローレンツ場)の導出と導体表面に現れる静電誘導電荷についてまとめます。
  • 密度ρで一様に帯電した半径Rの球内の電場は、中心からの位置ベクトルをr(↑)とすると、E(r) = ρr/3εで与えられます。
  • 半径Rの球に正負の電荷が密度ρ,-ρで同じ量だけ一様に分布し重なっていて、正電荷の分布を+x方向にδだけずらすとき、表面に現れる電荷によって生じる導体内部の電場は-x方向を向いた一様な電場です。
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分子電場(ローレンツ場)を導く過程

一様な電場E_0の中の金属球の表面に静電誘導で現れる電荷密度を求めよ. この問題で,半径Rの球に,正負の電荷が密度ρ,-ρで同じ量だけ一様に分布し重なっていて,この正電荷の分布を+x方向にδだけずらすとき,表面に現れる電荷によって生じる導体内部の電場は-x方向を向いた一様な電場であることをまず示そう.密度ρで一様に帯電した半径Rの球内の点Pの電場は,中心からの位置ベクトルをr(↑)とすると,E(r)=ρr/3εで与えられる.(E,rはベクトル,εは真空での誘電率)したがって,点Pの正,負の殿下の中心からの位置ベクトルをr'(↑),r(↑)とすると,ずれで表面に誘導された電荷による点Pの電場は(ρ/3ε)(r'-r)=-(ρ/3ε)δ(r',r,δはベクトル)である.したがって,球内の電場は-x方向を向いた一様な電場になる.とありますが,表面に電荷が誘導されることはわかりますし,-x方向を向くことも直感的にわかります. しかし,ここで球内に一様に密度ρで帯電している場合の内部での電場をガウスの法則を用いてE(r)=ρr/3εとして用いていますが,なぜこのときの中心の位置ベクトルrをずれのベクトルであるδで表現できるのですか? それにこの場合は球の表面にプラス電荷とマイナス電荷が現れるだけで,その内部は中和しているんですよね? 表面に現れているだけなのになぜ球内に一様に密度ρで分布している場合の電場を用いているのかよくわかりません. また問題としてよくみかける,球内に密度ρで一様に分布している場合の電場を求めよ.という問題では,球内に例えば+電荷のみが均一に分布しているということですよね? この場合は-電荷も現れているしどういうことなのかよくわからなくなってきました. この結果から分子電場E_M=E+P/3ε(Eは巨視的な電場ベクトル,Pは分極ベクトル)が分子の形を球と近似すると導かれるようなのですが,なぜ導かれるのでしょうか・・・ 分かる方がいらっしゃいましたら教えていただけると本当に助かります. よろしくお願いします.

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noname#221368
noname#221368
回答No.1

 最初に、ローレンツによる分子電場の考えを書きます。以下は、「砂川重信,理論電磁気学(第3版)」の第3章 §2,pp.73,74の要約です。  誘電体に一様電場E_0をかけた場合、誘電体内の分子は分極する。1個の球形分子を考えた場合、E_0による分極で、分子表面に電荷ωと-ωが染み出すのと同時に、分子内部では、周囲の分子との相互作用により複雑な分極が生じるはずだが、複雑さがランダムだと仮定すると、それらの電場は消し合って0になるだろう。  そうすると注目する分子周囲の分子電場は、一様電場E_0と、表面電荷ω,-ωによる電場E'との和になるはずだ。  上記のE'の計算が、ご質問の話だと思います。ところで、分子内部の電場は消し合って0になると仮定するので、それは一様電場E_0の中に置かれた導体球(金属球)の、表面電荷による電場E'を求める事と同じです。導体内の電場は、常に0と決まっているので。  そこでまた、ρと-ρを使った、近似モデルに持ち込みます。E_0がなければρと-ρは、ぴったり重なっているので、電気的に中性の状態。ρの中心からの位置ベクトルをr,-ρの中心からの位置ベクトルをr'とすれば、r=r'で、   E'=-(ρr/3ε-ρr'/3ε)=(ρ/3ε)(r'-r)=(ρ/3ε)(r-r)=0 です。E_0があった時、近似的にρ全体がδずれたとすると(δは微小)、r'=r-δなので、   E'=-(ρr/3ε+ρr'/3ε)=(ρ/3ε)(r'-r)=(ρ/3ε)(r-δ-r)=-(ρ/3ε)δ になります。ちなみにρr/3εは、球内にρだけあるとして、ガウスの法則から地道に計算すると、出てくるはずです。これは、 >なぜこのときの中心の位置ベクトルrをずれのベクトルであるδで表現できるのですか? への答えのつもりですが、答えになってますか?。 >それにこの場合は球の表面にプラス電荷とマイナス電荷が現れるだけで,その内部は中和しているんですよね?  まずρと-ρは、球内で中和してます。δが微小で、ρと-ρの相対位置は、移動前とほとんど変わらないとし、その影響は球表面に限られるとしてます。表面電荷により発生した電場E'=-(ρ/3ε)δについては、E_0は球内にも浸透するので、E'+E=-(ρ/3ε)δ+E_0=0となるように、δが決まるという話です。  次に分極した分子を、遠くから眺めます。分子の径は小さいし、δはそれに比較しても微小なので、分極した分子は、外場Eの中に置かれた電気双極子として近似できます。電場E_M=E+P/3εの実質は、   E_M=E+p/3ε=E-ρδ/3ε だと思います。-ρδはちょうど分極ベクトルの単位を持っており、その原因は本当に分極なのだから、-ρδを分極ベクトルpとして扱って近似する、という話です。

sekihoutai
質問者

お礼

ありがとうございます。私もその本を読んでみます。

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