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減圧と温度の相関関係の見出し方
- 減圧と温度の関係を調査し、希望の温度を保つ方法を知りたい
- 減圧機と内部の液温とヒーターの加温温度を計ることができるが、相関関係を見出す方法がわからない
- どのような手法や専門家に相談すれば、減圧と温度の関連性を知ることができるか
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減圧は必須ですか?油とメタノールは均一に溶解しますか?55℃であればメタノールの標準沸点よりも低いので常圧でも温度キープできるはずです。 ちなみに温度と圧力の関係は蒸気圧線図をみれば判ります。単一の物質の場合は所望の温度に対応する圧力を読み取るだけです。混合物の場合は各成分について 液相中のモル分率*その温度での蒸気圧 を計算し、全成分についてこれを合計すると気相の圧力になります。 ただし、異種の成分間で分子同士の相互作用があったり、化学反応が起きたりする場合はこの関係には従いません。油の種類や共存するものにもよりますが、たとえば植物油のようなエステルの場合はメタノールとの間でエステル交換反応がおきる可能性を否定できません。 ヒーターでの加熱については装置の詳細が判らないとなんともいえないですが、温度調節のできるオイルバスがあるならひとまず55℃設定で加温し、液温が低ければ設定を上げるというやり方でちょうどいいところを探すのが簡単だと思います。 メタノールは引火性なので取扱にはご注意下さい。
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- gohtraw
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液の比熱に圧力依存性があれば、減圧下で温度の上昇速度が変わる可能性があります。感覚的にはごく小さい依存性しかないと思っているのですが、気になったので少し調べてみました。メタノールそのものは見つかりませんでしたが水の場合、1000気圧前後での比熱(0℃)は大気圧での比熱に比べて10%弱小さいようです。恐らく我々が通常使用する圧力範囲では液の比熱は一定と考えられるのではないでしょうか。 次に、状態(温度、圧力)の変化と熱の出入りから考えてみます。出発点Aを10℃、大気圧とし、到達点Bを55℃、大気圧とします。このAからBに到達するのに必要な熱量は途中の経路には無関係です。言い換えれば、途中で減圧にして得をする(つまり早く温度が上がる)部分があったら、他のどこかで損をしているということです。ここで到達点をB’(55℃、減圧)とした場合は上記の「圧力依存性」次第ということになります。 攪拌についてですが、化学の実験でよく使うマグネティックスターラーは使えないでしょうか?磁石をフッ素樹脂でコーティングしたものを容器の中に投入し、容器の外で磁石を回転させると容器中の磁石が回転して液が攪拌されます。フッ素樹脂の部分が徐々に磨耗したり、容器が磁性だと使いにくかったりする問題はありますが・・・。 あるいは、窒素などの不活性気体をゆっくりバブリングすると弱い攪拌は可能です。これもメタノールの揮散につながるので問題はあるのですが・・・。
補足
ありがとうございます。圧力依存性が殆どない⇒減圧による速度の変化が起こるとはいえないんですね。やはり早く温度を上げるには、熱量を増やすことと攪拌することが解決への近道でしょうか。 攪拌ですが、この混合液体には、後に固形粒子を添加します。固形粒子は通常、容器中に詰めて沈殿状態で使うことや、マグネティックスターラーで攪拌をためしたら、粒子が破損してしまったケースがあるということでした。粘度の高い液体だと負荷が大きいので、弱い速度では攪拌子が回らなかったりして、限界があったのだと思います。あえて選択肢からはずしています。攪拌翼も同じ理由です。粒子を破損させずに攪拌できれればいいのですが・・・不活性気体のバブリングは、面白いかもしれませんね。ただ、構造上複雑になりそうですが。ご指摘の通り、メタノール揮散もあり・・・なかなか思うようにいきませんで、根本的なところで視点を変えなければいけないのかもしれませんね(苦笑)。
- gohtraw
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まず、基本関係から。 >メタノールの場合、常圧(765mmHg)で64.5℃、20℃だったら100mmHgが蒸気圧 →大気圧が760mmHgであること以外、その通りです。 ではこの液体の沸点はどうなるか考えてみます。64.5℃での蒸気圧が760mmHg,液相中のメタノールのモル分率が0.75ですから、気相のメタノール分圧は760*0.75=570mmHgです。油については物性がよく判りませんが、モル分率が0.25と比較的小さく、もともとメタノールに比べて沸点は相当高い(つまり蒸気圧が低い)はずなのでモル分率*蒸気圧の値もかなり小さくなるはずです。取り敢えず蒸気圧ゼロとしておきましょう。するとこの系の64.5℃における気相の全圧は570+0=570mmHgですから、この液体は570mmHg、64.5℃で沸騰します。55℃の場合もやり方は同じです。 次に、大気圧でこの液体の沸点はどうなるか見てみましょう。全圧が760mmHgになればいいわけですが、今は油の分圧=ゼロとしていますのでメタノールの分圧が760mmHgになる温度を探せばいいことになります。従ってメタノールの蒸気圧は760/0.75=1013mmHgです。この蒸気圧を与える温度を蒸気圧曲線から読み取ると大体75℃前後です。従ってこの液体は大気圧では75℃前後で沸騰します。 以上の結果は油とメタノールの間に相互作用がなく、化学反応も起きず、かつ油の蒸気圧がきわめて小さいという仮定をおいてのことなので、あくまで目安とご理解下さい。 次に、温度コントロールについて。大気圧で水をどんなに加熱しても液温が100℃を超えないのと同じように、適切な圧力を保つことができれば、この液体は55℃で沸騰し、55℃を超えることはありません。そういう意味では圧力で温度をコントロールするという発想は「あり」だと思います。ただいくつかクリアしなければならないことがあります。 (1)ヒーターの発熱量をどうコントロールするか? 上記の圧力調整ができると、液温は55℃で一定になります。すると、液温を検知してヒーターの発熱量を制御することができなくなります。言い換えれば、グラグラ煮えたぎっていても静かに沸騰していても温度は同じということです。 (2)熱ロスの問題 減圧にしても、放熱が大きくて十分な熱量を液に与えることができなければ液温を55℃に保てないことに変わりはありません。断熱、あるいはヒーターの強化は必須と思います。 (3)圧力コントロールの精度の問題 蒸気圧曲線を見ていただくと判るのですが、圧力が少し変わっただけでも沸点はかなり大きく変化します。これは、何かの理由で圧力が少し下がったときに今まで静かに沸騰していた液が急に激しく沸騰し始めることを意味します。 (4)メタノールの揮散の問題 液を沸騰状態においておくと次第にメタノールが揮散します。そのメタノール蒸気は減圧機のほうへ行ってしまうことになりますが、それは a)真空ポンプの能力低下 b)液の組成変化 c)可燃性気体への引火 d)メタノールの毒性 など、いろいろな問題をはらんでいます。メタノールを系内に留めておくための装置改造が必要になります。沸騰させなくてもメタノールは揮散していきますが、その速度は明らかに違います。 (5)温度の不均一の問題 ナベに水を入れて沸騰させると、決まった場所から水蒸気の泡が発生していることが判ります。これは、ナベの内側の傷や汚れなどをきっかけとして沸騰が起きているためです。容器に液を入れて沸点まで加熱していくとこのような「きっかけ」の部分から一気に沸騰が始まることがあります。そうした場合に温度の不均一があることは危険です。これは減圧でなくても起きることですが、減圧の場合には沸騰によって生じる泡の体積が大きいので危険度が増します。 以上より、私のお勧めは ・圧力は大気圧とする ・ヒーターの能力アップ、あるいは断熱により充分な熱を液体に与えられるようにする ・液温を検知してヒーターの発熱量を制御する系を組む ・できれば攪拌して温度の不均一を解消する ことです。
お礼
大変勉強になるご意見ありがとうございます。常温・・・ではなく常圧でした。失礼しました。おっしゃるとおり、いわゆる攪拌翼やスターラーをセットし攪拌が出来れば本当はよいのですが・・・(苦笑) 引き続きご意見たまわれましたら幸いでございます。
補足
ご教授ありがとうございます。 (1)なるほど・・・確かにそうですね。それは盲点でした。 (2)ご指摘のとおりだと思います。 (3)厳密な精度が必要ということですね。これは現行機では難しいかも・・・・アナログの圧力ゲージしかありませんので。デジタルで制御装置が付いていないと厳しそうですね。 (4)冷却トラップは付けてありますが、過剰投入した場合にあくまで余剰分を回収するという目的で設置してあったものなので、還流目的ではなく・・・これは特に、こちらではb)液の組成変化に影響がありそうです。 (5)温度の不均一は現状の常温状態でも大いなる課題となっています。ここが一番の課題かも知れません。 ご指摘のとおり、常温・熱量増、温度制御、攪拌が最も効率がよさそうですね。ありがとうございます。 よろしければ、もうひとつご意見をお願いいたします。 新たに、減圧をこんな形で活用するというのはいかがでしょうか? 冬季、常温ではスタートアップ時の温度上昇に相当の時間と熱エネルギーが必要でした。そこでできるだけ少ない熱量で、かつ目的の温度に到達するまでの所要時間を短縮する方法はないか?と考えています。加温を減圧状態で行い、所定の温度に達した段階で容器内を常圧に戻します。その後は液温をセンサーで監視しながら、ヒーターを制御しつつ一定温度に保つ。これにより課題であった寒冷時に一定温度まで上げるまでの長い加熱時間と莫大な熱量を軽減し、目的の状態に早く到達することはできますでしょうか?考えられる問題点を含めてご意見をお願いします。
補足
ありがとうございます。油とメタノールは1:3モルの想定で、あらかじめ時間をかけて均一に溶解した状態にしてから金属の容器内に入れてあります。加温は金属容器の外側からラバーヒータで行わなければならないため(容器内部には攪拌器やヒーター等は入れられない状態で、混合液だけが入ってるとお考えください)、冬場に外気温が非常に低くなったときは放熱がひどく、常圧での温度制御(液温10℃~55℃まで加温し、かつ55℃をキープ)に非常に苦労しました。そこで容器の保温ももちろん考えているのですが、せっかく減圧機があるので、少し減圧することによって、加温の温度をコントロールする方向で考えられないかな?と思った次第です。 ド素人なので、蒸気圧力線の見かたがイマイチ解っておりませんで、変な質問でスミマセン。たとえば、メタノールの場合、常圧(765mmHg)で64.5℃、20℃だったら100mmHgが蒸気圧ということでよろしいでしょうか?・・・となると、これは減圧後の圧力時に、液体が常圧で蒸発する時の温度に達しているのですね。では、たとえば液温30℃のときに、55℃相当にしたいという場合は、何mmHgにしたらよいかと言うのは、どう考えればよろしいでしょうか?