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鉄の結晶格子
あるテキストに、 「鉄の結晶は常温では体心立方格子であるが、 910℃まで加熱すると面心立方格子に変化する。 この時の密度は体心立方格子の密度の何倍か。」 という問題が書いてあり、 答えの導き方はわかったのですが、 その答えが1倍以上の値になるのが理解できません。 普通加熱したら、密度は小さくなるから、 答えは1倍以下の値になるのではないでしょうか? 詳しい説明をお願いします。
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#2です。 #2の回答は少し質問からずれていたようですね。 私は「なぜ高温側で密度の大きい結晶形、低温側で密度の小さい結晶形になっているのか、普通は逆ではないのか」という質問だと解釈してしまいました。 でも単純に「熱したら膨張するはず」というだけの質問ではないかと思い始めました。 加熱して起こる体積変化には2つの内容があります。 成分粒子の熱運動によって起こる体積変化と相変化によって起こる体積変化とです。 成分粒子の熱振動が激しくなれば粒子間の距離が大きくなります。狭いと動くことが出来ないのですから運動が激しくなるということは広い空間を占めるようになるということです。一般に起こることです。 でもこれは成分粒子間の位置関係が基本的に同じものである場合という仮定があります。1つの粒子の占める空間が大きくなれば相似形で全体の空間が大きくなると考える事ができる場合です。 結晶形が変わってしまうと成り立ちません。粒子間の距離は大きくなっているが全体の体積は小さくなるということも起こります。 鉄の場合でいうと910℃で結晶形が体心立方格子から面心立方格子に移ります。常温では体心立方格子です。体心立方格子の範囲であれば温度を上げると体積は増加します。鉄の線膨張率は293Kで11.8×10^(-6)/K、800Kで16.2×10^(-6)/Kです。 910℃に近づくにつれて鉄の原子半径は少しずつ大きくなっていっているのです。それにしたがって体心立方格子を決めていた鉄原子の電子軌道の特徴もなくなっていきます。だんだん丸くなっていく事になります。あるところでガラッっと並び方が変わってしまって球対称の粒子のパッキングになってしまうのです。その温度が910℃です。並び方は変わっていますが原子間の距離は変わっていません。 910℃の直前、直後で密度を比較すると約9%の増加です。でも常温の鉄(α鉄)と910℃の鉄(γ鉄)とで比較すると約1%の違いです。 α鉄とγ鉄で密度の違いはほとんどないと書いてある文章を目にしますが比較している温度を曖昧にしている様に思います。 これは「氷が融けると体積が減るのはどうしてか」という問いと似ています。「氷は隙間の多い構造をしている。融ける事によってこの構造が壊れ、隙間を埋めるような位置に水の分子が入っていくので体積が小さくなる」という説明がされています。固体から液体に移るときに結晶構造が壊れるということと結晶構造の特徴とが合わさっている事になります。氷の結晶は水素結合による正4面体構造です。HとOの電子軌道が関係しています。 4℃で密度が最大であるというのは氷の時の構造の特徴が消えてしまうのにある温度の幅が必要であるということです。すきまの多い構造の特徴がほぼなくなってから後では加熱すると体積が一様に大きくなっていきます。当然氷の範囲でも加熱すると体積が大きくなっていくはずです。氷と水の移り変りの所でだけ逆転が起こるのです。 氷の線膨張係数は-50℃で45.6×10^(-6)/Kです。
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- htms42
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いい質問だと思います。 面心立方格子fccは最密構造です。 六方最密格子hcpとは同じ密度です。 パチンコ玉をピッタリくっつけて並べるとこの2つの構造のどちらかになります。 金属原子がパチンコ玉のような剛体球で考えられるのであれば低温側での結晶構造はfccかhcpになると予想されます。 金属の結晶構造はたいていこの2つです。ところが鉄のように低温側にbcc、高温側にfccという例があります。(他にもいくつか同じような例があるはずです。) これは剛体球と考えることが出来ないという事になります。軌道の対称性が問題になってくるのだろうと思います。 遷移元素では一番外にs軌道があります。その内側につまっていないd軌道があります。s軌道は球対称ですがd軌道は違います。 球対称でない軌道が効いてくる金属元素と効いてこない金属元素の違いは具体的に何かということまでは分かりません。
- okormazd
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「答えの導き方はわかったのですが、その答えが1倍以上の値になるのが理解できません。」 というのが理解できません。 面心立方格子と体心立方格子では、鉄原子の充填率がちがうでしょう。それが「導き方」に入っているんではないんですか。導き方がわかったのなら「詳しい説明」はいらないでしょう。 1.09ちかくになるのかな。