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肖像権(パブリシティー権)について教えてください
- 没後30年の方のイラストを掲載する場合、肖像権、著作権が問題になるか教えてください
- イラストは、その方の生涯を綴った本に掲載されている写真をもとに描かれます
- イラストのタッチは似顔絵のように似ていないが、かなり簡単な素描のような雰囲気です。記事には参考資料としてその方の生涯を綴った本(2007年発刊)を紹介します
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まず、肖像権についてです。 肖像権については人格権としての側面と、財産権(パブリシティ権の一部)としての側面があります。 前者については人格権というものは一身専属とされており、人格権者が死亡した場合には行使されることはありません(著作権法上の著作者人格権のような例外はありますが)。また、イラストについては裁判所内の被疑者の様子を描いたような例外的な場合を除き、肖像権の対象にはなりません(最高裁平成17年11月10日) 後者については、相続されるとする説、されないという説が分かれており、判例はありません。しかしパブリシティ権侵害となる行為は「著名な芸能人の名声,社会的評価,知名度等,そしてこれらを表現する肖像等,これが表す顧客吸引力などを無断で利用する行為」とされていますから(東京高裁平成18年4月26日)、単に紙面で紹介する程度にとどまるのであればこれにはあたりません。 以上より、肖像権侵害には当たらないと考えられます。 次に著作権の問題です。ここで問題になるのはその方やその方の家族ではなく、写真について著作権を有している方です。そのイラストを見て、ああこの写真を元に描いたのか、と解るようなものであれば翻案権や複製権、頒布権の侵害となるおそれがあります。この場合には写真家の方を探して許可を求めるか、文化庁の裁定を得る必要があります(著作権法第六十七条、もっともこれをするくらいなら掲載を止めたほうがいいでしょう)。 逆に言えば、言われなければイラストと写真の関係がわからないようであれば侵害にはならないでしょう。 また侵害に当たる場合であっても、著作権法は保護期間を定めています。写真の発表の際に撮影者名が附されていたような場合でなければ、写真が世に出てから50年を経過していれば著作権の保護範囲外となりますので、許可を取る必要はありません。 第五十一条 著作権の存続期間は、著作物の創作の時に始まる。 2 著作権は、この節に別段の定めがある場合を除き、著作者の死後(共同著作物にあつては、最終に死亡した著作者の死後。次条第一項において同じ。)五十年を経過するまでの間、存続する。 第五十二条 無名又は変名の著作物の著作権は、その著作物の公表後五十年を経過するまでの間、存続する。ただし、その存続期間の満了前にその著作者の死後五十年を経過していると認められる無名又は変名の著作物の著作権は、その著作者の死後五十年を経過したと認められる時において、消滅したものとする。 まとめますと、肖像権はおそらく問題になりませんが、著作権に関しては問題となる可能性があります。可能であればカメラマンを探して許可を取るか、イラストを写真そのままの構図にするのではなく、少し手を加えたほうがいいでしょう。沢野ひとしさんのような絵であれば、構図を変えれば侵害の可能性はなくなると思われます。
お礼
とてもわかりやすい回答ありがとうございました。 アドバイスいただきましたように、構図を変えて描きました。 より安全にするため、いくつかの資料を参考に想像上のシチュエーションにしました。 本当に助かりました。 ありがとうございました。