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競売申立てと時効の中断について
根抵当権に基づき不動産競売を申し立てる際に、一部請求をした場合、時効の中断の効力は請求部分にのみ及ぶのでしょうか?それとも全体に対して及ぶのでしょうか? たとえば、極度額5,000万円で、貸金A4,000万円、貸金B2,000万円という事例があった場合に、「極度額の範囲内」として貸金ABについて全額請求をした場合は、貸金AB共に、貸金の全体に対して時効中断の効力が生じると思われますが、被担保債権目録には貸金AB共に表示し、請求債権目録には「貸金Aのうち金2,000万円」と明示して一部請求をする場合、時効の中断としては貸金Aのうち金2,000万についてのみに及ぶのでしょうか?
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>被担保債権目録には貸金AB共に表示し、請求債権目録には「貸金Aのうち金2,000万円」と明示して一部請求をする場合、時効の中断としては貸金Aのうち金2,000万についてのみに及ぶのでしょうか? 文献等を調べていないので、あくまで私見ですが、民事訴訟において一部請求であることを明示して一部請求をした場合、時効の中断は、一部請求の部分にのみ及び、残額には及ばないとする判例(最判昭和34.2.20民集13巻2号209頁)とパラレルに考えるのであれば、競売の申してにおける時効中断の範囲も一部請求の部分のみに及ぶと考えるのが自然だと思います。 >たとえば、極度額5,000万円で、貸金A4,000万円、貸金B2,000万円という事例があった場合に、「極度額の範囲内」として貸金ABについて全額請求をした場合は、貸金AB共に、貸金の全体に対して時効中断の効力が生じると思われます。 平成11年9月9日の最高裁判所の判例によれば「根抵当権の極度額を超える金額の被担保債権を請求債権として当該根抵当権の実行としての不動産競売の申立てをし、競売開始決定がされて同決定正本が債務者に送達された場合、被担保債権の消滅時効中断の効力は、当該極度額の範囲にとどまらず、請求債権として表示された当該被担保債権の全部について生じると解するのが相当である。」としています。 理由は示されていませんが、極度額を限度として被担保債権が担保されるというのは、根抵当権の性質によるものであって、請求債権としては被担保債権の全部としている以上、時効中断の範囲も、請求債権として表示された当該被担保債権の全部について生じるという理由によるものと思われます。 仮に上記の理由によるものだとすると、一部請求の事例では、その理由はそのままでは妥当しませんので、上記判例をもって、一部請求の事例においても時効中断の効果が全体に及ぶと判断するのは危険だと思われます。 >たとえば担保価値が2,000万位しかないのに貸金ABで6,000万請求することは不経済です。よって一部請求とします。 担保権実行による差押えの登記の登録免許税は、確定請求債権額(1000円満切り捨て)の4/1000(100円未満切り捨て)ですし、予納する金額も変わってきますので、一部請求にする意味がありますね。
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NO1です。 「担保価値が2,000万位しかないのに貸金ABで6,000万請求することは不経済」 とするのは、債権者の立場から各種費用を考えての事だと思います。 実際にはありえない、と考えましたが、おっしゃるとおり「経済的な請求」という見方がありますね。失礼しました。 NO2の方の意見に私も同意です。 「貸金Aのうち金2,000万円」と明示してある=権利の主張範囲の指定。 時効制度は「権利の上に眠るものを保護しない」訳ですから、B債権だけが時効中断効果を保障されていいのだと思います。 それにしても手続費用というのが、現実には結構な法律的な実務に影響を与えて、色々な問題をかもし出すものです。
お礼
ご回答ありがとうございます。
あの、実際に起こってる問題ですか? 時効に対しての「問題集」又は「こうなったらどうなる?」というクイズではないですか? それならそれで「アカデミックに机上の空論」的にお答えを考えたいです。 そうでないなら、実際にこういう問題が起こることが信じられないのですが。 どうして、貸金Aについて請求債権目録に入れなかったのでしょうか。 現実としてありえません。
補足
これは実例です。 たとえば担保価値が2,000万位しかないのに貸金ABで6,000万請求することは不経済です。よって一部請求とします。
お礼
ご回答ありがとうございます。 自分も上記二つの判例を検討し、buttonholeさんと同じ見解に至ったのですが、他の人の意見が聞きたかったです。 やはり執行法が民訴法の特別法であるため、執行法にないものについては、民訴に戻ると言うことを考えると、一部明示請求の場合は訴訟物についてのみ時効中断の効力が及ぶって判例により、請求部分のみに時効中断効が生じそうですよね。極度額を超えている事例で全額請求している場合は、当事者の意思としては、全額請求したいが全額請求したくても極度額にて打ち切られるという根抵当の性質を考慮した結果の判例っぽいですよね。そう考えると全額請求できるのに、あえて一部のみ請求しないのならば、その部分でしか中断させる必要もない。ってことになりそうですよね。