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希硫酸について
htms42の回答
- htms42
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酸が「金属」や「金属の化合物」を溶かすという性質は昔からよく知られていたことです。酸がよく利用されてきた理由もこの性質があるからです。 でもこの2つは反応の性格としては異なるものです。 「金属」を溶かすという場合、酸は酸化剤として働いています。 「金属の化合物」を溶かすという場合、酸は酸化剤ではありません。酸化還元反応ではなくて中和反応になります。 酸はH^+を放出する働きを持っているということは習っていますね。 中和反応は相手の塩基の出すOH^-とこのH^+が反応します。H2Oが生じますがHはH2SO4という化合物からH2Oという化合物に変わっています。化合物から化合物です。 酸と金属との普通の反応でもこのH^+が働きます。相手の金属を金属イオンに変えるのです。代わりにH^+はイオンでなくなります。水素ガスH2が発生します。化合物から単体への変化が起こっています。立場が入れ替わるのですから正のイオンになる性質の強弱が問題になります。イオン化傾向はこの強弱を表したものです。 金属が酸と反応すれば金属はイオンになります(酸に溶けるというのは生じた化合物が水に溶ける場合です)。この場合金属は酸化されています。酸化剤は酸です。どのような反応であるかは関係ありません。濃硫酸と希硫酸とで反応が違っていますがどちらの場合も硫酸は酸化剤です。 希硫酸ではH^+だけが反応します。 MgやZnが希硫酸に溶けるという場合はこの反応です。 2H^++Mg → H2+Mg^2+ 濃硫酸を加熱すると別の酸化作用がでてきます。 H2SO4+2H^++2e^-→2H2O+SO2 Sの状態が変化しています。この式の中のH+は別の硫酸分子からでてきたものですから酸としての働きも持っています。 この仕組みの酸化作用の方が強いので希硫酸とは反応しない銅が熱濃硫酸とは反応します。(反応はどんどん続きます。でも生じたCuSO4が濃硫酸の入った試験管の底にたまりますので「溶ける」という表現には「?」がつきそうです。濃硫酸の中にはCuSO4を溶かすのに十分な水がないからです。) 硝酸には別の仕組みが2つあります。 HNO3+H^++e^-→H2O+NO2 (濃硝酸) HNO3+3H^++3e^-→2H2O+NO (希硝酸) 硫酸や硝酸は「酸化力のある酸」と呼ばれています。酸に共通の酸化作用以外の、別の仕組みの酸化作用を持っているからです。 これに対して普通の酸は「酸化力のない酸」という分類になります。でも酸化力のない酸もH+の関係する酸化作用は実現できます。 混乱させる言葉つかいです。 HClのような酸の場合はH+の関係する酸化作用しかありません。後ろのCl-は酸化作用を示すことができません。 授業で 「Mg+2HCl→MgCl2+H2という反応でHClは酸化剤だ」という説明をすると 『教科書には「HClは酸化力のない酸」と書いてあるが?』 という質問がでてきます。何度も経験しました。
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