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昔話「花咲か爺さん」の起源は?

「花咲か爺さん」の昔話は、1)何時頃成立して、2)誰によって作られたものか? また、3)仏教的背景は無いかを知りたいです。  ご存知の方よろしくお願いします

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  • neil_2112
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回答No.3

成立年代や作者については特定は難しいのではないかと思います。 ただ、不確かな記憶ながら(桜井徳太郎氏の著作だったと思うのですが)、江戸時代初期の赤本に既に載っている旨の記述があったと記憶していますので、それ以前に少なくともその原型は成立していたことになります。恐らく室町時代後期ぐらいに成立したのかも知れません。 #1のお答えにもあるように、中国の「花神」や「狗耕田」との類似性がよく指摘されていますが、個人的にはその影響はあまり大きくないのではないかと感じます。 というのは、花咲爺では確かに枯木に花を咲かせることがクライマックスであり重要なパーツなのですが、これは爺本来の属性や能力に由来するものではなく、また能力として獲得されたものでもありません。むしろ爺に突然与えられた幸福、富のひとつの形態として登場するに過ぎないものであって、この点で「花神」との位置付けはかなり異なっているからです。 また同様に、犬に対しても物語中で労働力としての視点は全くなく、むしろ神と現実世界との媒介として爺に与えられる幸運をとりつなぐ役目をしていることが重要なのであって、やはり「狗耕田」とは位相が異なります。 花咲爺は日本オリジナルと考えていいのではないでしょうか。もちろん、柳田国男や関敬吾らの指摘を待つまでもなく、古今東西昔話には決まったパターンがあるわけで、ある類型のなかに分類できるものがほとんどですから、大きな視点から見れば全てが似ている、という表現もできるわけですが。 仏教の影響について。成立にあたっての明確な背景は無論不明ですが、内容的には、間接的ながら多少仏教的な因果応報の思想の影響をみることができるかも知れません。ただ、その思想は明確に読み取れるものではなくて、強いて言えば、という程度のものでしょう。 関敬吾が「動物報恩譚」と分類したような物語、つまり助けられた動物の報恩によって富がもたらされる、というストーリーの骨格になるようなはっきりした「因果」はここには見られません。むしろ、ストーリーのなかには爺の善行は明記されないものの、悪役として隣の爺を登場させることによって、読者は間接的に主役の爺の普段の善行をイメージし得る、という仕組みになっています。 いわば爺が「善人」であることは暗黙の前提となっていますので、物語としてはこなれた印象がある反面、富をもたらすきっかけを特定できないわけで、主役の爺に関して言えば、因果や報恩といった概念を説くよりも、宿命的に富がもたらされる「致富譚」の色合いが強いと言えます。むしろ、隣の悪役爺の方が、犬を殺す悪行や強欲によって結果的に罰を受ける、という意味で負の因果を説く存在であると言えるでしょう。 いずれにせよ、花咲爺は仏教の影響は否定できないにせよ、あまりあからさまなものではないと思えます。 #2のご回答中の引用には、「千寿経」とありますが、恐らくこれは「千手経」の誤りではないかと思います。千寿経は聞かない名前ですが、千手経のほうは広く知られたお経で、既に平安初期の「日本霊異記」を初めとして沢山の文献にこれを読む姿が描写されています。観音信仰とあいまってこのお経の中の陀羅尼は特に信仰され、いい臨終を迎えるため、病気平癒祈願などのために貴族中心に広く読まれたのです。 ただ、私には内容的に花咲爺との接点があまりあるようには思えませんし、少なくとも典拠というのであれば、それこそ日本霊異記の沢山の話(法華経を謗って現世で罰を受ける話、など)のように、もっと明快かつ直截的な物語である必要があるのではないかと思います。 あまり役に立つ回答にはなりませんでしたが、もしお時間があるようでしたら、昔話研究の王道である柳田国男、関敬吾、桜井徳太郎氏らの著作を読まれることをお勧めします。

その他の回答 (2)

noname#160411
noname#160411
回答No.2

學燈社「別冊國文學・No.41 昔話・伝説必携」('91)より >1)何時頃成立して 「発生は未詳。江戸時代初期の赤小本『めいよの翁かれきに花さくぢぢひおきな』を記載の始めとし」云々。 >2)誰によって作られたものか 当然不明。 >3)仏教的背景は無いか 「仏典『千寿経』を典拠に(中略)したという説がある。」 とのことです。

  • Pesuko
  • ベストアンサー率30% (2017/6702)
回答No.1

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