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民法マイナーチェンジ

民法の現代語化に伴う改正から数年経過したようですが、今頃疑問が生じましたので質問させて下さい。 民法407条2項は、「取消スコト」となっていたのが本来の意味に忠実に「撤回すること」に変えられたようです。 一方412条3項は、「履行ノ請求」が本来の意味が催告であるにもかかわらず、「履行の請求」とひらがなになっただけのようです。 なぜこのような一見中途半端な改正になったのでしょうか? どなたかご存知の方お願いします。

質問者が選んだベストアンサー

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回答No.3

#2の回答者です。 質問者さまのご質問を拝見して、派生的な疑問に行き着きました。 もし「履行の請求=催告」であれば、民法412条3項は「…債務者は催告を受けたときから遅滞の責任を負う」と規定せず、わざわざ「履行の請求」という概念を立てたのか。 私がこう申し上げるのは、質問者さまの疑問の根本も、同じところにあるのではないかと思うからです。 それで、このことについても少し調べてみました。 注釈民法(新刊注釈民法10巻I 初版 有斐閣・平成15年)によると、民法412条3項が「催告」を付遅滞の事由と規定しなかったのには、沿革的な理由もあるようです。 つまり、現行民法の基礎になっている旧民法-そのまた基礎になっているフランス民法では、a債権者の債務者に対する履行の督促の意味である「催告」のほか、b「これと同価値の他の行為」も、期限の定めのない債務の付遅滞の事由としていたということです。 そして、フランス民法は「催告と同価値の他の行為」として、a支払命令、b和解のための呼出し、c訴えの提起による裁判所への召喚などを念頭においていたということです。 考えてみれば、期限の定めのない債務について、「催告」をせずに、いきなり「請求」(=訴えの提起)をしても、やはり債務者は遅滞に陥るのではないでしょうか。 「催告」ですら遅滞に陥る。いわんや「請求」をや…ということです。 もし、民法412条3項が「催告」と規定していたとすれば、(あとで解釈論で救済されるとしても)少なくとも文理解釈上は、「催告」よりも強力なはずの「請求」では、それが「催告」ではないことから付遅滞の効果が出ない、ということになってしまいます。 このような不合理を回避するために、民法412条3項は「催告」という用語ではなく「履行の請求」という用語を用いたように思うのですが、いかがでしょうか。 教科書的に、「履行の請求=催告」と一般に説明されるのは、「催告」が「履行の請求」の最も典型的なものであり、かつ手続的にもいちばん簡易なものだからではないでしょうか。

kishitako8
質問者

お礼

色々な文献を調べてまでご回答下さり、ありがとうございます。 お陰様で自分の短絡的な誤解にも気付くことができました。それにしても、すごい調査力・考察力だと感服致しました。

その他の回答 (2)

回答No.2

横合いから失礼します。 >、「履行の請求」=「催告」ではなく、「請求」が裁判上の「請求」と裁判外の「催告」の両方の意味がある、という理解で良いですよね?< ご質問を拝見して、私もいろいろと調べてみました。 直接、ご質問の回答になるような記事のある文献は見つけることができなかったのですが、内田・東京大学教授の著書の中に、次のような記述がありました。 すなわち、時効の中断事由としての請求について、 「民法が規定している「請求」とは単なる履行の請求とイコールでないことに注意する必要がある。」(民法I 総則・物権総論 第3版 東京大学出版会・2005年) また、同教授の別著には「履行の請求(催告)」という記述も見受けられます(民法III 債権総論・担保物権 第3版 東京大学出版会・2005年)。 この記述を前提とする限り(少なくとも内田教授は)、「請求」と「履行の請求」とを、技術的に使い分けていることになります。 そして、「履行の請求」は「請求」の種類の一つではなく、やはり「履行の請求=催告」の意味であり、(単純な)「請求」は裁判上の請求だけをいうものと思われます。 #1の回答者さまのご回答も、質問者さまのご理解のとおりではなく、上記の趣旨であると思います。

  • un_chan
  • ベストアンサー率60% (219/365)
回答No.1

 「取消」と「撤回」では,意味が異なりますが,「履行の請求」と「催告」は,同じ意味です。単に同じ用語が多義になっていたことを整理した,ということではないでしょうか。  一般に,法改正においては,必要のないところまで直しませんから,趣旨に紛れがないところまで修正しなかったにすぎないと思います。

kishitako8
質問者

お礼

ご回答ありがとうございます。 「請求」は裁判上のもので、「催告」は裁判外のものと理解していましたので、法文上「請求」がどちらの意味にも使われるのに抵抗がありました。 そこで、自分としてはun-chanさんが言われるように、同じ用語が多義になっていたとして整理して欲しかったのです。 そこで確認したいのですが、「履行の請求」=「催告」ではなく、「請求」が裁判上の「請求」と裁判外の「催告」の両方の意味がある、という理解で良いですよね?

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