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横隔膜の支えってなんで必要なんですか?
はじめまして。声楽を研究しているものです。レッスンを受けていると、いつも支えを意識しなさいといわれます。確かに横隔膜によって支えた声は安定していて私も良いと納得できるのですが、逆になぜ横隔膜によって支えると良い声が出るのでしょうか? これは私の想像ですが、肺からの呼気圧を横隔膜で分散させているのでしょうか。詳しく説明していただける方、どうかご協力お願いします。
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No.2です。 研究をされている方は、さすがに目のつけどころが違うなあと感心しています。そして今、私は回答した事を後悔しています。 なぜ「横隔膜の支えの無い声は喉声になる」のかですが、私の書き方が悪かったのですね、あやまります。「横隔膜の支えの無い声(または「横隔膜の支えが弱い声」)」を「喉声」と呼びます。「横隔膜の支えが無い」から「喉声」になるのではなく、「横隔膜での支えをしっかりする」と「喉声」が解決されるので、「横隔膜の支えが無い」→「喉声」→「横隔膜の支えをしっかりさせる」→「喉声が治る」なので、「横隔膜の支えの無い声は喉声になる」と考えるのです。 これらの医学的科学的な根拠ですが、おそらく無いでしょう。声楽は演繹法ではなく帰納法の世界であって、結果から解決方法を常に探してゆきます。原因→結果の世界ではなく、結果→解決方法の世界です。声楽と科学は現在のところ、かなり遠い関係にあるのかもしれません。 おそらく質問者の方はご存じでしょうが、声楽界では広く読まれていて定番とも言える、コーネリウス・リードの「ベン・カント唱法」では、科学的な分析がいかに声楽をダメにしたのかが、延々と書かれていますので、私のような実践を重んじる人は、声楽を科学的に考えたがらないのかもしれません。そういう意味で回答者として不適切だった思います。 次に「喉を緩めると横隔膜の支えなしでは声が出なくなる」のも、私の書き方が悪かったですね、あやまります。「喉を緩め、その上で横隔膜の支えを無くすと呼気がなくなる。呼気がない状態で出る声は声楽的な声ではない」と書くべきでした。呼気のない状態では、一般的には声そのものが出ません。しかし厳密には呼気がなくても、訓練次第では声は出ますし、低音歌手の方々はそのような練習(喉鳴りと言います)をする事もあります。これは呼気によらず声帯自身の振動で声の響きを出す練習ですが、一般的な行動ではないと思います。 質問にはありませんが、続いて書かれている「喉が絞まっていると、喉が邪魔をして、横隔膜で声を支えることはできません」という記述も厳密には間違いです。あやまります。「喉を絞めた状態で横隔膜を使った声楽的な発声はできないが、声楽的ではない声ならば、喉を絞めた状態でも横隔膜を使った発声は可能であるが、それはお薦めできない」と書くべきでした。やってみれば、すぐ分かりますが、絞めた喉で腹圧をかけて発声すると、商店街や市場などで時々耳にする「物売り」の声になります。極めて日本的な声であって、声楽からは遠い声です。 今回は正確に補足事項を書こうと思い、読みづらい文章になってしまい申し訳ありません。歌う人間すべてではありませんが、かなり多くの人間は、歌を科学的に考えないものです。ですから、質問者さんのような発想は新鮮に思われます。 私のような歌う人間は、問題の解決方法ならいくらでも知っていますが、問題がなぜ問題なのかは、案外知らないものです。そういう意味では、質問者の質問に回答を付けた事自体が誤りだったのだと思います。「教えてgoo」には削除の機能がないことを悔やみます。 どうぞ、がんばって研究をしてください。そしてその結果を、いつの日か公表してくださったら、私のような歌馬鹿が喜びます。
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> フースラー/マーリング著の「うたうこと」での正しい「声の支え」の定義を教えていただけますでしょうか。 はっきり言って、よくわかんない本なんですよね、全体的に。推奨されることよりも、推奨されないことの説明が詳しいのが特徴という変わった本でもあります。 正しい支えとして紹介されているものは、「背中の下のほうから胸の前上のほうへ向かう空想上の力によって支える」ということですから、これだけで理解しろというのは無理です。 呼吸器官の重要性を説く「うたうこと」に対して、リードの「ベル・カント唱法」は、ブレス・コントロールの無用性・有害性を説いており、すがすがしい印象を与えます。 ただ、両者に共通しているのは、筋緊張について言及されている点です。「うたうこと」では、筋緊張性呼吸調整について説かれており、「肺の空気が少ないとき、横隔膜の緊張は大きい」となっています。「ベル・カント唱法」では、呼気筋と吸気筋の緊張バランスにおいて、「息が流出しているときは呼気筋が活動しているので、吸気筋をどちらかいえばしっかり支える」となっています。この辺が、「支え」と捉えられているものの実体ではないかとも思われますが、これだけでは、よく分かりません。 「ベル・カント唱法」では、呼吸筋群は発声に対する協働要素の一部に過ぎないとしています。確かに、声帯が程よく接触できないと良い音も鳴らないし、空気も浪費されるのに、それに対してブレスコントロールで対抗させるのは、直接的な発声機構を考えればナンセンスです。 私見ですが、「良い発声は横隔膜によって支えることで起こる(あるいは悪い発声は横隔膜による支えがないからだ)」という「直接的な因果関係モデル」を採るか、「良い発声が起こる時の協働要素の一つとして横隔膜が随伴的に作動する」という「相互動作モデル」を採るか、は発声の理解に影響を与えるものと思います。うまく説明できませんが... 声楽の黄金時代であった17・18世紀は、発声機構はブラックボックスであったことでしょう。近代現代で、中途半端に科学的解明が進んだ結果、発声器官や呼吸器官を、「誤って直接コントロール」しようとして不自然な発声法に陥ると、かえって伝統的な正しいメソッドとは程遠いメソッドが出来上がり、これは避けるべきだというのが、リードの主張です。
お礼
分かりやすい説明をありがとうございました。ぜひ研究の参考にさせていただきます。
> 肺からの呼気圧を横隔膜で分散 ガスの圧力は、接触面について全て均等にかかるので、ある場所に圧力が集中したり、分散したりすることは、物理的にはあり得ません。 まず、「横隔膜の支え」というものを定義できるのか?、できるとすればそれはどのようなことか? この辺から考えないと、根源的なことは何一つわからずじまいではないかと思われます。 声楽家の間では、声を支える、という考え方をすることが多く、では何で支えているのか? に対する答えが、「横隔膜」であるということが一般的ではないかと思います。 しかし、横隔膜が収縮するタイミングは、息を吸うときです。横隔膜は吸気筋の一つで、その収縮によって肺が下へ拡張し、肺の内圧が低下し、外気が肺内へ入ります。 一方、呼くときは、肺自体が収縮(肺は筋組織ではありません。念のため)します。 歌うときは、わずかながら呼気を伴うわけですから、このとき本来、横隔膜は特にすることはありません。筋肉ってのは、収縮するのが仕事で、伸びる筋肉ってのはないからです。ただ、横隔膜の動きを他の筋肉群(例えば腹筋)がコントロールすることはあり得るので、横隔膜で支えるという言葉は、善意に解釈すれば、この意味になります。 「支え」に関しては、 フースラー/マーリングの「Singen(うたうこと:邦訳は音楽之友社から)」に出ていますが、誤った支えのやり方として、「側腹固定」「横隔膜の持続的収縮」「横隔膜圧迫」「強制深呼吸」「鬱積法」「圧迫」が挙げられており、どうも横隔膜で直接的に支えるという考え方には懐疑的にならざるを得ません(例えば「横隔膜圧迫」というのは、横隔膜を低位に扁平に保つという指導方法です。確かに、たまにこれをやれという人を見かけますね。一方、フースラーは、横隔膜はドーム状になるのが好ましいと述べています) ついでに、No.4の方が挙げている、コーネリウス・リードの「ベル・カント唱法」では、「呼吸法」「支え」「喉を開く」といった概念による声楽指導は19世紀後半から20世紀にかけて現れたもので、17、18世紀の声楽技術の伝統からはほど遠く、現代のメソッドがいかに危険で根拠のないものであるかが喝破されています。
補足
丁寧なご回答ありがとうございました。 フースラー/マーリング著の「うたうこと」は私も読ませていただいておりますが、結局のところあの本の中での正しい声の支えというのは何なのでしょうか?たくさんあってまとめるのが大変難しかったです。もし可能であれば、あの本での誤った支えのやり方ではなく、正しい「声の支え」の定義を教えていただけますでしょうか。 >横隔膜の動きを他の筋肉群(例えば腹筋)がコントロールすることはあり得る 何かの本で、「腹筋が収縮しているときは横隔膜が弛緩し、腹筋が弛緩しているときは横隔膜が収縮している」というのを読んだことがあるのですが、回答者様が書かれた意味は、これで合っていますでしょうか。そして、腹筋以外の筋肉では、どの筋肉が横隔膜の動きをコントロールできるのでしょうか。
- dqpq05
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no.1です。 あまりお役に立てないコメントで失礼しました。逆に、頂いたお礼がとても参考になったので、お礼を書かせてください。(管理者の方、これくらい大目に見てm(_ _)m) >私は特に口笛を吹くときにお腹の支えを感じます。(特に高い音を出すとき) この例えが非常に分かりやすく、感激してしまいました。 http://www.amazon.co.jp/s/ref=nb_ss_gw?__mk_ja_JP=%83J%83%5E%83J%83i&url=search-alias%3Daps&field-keywords=%81u%8E%B2%81v%82%C6%81u%83n%83%89%81v%82%F0%92b%82%A6%82%EA%82%CE%81A%95K%82%B8%8B%AD%82%AD%82%C8%82%E9%81I&Go.x=5&Go.y=15 http://www.amazon.co.jp/s/ref=nb_ss_gw?__mk_ja_JP=%83J%83%5E%83J%83i&url=search-alias%3Daps&field-keywords=%8C%88%92%E8%94%C5%81@%90g%91%CC%88%D3%8E%AF%82%F0%92b%82%A6%82%E9&Go.x=9&Go.y=12 これらの本が参考になると思います。 ご参考まで。
お礼
こちらこそありがとうございます!ぜひ参考にさせていただきます。
- 007_stone
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一般的な回答をします。 横隔膜の支えの無い声は喉声と言われ、声楽では嫌われています。 声を出すには、もちろん声帯を呼気によって振動させるのですが、日本語(つまり話言葉)の場合は、多くの人が無意識に喉を絞め、喉内の圧力を高めて、それで声帯を振動させて話すという特徴があります。ちなみにJ-POP系の歌手の方々のかなりの数は喉声で歌っています(だから歌声が自然な日本語に聞こえるのです)。 喉を緩めると、横隔膜の支えなしでは声が出なくなります。逆に喉が絞まっていると、喉が邪魔をして、横隔膜で声を支えることはできません。 横隔膜の支えを意識しなさいと先生に言われるのならば、それは喉声になっているから、注意しなさいという意味だと解釈すれば良いと思います。 テクニック的な話をすると、効率的に声を横隔膜で支えるためには背中の筋肉に意識を集中してください。しっかり横隔膜で声を支えていると背中(初心者は背中の下部が、上達してくると背中全体が)が膨らむので、外部から見ていてもよく分かります。 喉声では高音は出ませんし、何よりも声を潰しかねません。マイクがなくても十分聞こえる美しい声で長く歌いたいならば、喉声は回避しなければなりません。 ただし、発声の問題は個々人の身体との関係がとても強いので、一般的な回答が必ずしも正解ではありません。なぜ先生がそのようにおっしゃるのかは、本当のところは先生にしか分かりません。ぜひ直接先生に尋ねてみてください。
補足
非常に丁寧且つ分かりやすい説明をありがとうございました。 それでは、さらに質問させていただいて恐縮ですが、「横隔膜の支えの無い声は喉声になる」、「喉を緩めると横隔膜の支えなしでは声が出なくなる」理由を述べていただけますでしょうか。医学的な答えは非常に歓迎いたします。科学的に立証されている答えというのは存在いたしますでしょうか。 どうぞよろしくお願いします。
- dqpq05
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走る時、歩く時、階段を上る時、お腹の深い位置の筋肉を使ってることを感じ取れますか? この深い腹筋を使って声を出せると、「結果として」横隔膜の支えがある状態になります。意識するべきなのはこの身体の深い場所で、横隔膜は結果としてついてくるだけです。 おそらく、どんなスポーツの時も重要なのが上記の筋肉(場所?)です。スポーツ以外にも、バレエや日本舞踊、茶道、華道、武術等々。 >逆になぜ横隔膜によって支えると良い声が出るのでしょうか? 身体の重心近くから発する力というのが、人間の出せる力の中で一番力強く、純粋に伸びて行くからです。 胸のように、末端近くの筋肉を無理矢理使って声を出しても、非常に弱い上に無駄な力ばかりが必要になります。なので弱々しい上にすぐばてたりするのはこのためです。 明快な文章が書けず私自身歯がゆいですが、重要なキーワードは盛り込めたと思います。なんとか何かしらを掴み取ってください(^^;
お礼
ご回答ありがとうございます。 >走る時、歩く時、階段を上る時、お腹の深い位置の筋肉を使ってることを感じ取れますか? お腹の筋肉の位置を感じることはできますが、深いというのはどうか分かりません。私は特に口笛を吹くときにお腹の支えを感じます。(特に高い音を出すとき) >身体の重心近くから発する力というのが、人間の出せる力の中で一番力強く、純粋に伸びて行くからです。 それは確かに私も身体で実感できるような気がします。 ありがとうございます。
お礼
分かりやすく、大変ご丁寧な回答をありがとうございました。納得させられる部分がたくさんございました。 >声楽は演繹法ではなく帰納法の世界であって、結果から解決方法を常に探してゆきます。原因→結果の世界ではなく、結果→解決方法の世界です。 なるほどそうゆうことだったのですね。とても分かりやすかったです。 声楽は研究すればするほど深く、難しいものだと実感しています。その中で、ご回答者様のご意見はとても貴重なものとなりました。心から感謝しております。新たな気持ちで研究を進めたいと思います。ありがとうございました。