人間の体というのはあらゆるところで常にバランスを取ろうとします。ですので、筋肉だけをつける、あるいは脂肪だけを落とすということはできません。
どんなに計算した食事と運動をしても、筋肉が10つけば脂肪も2か3はつく。逆に脂肪が10落ちれば筋肉も2か3は減る。そうした状態が自然です。
運動不足だった人ならはじめのうちは過剰な脂肪が落ち、衰えていた筋肉が刺激されて肥大していきますから脂肪を減らしながら筋肉をつけることもできます。ですが、ある程度運動している人ではそうはいきません。
綿密なカロリー計算と運動強度に基づいて生活しないといけませんし、時間もかかります。非常に困難かつ根気のいる作業です。
体脂肪が落ちれば、筋肉のラインが出てくるのでそれを「筋肉がついた」と勘違いする人も多いですが、筋量は良くてせいぜい現状維持といったところです。
ということで、「つけることはできるけれど、その条件がかなり面倒だし、あまりにも非効率的なので止めたほうがいい」というのが答えになります。
実際、アスリートなりボディビルダーの人たちなどは筋肉をつけたい場合は、トレーニングを増量期と減量期に分け、まずはひたすら体重を増やして(=高カロリー&ハードトレーニング)、その後に脂肪を落とす(=低~標準カロリー&有酸素運動を増やしたトレーニング)という繰り返しで体を作っていることが多いです。
つまり最初に「筋肉10・脂肪3」をつけたら、次に「脂肪3・筋肉1」減らす。すると脂肪は元に戻ったが、筋肉は差し引きで「9」増えているから、トータルで見ると体脂肪が低く、筋肉の多い体になっている、という具合になります(なお、これはあくまで例え話であって、現実としては、実際に残る筋肉の量が1やそれ以下になることもありえますから、その点は留意してください)。
ただ、これはあくまでもスポーツをやっている人たちの話です。ダイエット目的の人は、筋肉をつけるというよりも「いまある筋肉をなるべく維持して、そのパフォーマンスを高めていく」というくらいの意識のほうがいいでしょう。
むりやり筋肉の量を増やさなくても、いまある筋肉の質を上げてしっかり引き締め、脂肪を減らすことでも綺麗な体は作れます。
「筋肉をつけよう」というフレーズを安直に使う風潮に惑わされずに、今あるものをまずは大切にしてください。