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レプトン数の総和

衝突実験を行ったときにメソンやバリオンはレプトン数が0になると聞きましたがそれは何故でしょうか。 またレプトン数の総和というものが反応の前後で保存されるようなのですが、どういう現象か分かりません。 詳しい回答をよろしくお願いします。

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回答No.5

下の回答でCheng-Li の書名が抜けていたので補っておきます。  Ta-Pei Cheng, Ling-Fong Li: Gauge Theory of Elementary Particle Physics (Oxford University Pres), P.355 なぜレプトン数が保存されるかについて、私は標準模型は決定打となる理論だと思います。ネット上で標準模型のレプトン数保存については参考URLのもの等があります。自発的対称性の破れとCPの破れの関係について詳細は  九後汰一郎:ゲージ場の量子論II(倍風館) P.67 にありますが、結論をかいつまんで言うと、 (1) Weinberg-Salam理論でHiggsポテンシャルから生じる湯川相互作用でCP不変性を破ることはできない。 (2)  CPを破るためには3世代以上のクォークが必要とされ、小林ー益川モデルが導入された。 (3)  しかし2種類以上のHiggs場を導入すれば自発的対称性の破れで生じる相互作用でCP不変性の破れが説明できる可能性はある。 ということです。

参考URL:
http://arxiv.org/abs/hep-ph/0410370

その他の回答 (4)

回答No.4

ゲージ理論の教科書にはいろいろありますが、例えば   S. Weinberg: The Quantum Theory of Field II, (Cambridge University Pres), P.317 Ta-Pei Cheng, Ling-Fong Li: (Oxford University Pres), P.355 に標準理論ではレプトン数とバリオン数が保存される理由の説明があります。また、レプトン数の保存の例としては、むしろレプトン数が保存されないような反応を挙げた方が良いと思います。例えば、  μ(-)+ P → P + e(-) の過程は観測されていません。エネルギー運動量や角運動量の保存則はもとより荷電と核子数の保存も満たされているのになぜこれが起らないのかといったことからレプトン数の保存則が考えられて行ったのです。  νμ + P → μ(+) + N もミューオンレプトン数の保存をおけば禁止。また  νμ + N → e(-) + P, νμ + P → e(+) + N も禁止されることになり、これらが実験的に確かめられたことによりレプトン数の保存則が確立されました。

ensu
質問者

お礼

回答ありがとうございます。 この説明は教科書にある程度載っているのですね。題名から英語で書かれた教科書でしょうか。英語には不慣れですが、取り組んでみます。 背理法でレプトン数の保存則が確立されていたとは知りませんでした。しかし#1さんがおしゃった「決定打となる理論はない」ということは、それを説明文として使ってもいいのでしょうか? お手数をかけてしまい申し訳ありません。回答よろしくお願いします。

回答No.3

ゲージ不変性と繰り込み可能性が基本的な要請であるとします。標準理論はSU(3)×SU(2)×U(1)ゲージ不変性を基にしています。SU(3)が強い相互作用のカラー自由度を記述し、 SU(2)×U(1) 対称性がHiggs機構で破れて弱い相互作用と電磁相互作用を記述するのがその内容です。するとバリオン数の保存とレプトン数の保存は自動的に成立します。SU(3)で変換されずSU(2)の2重項でU(1)の量子数が±1/2であるようなスカラーΦとフェルミオンの繰り込み可能でゲージ不変な相互作用は  lLΦeR, qLΦuR, qLΦdR  (Φの左の場には ̄がつく) という形(および他の世代でこれらに相当するもの)だけです。これらはバリオン数とレプトン数をそれぞれ保存します。またレプトンについてはクォークと異なりCabbibo-Kobayashi-Maskawa angleのようなものがないので、各世代ごとの保存則も成立します。標準理論は重力の関係しない領域では決定打として認められていると思います。

ensu
質問者

お礼

回答ありがとうございます。 標準理論は重力の関係しない、例えば真空中のようなところでは成立しているのですね。それなら何故重力のかかるところでは上手くいかないのか不思議ですね。 詳しい説明ありがとうございます。素粒子について興味がさらにましました。

回答No.2

Weinberg-Salam理論はSU(2)×U(1)ゲージ不変性に基づいています。レプトンの中の電子について言うと、left-handedな電子eLとνを"弱いアイソスピン"の2重項とし、right-handedな電子eRを1重項として組み合わせ(対称性がHiggs mechanismで破れる前の段階で) 、   g(LγTL)・A + g'(1/2LγL + RγR)B というカレントを作ります。クォークも同様にleft-handedなuLとdLを2重項とし、right-handedなuRを1重項とします。基本的にはこのような構成のため、レプトン数やバリオン数を保存するような反応しか起らないと考えられます。レプトンとクォークをより大きな群の一つの表現に入れるような大統一理論では陽子がレプトンに崩壊するようなレプトン数が保存されない反応が起こります。大統一理論の立場で言えば、レプトン数が近似的に保存されるのは、ゲージ群が自発的にSU(2)×U(1)×SU(3)に破れているためと言うことになります。

ensu
質問者

お礼

お礼を差し上げるのが遅くなり申し訳ありません。 回答ありがとうごさいます。 大統一理論の立場から言えば、レプトン数が保存されない場合があるということですね。大統一理論が大成したら、とてもおもしろいことになりますね。 一点伺っても宜しいでしょうか。 ゲージ郡の破れはもしやCP対称性の破れと関係していますか? 無知で申し訳ありません。お手数ですがご回答よろしくお願いします。

  • nzw
  • ベストアンサー率72% (137/189)
回答No.1

第一の質問について) メソンやバリオンは、強い相互作用をするハドロンの仲間だからです。 物質粒子は強い相互作用をするハドロンと、しないレプトンの2種類にわけることができます。 レプトンは、電子のように電荷を持ったものが3種類と、電荷をもたないニュートリノが 3種類の合計6種類です。 レプトンではない粒子のレプトン数を0、物質のレプトンのレプトン数を1、反物質のレプトン 数を-1とすると、反応の前後でレプトン数の総和が保存することがしられています。 じゃあ、何でメソンやバリオンが、同時にレプトンではありえないのかというと、そこまで 説明できる理論で、決定打として認められたものはまだありません。 第二の質問について) レプトン数が保存されている現象の例としては、中性子の崩壊を上げることができます。 中性子(ハドロンなのでレプトン数0)が崩壊すると、陽子(レプトン数0)と、電子 (レプトン数1)、それに反電子ニュートリノ(レプトン数-1)が現れます。反応の 前後でレプトン数の総和は0として、保存していることがわかります。

ensu
質問者

お礼

お礼を差し上げるのが遅くなって申し訳ありません。 レプトン数の総和については知られているだけで、それを決定打できるような理論はないのですね。それならばネットで探して、詳しいものが見つからないのも納得できました。 あげていただいた中性子の崩壊の例のおかげで、レプトン数の総和のイメージを持つことができました。 本当にありがとうございます。

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