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『存在の耐えられない軽さ』について

少し前の本ですが、ミラン・クンデラ氏の『存在の耐えられない軽さ』を読まれた方、読後の感想を聞かせてください。私個人としては、「プラハの春」という政治的弾圧下という下地、ギリシャ神話の引用、ドイツ哲学の現実との整合性の難しさ、男とは、女とは、軽さへの警鐘・・などなど、やはり秀逸なものがあったと思うのですが。 よろしくお願いします。

みんなの回答

  • cynonym
  • ベストアンサー率20% (2/10)
回答No.3

連休を利用して読みました。 身の回りの事象や登場人物の心理描写に加え、考察のような説明、抑圧的な社会情勢の中でどのような意味を持つかの説明、・・私にとっては「単純に難しかった」です。ヨーロッパ言語からの訳ということで難しい部分もあったのかもしれません。と同時に、理解するととても洞察が深く、うーんと唸ってしまう事が多くて、よく考えながら読み進めることが楽しかったです。 ギリシャ神話の引用は、特に社会的な地位のある知識人にとっては、超現実的な引用が見合うほど厳しい社会を感じました。作者は哲学的な思想を持っている上に、激動の時代を真剣に生きたことで物語を語るに足るような考え方を得ているのかもしれないですね。こんな平和な日本の一般人から見ても共感できるところが多く、根底に人間味があるのだと思いました。 私は女性なので、テレザとサビナの話は普通のドラマを見るようでした。多くの作家は女性を人として描写することにちょっといい加減じゃないかなと思うことが多くて、普段本を読むときはあまり気にしないようにしています。女性を彼なりの視点で人として描いていると感じました。 さて「軽さ」は、サビナにとっては求め続けるもので、トマーシュにとっては個人的執着からの開放を意味していると取って読んでいました。最後に幸福だとトマーシュは言うのですが、私にとってはとにかくトマーシュの人生が哀れでした。ほとんど最後のテレザの心境です。(昨日読み終わったばかりなので―もちろんテレザの方はもっと身近な感覚で共感を呼ぶ存在です。) ・・トマーシュは多くの場合自分の日々の欲望と矛盾するように、潜在的に重いものを求めて生きて行きますよね。人生の節目で。それで全体的に悲劇的な寓話となっています。 素朴な疑問として、トマーシュの物語は、普通の男性の感覚ではやはり空想的すぎるでしょうか ? それとも共感を呼ぶ方が大きいのでしょうか? と 疑問も含めて感想です。 (ペトシーンの丘で処刑している人達って何者なんでしょう?)

回答No.2

「幸福とは永遠への憧れである」 という一文が気に入っています。 この一瞬がずーと続いたらいいのに。そう思うときが幸せなんだなと思いました。 「憧れ」というのが大切で、どんなに幸福なことでも永遠に続くと、そのうち幸福には感じられなくなってしまいますからね。 そういう意味では、幸福は儚いものなのかもしれません。

noname#13981
noname#13981
回答No.1

ミラン・クンデラ氏は、たぐいまれな洞察力と豊かな感性を持った作家です。私も、この本は読み始めてすぐ引き込まれて読んだあとなぜか明るい気持ちになったものです。明るい、という言葉はちょっとヘンかも知れませんが、私の頭の中を一言で表すとこうだったのです。 日本人の私は、チェコ人の彼の人生感を共有する事は出来ないですが、思いっきり想像することは出来ると思ってます。「無知」を読んだとき、氏の心のすみずみまで見たような気持ちになりましたが、これも自己満足でしょう。でもいいのです。少しでも近づきたいのです。プラハ大学の前に立ってみたいとも思います。 私にとって彼の本は、癒しと励ましを与えてくれるものです。

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