世界中で貧困層が増えるというよりは、アメリカとか日本とか一つの国のなかでほぼ完結して経済を回せる規模の経済力をもっていた先進国の中間層が貧困層に転落しているということでしょう。
日本で言えば、原材料の輸入や製品の輸出はあっても、基本的に日本の国内に製造業があって、そこやその周辺の産業で働く分厚い中間層の人たちがいました。一億総中流などと言われてましたね。その人達が生活する上で活発に消費活動を行うので、日本経済は自己完結的にしっかり回って潤っていました。
ところが、グローバル化の進展で、製造業は立地の国際的最適化を図り、中国や東南アジアに工場を立てて製造を移管してしまいました。また、グローバル化で安い賃金できつい仕事をいとわない労働力も海外からどんどん入ってきます。
そうすると、国内の工場やそれを支えるいろんな産業で働いて安定した収入を得ていた人たちは以前ほどの収入が得られなくなり、貧困化してきました。
日本人の平均年収は平成9年に467万円だったのが、15年後の平成24年には409万円にまで低下しています。しかも、報酬体系もグローバル化していますから、一部のごく少数の人達が高額の報酬を得ていて平均値を押上げているので、大半の日本人は平均値よりもっと低い年収しかありません。
逆に世界的規模でみると、産業など何もなかったところに製造業が移転してきた国や地域は、新たに安定した収入を得ることができて、極貧から脱却できる人たちが増えます。先進国の中間層は貧困になり、発展途上国の極貧層は以前よりもましな生活ができるようになって、世界中の人たちの収入は全体でならされて平準化していきます。まぁ、それを先進国のものさしで見れば、貧困層が増えるということかもしれませんね。
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