材料強度と表面処理の関係について

このQ&Aのポイント
  • U形状部品の強度改善に関して、7075材と6000材の比較試験を行った結果を報告しています。
  • 6000材ではショット+アルマイト処理を行わずに製作した部品でも破損しなかったことから、材料の靭性やアルマイト皮膜の硬度が影響している可能性が示唆されています。
  • FEM解析ではR形状を大きくすることで応力を下げることができることが分かりました。
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材料強度と表面処理の関係について

お世話になります。 現在、アルファベットでUのような形の部品を製作しておりますが、荷重はUの文字を水平方向に引張、圧縮の繰り返し荷重が作用するような部品において、Uの谷のR形状部からクラックが入り、破損に至る不具合を改善しようと考えております。現在の材料は7075-T6材を使用しており、表面処理はショット後にアルマイト処理を行っております。対策品として材料を6000系の高強度材料(引張450N/mm2、耐力390N/mm2)にて同じ形状の部品を製作してみました。強度スペックでは7075材に劣るのですが、同じ耐久試験をN数5個行いましたが7075材は全て300万回500万回で破損したのですが、6000系の材料は全く破損しませんでした。違いは材料以外に、6000系ではショット+アルマイト処理を行っておりません。加工機械、工具関係は全く同じ物を使用しておりますが、どうして疲労強度が6000系が高くなるのか分かりません。ショットは疲労強度を向上させる効果があると思いますし、アルマイトは表面膜厚で数μm程度です。6000系は材料の靭性が高いからなのでしょうか?それとも、アルマイト皮膜の硬度が高く、微細なアルマイト皮膜のクラックにより応力集中して、アルミ母材の破損に至るのでしょうか? 何方か、アドバイス、推測でも結構ですのでお願い致します。 なお、FEM解析では局部的に500N/mm2近くの応力が発生しており、R形状を出来るだけ大きくすることで400程度まで下がる形状は求める事が出来ました。今回の試験品では、従来と同じ形状ですので解析上では500近い応力が発生することになります。

noname#230358
noname#230358

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noname#230359
noname#230359
回答No.2

 詳細な話に入る前に、疲労強度と引張強さ、耐力などの言葉の理解は十分でしょうか? 念のため整理します。    引張強さや耐力は静荷重に対する材料の挙動を表現しています。簡単には前者は静的な引張荷重による破断応力、後者は静荷重による弾性変形領域から塑性変形領域に移る近傍の引張応力を意味します。  一方、疲労強さは動的荷重の繰り返しによって金属疲労が進行し、その結果材料が破壊に至る限界の応力振幅を表します。動的荷重の形態により疲労限度は若干差が認められるため、両振れねじりや回転曲げなどいくつかの種類の疲労強度(試験方法)が定義されています。一口に疲労強度といっても、どの種類を引用するかは設計すべき部品に作用する応力形態によって選択すべきです。  また、今回の6000系合金や7075-T6は大丈夫ですが、非鉄金属で注意が必要なのは、鉄鋼材料の疲労曲線のような明確な疲労限度が現れないものが中には存在するということです。これは、極論すればどこまで応力振幅を下げていっても、動的荷重を加えればいつかは疲労破壊する ということになります。  次に、材料による疲労破壊の有無の前に、解析結果は妥当でしょうか? いずれの合金番号でも弾性係数はほぼ同じですので、線形静解析で外部荷重と内部応力の絶対値、分布を求めたとすれば、いずれもほぼ同じ解析結果のはずです。  部品の詳細が不明なので解析上の最大応力点と形状がわかりませんが、解析が妥当であれば、1回の荷重印可で最大応力点を基点に破断するか、そうならないまでも塑性変形が必ず発生します。疲労強度の議論以前の問題と言うことです。もちろん解析解と実体の特性の間には差が出てきますが、それを考慮しても設計応力が高すぎると思います。モデル定義や拘束および荷重条件、材料物性が正しいか、また部品設計自体を見直す必要がないか、再確認が必要です。  次に、質問の本題です。  一般的に疲労破壊は部品表面から発生します。このため表面を極力平滑にし、クラックやカッタマークなど、亀裂の起点になりうる欠陥をなくす注意が必要です。また圧縮応力を内在させることで一般に疲労特性が向上します。ショットによる加工硬化層の付与が疲労特性の向上に効果的だといわれる理由です。  7075-T6も6000系も、同一仕様の試片による評価では、疲労強さはさほど大差がないように思います。従って、もともとの設計が使用条件に対してクリティカルな応力分布になっており、6000系合金による部品が疲労破壊を起こさなかったのは表面状態や内部応力のちょっとした違いが結果として現れたと考えるのが良いと思います。  表面状態の違いとは、例えば同一の加工条件であっても切削性の違いによる表面粗さの微妙な違い、また表面処理の有無や加工による変質層の深さの違いなどが影響すると考えられます。ショット加工後にアルマイトということであれば、ショットによる硬化層をアルマイト処理によって除去してしまっている可能性はありませんか? ショットといっても、アルミに対してであればビーズ径が細かいか、サンドブラストではないでしょうか。    いずれにしろ、今回のご質問から推定すると合金種類に対する疲労強さの議論より、部品自体の設計の見直しを行う必要があると思います。  ちなみに、疲労強さに関する資料としては、例えば日本機械学会の ”金属材料 疲れ強さの設計資料”(?)(?) があります。

noname#230358
質問者

お礼

詳細な部分までご説明頂き有難う御座いました。 応力に関してですが、静的に圧縮を加え、そのポイントから±の応力振幅を加えております。質問投稿後にもいろいろと調べましたが、アルマイトが疲労強度を低下させることなどの文献は見当たらず、かえって向上に付与するような文献がありました。ショットもご指摘の通りサンドブラストです。切欠き係数感受性、回転曲げの資料を確認しましたが、7075-T6と6000系特殊合金に殆ど差がありませんでした。残る可能性としては、実験の手法の違いが考えられますので、再度同じ条件、実験者による測定を行いたいと思います。どうも有難う御座いました。

その他の回答 (1)

noname#230359
noname#230359
回答No.1

専門外ですが、 クロム酸アルマイトのホームページに「アルマイトは母材の疲労強度を低下させる」と記載されています。 参考URLに問い合わせては如何でしょうか。

参考URL:
http://www.alumite.co.jp/CAT/CrA.htm

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